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夜舟、北窓という和菓子

春彼岸とは、3月の春分の日をはさんで前後3日合計7日間のことです。

秋彼岸とは、9月の秋分の日をはさんで前後3日合計7日間のことです。

彼岸というのは仏教用語であります。
現世を「此岸(しがん)」と呼び、それに対して、死後の世界を「彼岸(ひがん)」と呼びます。「此岸」とは「現世の岸」という意味で、「彼岸」は「死後の岸」の意味です。そして、両側の岸の間には川が流れています。この川のことを「三途の川」と呼びます。
春分、秋分の日は昼と夜の長さが一緒になる季節。この時期には、昼と夜がつながり「此岸」と「彼岸」が行き来できるようになるために、お墓参りなどに出かけるのが習慣になっておます。

彼岸には、ぼた餅やおはぎをお供えしますが、小豆餅ですから魔除けの意味があります。また、あんこと餅米をくっつけた和菓子なので、あの世とこの世を繋ぐという意味もあります。

ぼた餅

春のお彼岸の時は、この季節に咲く牡丹にちなんで「牡丹餅(ぼた餅)」と呼びます。ぼた餅はこし餡で作られ、牡丹の花のように大きく丸くします。

おはぎ

秋のお彼岸の時は、この季節に咲く萩にちなんで「お萩(おはぎ)」と呼びます。おはぎはつぶ餡で作られ、萩の花のように少し小ぶりで楕円形にします。
こし餡とつぶ餡で作る違いは、小豆の収穫時期による違いです。秋は小豆を収穫したばかりなので、皮が柔らかいためつぶ餡にしてお供えします。春は、小豆の皮が固くなっているので、こし餡にしてお供えするのです。

おはぎは、春と秋以外にも呼び名があります。夏の呼び名は「夜舟(よふね)」です。
これは、夜の舟はいつ着いたかわからない=米もついたかわからないからきています。
米を搗いたのか搗かないかわからないくらいの餅にならない半殺し(はんごろし)の状態だということです。
冬の呼び名は「北窓(きたまど)」です。
これは、北の窓には月が昇らないことから月知らず=米つき知らずからきています。
米を搗いたのか搗かないか知らないくらいという同じ意味です。
様々な呼び名があるのは、それだけ愛されている和菓子なんだと思います。


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