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切子の新たな楽しみ方?北斎びっくり富士山グラスができました【制作レポート】

くっきりとした美しいカットのグラス。あなたなら何を入れて飲みますか?やっぱり日本酒?それとも焼酎?今の時期ならロックじゃなくて炭酸割りも美味しそうですね。

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こんにちは、スタッフのサッチーです。2020年6月30日(火)から発売中の「北斎びっくり富士山グラス」。浮世絵プロジェクト『UKIYO-E 2020』のオリジナル商品のひとつとして制作しました。

今回は、葛飾北斎の代表作『冨嶽三十六景』から2作品を選び、デザイン化した「北斎びっくり富士山グラス」開発の裏側をご紹介します。

①まずは作品選び
国内外で人気が高い浮世絵師、北斎。彼が描いた富士山を360度を使い、切子で表現しようと作品を選ぶことに。最終的に『本所立川』と『甲州三坂水面』を選びました。冨嶽三十六景って36作品じゃなくて46作品ということを初めて知りました。

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『冨嶽三十六景 本所立川』 葛飾北斎 1830-1832年ころ

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『冨嶽三十六景 甲州三坂水面』 葛飾北斎 1830-1832年ころ

②切子のデザインを描く
モチーフとなる作品を見ながらデザインを描きます。『本所立川』なら材木の間から富士山が見えるように、『甲州三坂水面』なら逆さ富士も入れたいなど、絵の中から何を、どうやって切子で表現するのか考えるのが難しい!過去に和樂で作った北斎切子BLUE&REDも参考にしながら描きました。

なお、甲州三坂水面はシンプルなデザインだったので、水玉を入れてみることに。

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③切子の製造会社と打ち合わせ
今度は切子を作ってくださる清水硝子と打ち合わせ。職人の方にもどのような切子の表現が合いそうか、相談しながらデザインの方向性を決めます。清水硝子の商品を見ながらの打ち合わせなので、江戸切子の表現の多彩さも勉強にもなる!

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④グラスにデザインを描きます
デザインの方向性が決まったら切子にデザインを描きます。清水硝子からいただいた写真を元に、もう少し水玉を増やしたほうが良さそうなど、ここでも調整を繰り返します。②で紙に描いた時と異なる、グラスの緩やかなカーブにデザインをどう反映するのが良いか迷いました。

甲州三坂水面 (1)

その後、一度試作品を作っていただき、打ち合わせをして最終デザインを決めました。

⑤製作段階へ
決まったデザインを元に、切子を施していきます。写真は加工後半、磨きの場面。本所立川の材木と富士山が見えています。こんな道具を使っているんですね〜!

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⑥完成!
いよいよ完成!こちらは「のぞき富士BLUE」。

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材木の縦ラインは削ったまま、 富士山は削ってから磨きをかけて透明度の高い稜線に。材木の向こうに見える富士山を際立たせるための工夫なんです。山頂には斜めラインで雪を再現しました。

下は「さかさ富士GREEN」。夏景色の富士山と、水面に映る冬景色の逆さ富士。透かすと北斎作品のように見えるよう、一筆書きのようなデザインにたどり着くまでに時間がかかりました。ちなみに、カーブした曲面を斜めにカットしていくには高い技術力が必要だそうです!

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平面の作品を360度使って立体で表現した本商品。一味違う江戸切子の魅力をお楽しみください。





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