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【コーディネーターの究極形は空気】チャレコミ若手コーディネーターインタビュー vol.2

一般社団法人umi 代表理事
山下実里さん


チャレコミの先輩方はもちろん、参画したばかりの方に
「他にも自分と同じ悩みを抱えている人がいたんだ!」
「こんなことをしている同世代コーディネーターがいるんだ!」
と思っていただけるよう、
若手だからこそ語れる "今感じていること" を取材しました!


ーumiを立ち上げるきっかけは?

大学卒業後すぐ、3年間雲南市の地域おこし協力隊として大学生のキャリア支援に取り組んでいました。任期が終了するとき、これで終わるのはもったいないと感じ、「一般社団法人Community Careers」を設立しました。「Community Careers」という名前は、法人として何をすべきか真剣に考えた結果でしたが、色々な事情があり法人名をumiに変更しました。これは、もっと遊び心があってもいいのだ、と自分自身の殻を脱いだことと重なっています。

ー自分自身の殻を脱いだきっかけは?

起業の経験がなかったため、経営者として完璧でなければならないという想いで当初は自分を縛り付けていました。その結果、法人を立ち上げて半年ほどで体重が10キロ減り、精神的にも苦しい時期でした。そこで、「自分の体を壊してまで頑張ることはダサいし、このまま頑張り続けるのは違う。頑張るだけが正義ではない。」と気づき、他の方法を考え始めました。一人で全てを抱え込もうとするタイプでしたが、自分の限界を見極め、周りの人に頼る必要があることに気づきました。これが私の殻を脱ぐきっかけとなりました。

ー地域おこし協力隊から法人の立ち上げ、そしてumiでの活動の中で、コーディネーターという仕事をされていると思いますが、コーディネーターという仕事との出会いはいつ頃でしたか?

自分がコーディネーターの仕事をしているとは意識しておらず、気づいたらコーディネーターと呼ばれる仕事をしていました。振り返ってみると、コーディネーターに近づいたのは大学生のころ、大学1年生向けの授業の企画運営をする活動をしていたときだと思います。第一志望ではない等の理由から疎外感を感じる子が多い中で、大学をより身近に感じてもらうための授業運営や、大学生活をどう過ごすかのプランニングをサポートする役割を担っていました。この授業は、運営側が指示や教えをするのではなく、受講生自身が内に秘めた想いを引き出し、形にするお手伝いをする活動でした。ある意味で私はコーディネーターだったのかもしれません。もともと私はこのような活動が好きで、小中学生のころから人の悩み相談を受けていました。私の特性と、大学生のキャリア形成への関心が結びついて今の仕事に繋がっているのだと思います。


ー学生のキャリア形成に関心を持ったのはいつ頃ですか?

私は小学生のころ算数が得意で、どんどん問題を解いていたのですが、先に進まぬよう先生から注意を受けました。その時、なぜみんなと同じペースで進まなければならないのかと強く感じました。この経験がきっかけで、中学校や高校、そして大学に入るときにも、受験のタイミングでみんなが足並みを揃える必要があるのか疑問を持ち続けました。そして就活のタイミングでようやく、これはおかしいと思いました。
学校とは、高校まで外の世界から遮断された要塞のような環境ですが、大学に入ると社会との距離が近づき、就活に違和感を持つ学生が増えます。自分の人生をどう生きたいのかという意志が芽生えており、既存の枠にハマることと自分で切り拓くことが異なることに気づき始めているのが、大学生の特徴です。だからこそ、大学生を対象にすると非常に興味深いと感じました。

ーコーディネーターとは、どのような役割だと考えますか?

コーディネーターは全力で何もしない存在です。ただし、そのまま何もしないという意味ではなく、全力で何もしないというスタンスです。コーディネーターは、日常生活では気づかないような気づきを与える存在だと思います。アクションとしては問うことが多い存在です。問いを立てると、相手から言葉が引き出されます。その言葉自体はその子自身から発せられているので、意思決定はその子に委ねられます。コーディネーターは伴走者ではありません。駅伝選手の隣を走る伴走車で頑張れと応援するのではなく、給水所や路肩から渡されるタオルのような存在です。影が薄くなればなるほど、 コーディネーターのレベル感が高まっていると思っています。コーディネーターの究極形は、空気なのではないでしょうか。

ーこのコーディネーター像は、大学の授業支援を始めた当初と現在では変わったところはありますか?

