第18階ど文系のお金の話

第18回ど文系のお金の話、今日のお話は為替レートの決定要因についてです。
外貨と国内通貨が交換できる比率のことを為替レートと呼ばれます。為替レートには変動レート制と固定レート制があります。変動レート制とは為替レートの動きを市場に任せる自由なレートのことで、固定レート制とは為替レートが基準値から離れないように国が介入し基準値に引き戻す制度のことです。

ではこの為替レートを決定する要因には、どのようなものがあるでしょう。まずは経常収支が黒字か赤字によって円高か円安か決まる傾向にあります。国内の輸出と輸入の差額を貿易サービス収支と言います。そこから国内に住んでいる人が持っている海外資産の利子・配当を加えたものが経常収支です。この経常収支が黒字なら自国の通貨高に、赤字なら通貨安になる傾向にあります。経常収支が黒字のということは経済が安定しているとみなされるので、その国の貨幣の信頼が高まります。

つぎに購買力平価説があげられます。商売であっても輸出入であっても、商品売買の意思決定に関わるのは価格競争力です。他より安かったり、品質に対して価格に値打ち感があれば商品は買ってもらえるのです。インフレーションによって物価が上昇すると国外に買い手がつかなくなって価格競争力が低下し輸出が減少してしまいます。そうすると経常収支が悪化し自国の通貨安になります。こういった事態を防ぐため、国内と国外の物価の差を打ち消すように為替レートが決まるという考え方を購買力平価説と言います。

また、safe–haven仮説というものもあります。金融危機が起こると投資家がリスク回避を望み国境を超えて資金が流れにくくなります。するとお金を外国に貸している国が力を強め通貨高になる傾向にあります。スイスや日本など様々な国の貨幣を持ってる国は投資家に安全だと信頼され資金が集まりやすいので通貨高になりやすくもあります。様々な外貨を持つことで、株と同様にリスクも分散します。こうした考え方をsafe–haven仮説と言います。

そして内外金利差によって決まると考えることもあります。海外の国債や株を売買するには外貨をたくさん持つ必要があります。相手国の金利が自国の金利よりも高くなると予想されれば、相手国の外貨を買ったほうがお得になるので需要が高まり、外貨の価値が上昇します。日本の金利が高くなると考えられれば、日本円の価値が高まり円高になります。逆にアメリカの金利が高くなると予想されれば、投資家はドルを買い求め円安になります。

このように為替レートは様々な要因によって決まると考えられており、株と同様に明日為替がどのように変動するかは予測しずらいものです。為替レートの効果として金融緩和によって自国の通貨が相対的に外貨よりも安くなると輸出が刺激されて景気が良くなるという性質を持ちます。しかし、他国から見るとこの施策は他国の通貨高を招き輸出が不利になるので歓迎されず世界的な金融緩和競争に発展します。

本日はここまでです。次回は国債金融のトリレンマについてお話しします。本日もお付き合いいただきありがとうございました!気に入っていただけましたらフォローお願いします!