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チキンラーメンのひよこちゃんが超絶技巧蒔絵に出合ったら......【制作レポート】

2018年、チキンラーメンの誕生60周年を記念して立ち上がった、日清食品と和樂のスペシャルプロジェクトがありました。

それは、チキンラーメンといえばおなじみのひよこちゃんと、漆器(しっき)の一大産地である石川県輪島から漆の世界に新風を巻き起こしている「彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)」とのコラボレーション!

だれも見たことがない漆工芸の制作が、「彦十蒔絵」の棟梁・若宮隆志氏のプロデュースのもと、最高峰の技術で進められました。

制作したのは「麺塊蒔絵箱」と「ひよこちゃんエッグスタンド」の2つ。漆器の制作には100を超える工程が!今回はその制作レポートをお届けします(現在、各商品の販売は終了しています)。

麺塊蒔絵箱ができるまで

①最初はイメージ画を描きます。

DMA-デザイン画1

②ろくろで挽かれた麺塊蒔絵箱の素地。作るものによって木材を選びます。今回はケヤキ材になりました。独特な曲線が綺麗ですね!

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③生漆(きうるし)と地の粉(ぢのこ)で下地付けをします。工程ごとにヘラや研磨炭などの道具も異なります。

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④下地付けをした漆を平らに研ぎます。

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⑤麺をどのように蒔絵で表現するか、時間をかけて考えられました。今回は3種類の金粉を使い分けて、高さを変えながら塗り、遠近法によって立体感を出すことに。繊細な色彩感覚をもつ小西紋野さんが頭を悩ませながら担当してくださりました。

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⑥麺塊は、全体的に漆を塗り、金粉を蒔いて研ぎ出します。0.0数ミリの蒔絵を削りすぎないよう磨きます。漆の技術の難しさは磨きにあるとも言われるくらい、難しい作業だそうです。

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⑦卵の白身の部分には、うずらの卵殻を細かく砕いて貼ります。

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⑧そして完成したのがこちら!世界で1個だけの限定で販売しました。

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ひよこちゃんエッグスタンドができるまで

①こちらもまずはデザイン画を描きます。

DMA-デザイン画2

②粗彫り(注釈入れる)で平面のひよこちゃんを立体にします。

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どこから見てもかわいいフォルムになりました!これは彫刻を担当した小黒アリサさんだからこその彫刻技術。

③小黒さんが卵を茹でて、Mサイズの卵がぴったり入る大きさであることを確認します。

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④下地付け、中塗りには、輪島産の漆を使用しました。下地付けは珪藻土(けいそうど)の粉末を漆に混ぜて行います。

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⑤ひよこちゃんをパーツに分けて金粉を蒔き、その後黄色漆を塗り込んで、炭で磨きをかけます。

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⑥研ぎ出し蒔絵の技法で仕上げられたひよこちゃん!

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漆工芸の伝統技術を守りつつ、オリジナリティを出すべく果敢に挑戦しながら、幾度となく日清食品や和樂の担当者とやりとりを重ね、芸術表現にまで高められました。

彦十蒔絵とは

棟梁・若宮隆志氏が作品を創作し、イメージを描くと、40名を超える漆のプロフェッショナルである木地師(きじし)、塗師(ぬし)、蒔絵師(まきえし)など専門の職人が分業で手掛けています。下の写真の「サイ 青銅塗 賽銭箱」をはじめ、超絶技巧が国内外から高い評価を得ています。

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「彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)」プロデューサー若宮 隆志さんと和樂web編集長高木さんが日本の工芸について語った対談はこちら!




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