表現の仕方は変わってきましたが、本質的には変わっていません。大学でファシリテーションを学んだ経験がありますが、そこでも話を引き出すために無理矢理尋ねるのではなく、自然に話せるように促すことが重要だと感じました。私にとってコーディネーターとファシリテーターは重なっていますし、その像はずっと変わっていないです。もしコーディネーターの仕事が、相手の中にある答えを引き出し、言語化・可視化することであれば、私にとって天職だと言えるかもしれません。
コーディネーターの捉え方は非常に難しく、明確に定義できるものではないので、まだ未知な部分もありますが、コーディネーターとは人それぞれの答えがあると思います。

ー 学生の支援をする中で苦悩したことや大変だったことはありますか?

私は問うスタイルを取っているのですが、学生は自分で考えなければならないので、苦しい面もあります。学校特有の答えを教えてもらえる環境に慣れてしまっている学生たちは、すぐに答えを出してくれる人に流れてしまいがちです。だから私は、できるだけ学生たちが嫌がらない問い方を考える必要があります。ただし、問いかけるだけではなく、学生たちが地域で活動を進めていくためのアドバイスをすることもあります。しかし、学生の悩みが専門的なものである場合、私だけでは悩みを解決できないこともあります。これが学生と関わる上での難しいところです。自分が言ってもいいのか迷うこともありますし、専門的なことなので変なことも言えません。


ー今後チャレンジしたいことや現在取り組んでいることを教えてください

今年の目標は、自分の想いや考えを言葉にすることです。相手に問いかけることばかりしているため、自分の言葉を話す機会が少ないです。この数年間、プレゼンする機会がありましたが、自分の想いや考えを論理的に組み立てて話すことが苦手だと感じました。また、状況や他人の様子について、私は感覚的に捉えて判断するのですが、それを論理的に話すことが、できるはずですが努力も経験も不足していると気づきました。これが今年の目標であり、まさに挑戦中です。 

ーお話を聞いていて、他の人に問いかける際には、その人の思考を論理的に組み上げていかなければ、的確な問いはできないと感じたのですが…

 問いながら、相手の話の構成を把握することはできます。ただ、自分のことになると、感覚的には話せても客観的に見ることができず、論理的な構築ができなくなってしまいます。だからプレゼン前には非常に緊張します。

ー言語化について気をつけていることはありますか?

2つあります。1つ目はプレゼンテーション作成です。頭からつくり始める前に、まずは構成を考えるようにしています。 何を話すべきかだけでなく、相手が何を求めているのかも意識します。 それによって構成も変わってくるかもしれません。2つ目は、話すときのロールモデルを意識することです。私は、自分がスティーブ・ジョブスだと思い込んで話すようにしています。 ロールモデルを見つけることで、その人はどのように話しているのか、 自分だったらどうするかが見えてきます。

ーチャレコミの印象や役立っている点、 もしくは使い方についてぜひ教えてください。

チャレコミはすでに役立っています。繋がることが何よりも良く、 コーディネーションにおいて細かいことが気になることもありますが、 すぐに連絡を取り合えるのは非常にありがたいです。 また、チャレコミ内での知り合いを通じて繋がることも素晴らしいと思います。最初はチャレコミに入っていないと繋げてもらうのは難しいと感じていましたが、入ってからは堂々と様々な人と繋がることができました。これがチャレコミに入っているメリットです。
今後、 同世代のコーディネーターとも繋がりたいです。チャレコミには素晴らしい先輩方がいらっしゃいますが、これから担い手となる20代や30代のコーディネーターとも繋がり、 駆け出しだからこその課題感などを共有したいです。「チャレコミ青年部」ではありませんが、 若手メンバーが活発になることで、チャレコミ自体も更なる進歩を遂げることができるのではないでしょうか。先輩方からの支持を得られるようなチャレコミを、若手メンバー同士で築けたら誇りに思います。

ー最後に、若手だから言えるひとこと!
 

チャンスは逃しません。若いので。島根にもこのチャレコミの風を吹かせられるよう頑張ります!


取材:梅澤心暖
NPO法人ETIC. インターン


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