見出し画像

観劇感想:GOOD BOYS

GOOD BOYS 1/18-1/24 新宿シアタートップス
【作・演出】
タカイアキフミ
【出演】 
福崎那由他
佐久本宝
堀口紗奈
用松亮
西川康太郎
川田希
緒方晋
増子倭文江
(敬称略)

昨年10月に発表されてからずっと楽しみにしていた舞台を観てきました。

アゴタクリストフの『悪童日記』がモチーフ。
私は「生きる難しさ」を強く描いた作品だなと感じました。

初日なので深く言及することは避けますが人によってはトラウマを思い出すこともあるので少し気を付けた方が良いかなと思います。
(ネグレクト、暴力による虐待等)
私は苦しかったです。
見て見ぬ振りをしてきた傷をこじ開けて向き合わせるような。
それぐらい「生きる」ということに対して向き合った作品。
真正面からぶつかっています。

「生きる事は素晴らしい」と謳うことは簡単。
その光の裏には泥水をすする者、次の朝日を迎えるために這いつくばっている者も居ながら、明日が来なければ良いのにと願う者も居ます。
私もどちらかといえば3番目の人間でした。

基本的人権の尊重について皆さんはご存知でしょうか。
「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
果たして今の社会はどうでしょう。

物語には祖母から虐待を受ける双子、ホームレス、外国人のコンビニバイト、ハンディキャップを抱えた少女等が出てきます。
そして現実の社会に存在します。

少しずつ生きやすくはなっているけども牛の歩み。
声を上げることで社会が変わりつつある、その声はどんな声色でしょうか。
私も叫びました。
何度も何度も叫んで喉から血が出ました。
存在証明、意思表示を誰かに任せてならないのです。

物語は「己を鍛えて理不尽と対峙していく双子」を中心に進むのですが
「強くなりたい」というワードが沢山散りばめられています。
作品とは切り離して「人としての強さ」は何か。
物理的な強さなのか、賢さなのか、他者へ向ける慈愛、それとも財産なのか。
解釈は無限にあると思いますが私はやはり
「人に振り回されない意思」こそが強さだと思いました。
大切にしたいものをしっかり大切にする、守ること。
それを傷付けられた時には拳ではなく言葉で意思を示すこと。

私もずっと強くなりたいと思い、願い、気付いたら27歳。
理不尽なことばかりでしたが自分の意思を泣き叫びながら訴えた時から私は少し強くなれました。

「叩かれたくないから」と気持ちを押し殺していた小さい時の私は、舞台に居る双子そのもので。
だからこそ苦しかったし、我慢していた小さい時の自分を優しく抱きしめてあげれたらと。
過去を無かった事にするのではなく向き合い、
傷付いた自分と一緒に生きていけたらと思いました。
過去の自分を直接抱きしめてあげられない分他者へ優しさを向けたいです。

10月の私は今の私がこんなことになってるとは思ってなかったです。

この舞台を見るきっかけは劇団4ドル50セントの堀口紗奈さんでした。

今日を生きた感想として劇団員を志す目線で言うならば
「生きる中で受けた理不尽が多ければ多いほど後々伏線回収出来る」
です。
役者として与えられた役を演じる時に、どうやってその人物を生きるのか。
こんな私でも誰かの役に立ててるかもしれないし、誰かの感情を動かせるかもしれない。

今までは過去を恨んで仕方なかったけど昇華出来たし、次の朝日が楽しみです。

かさはら

この記事が参加している募集

舞台感想

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?