第8回ど文系のお金の話

第8回ど文系のお金の話!
本日のテーマは銀行の脆弱性についてです。ぜいじゃくせい…つまり安全性上の弱点ということですね。

前回の復習として、銀行のお仕事の話です。
銀行の仕事は私たちの預貯金だけではありません。
さまざまな企業に対しお金の貸付を行い、さまざまな形で投資しています。
この投資対象ですが、一度貸付を行うとその約束は即座に解除できません。
当然ですよね。そんなにすぐ解除されてしまったら借りた側は大変なことになります。
即座に解除できないので、お金が手元に戻ってくるまで時間がかかります。
それでも、投資が成功した際には銀行は大きな利益を得られるので投資をせずにはいられないのです。

さて、各銀行は短期金融市場を通して密接に繋がっています。
預金者の同士のお金の取引を仲介したり、銀行同士がお金の貸し借りをしていたりします。
これが各銀行が密接に繋がっていることが銀行の安全上の弱点です。

ここにC銀行という銀行があります。
C銀行はA銀行やB銀行からお金を借りつつ、他の企業にお金を貸して銀行業を成り立たせています。
たとえば、C銀行が投資に失敗したとします。
そうすると銀行が貸したお金は銀行の元には戻ってきません。大金が消えて無くなってしまうのです。

そうなると困ってしまうのが私たち預金者。
銀行にあるお金がなくなってしまうとお金を引き出せなくなってしまいます。
さらに銀行が倒産ししまえば私たちのお金は泡と消えてしまうのです。
お金がなうなってしまうかもという不安から預金者が銀行へ殺到し一斉にお金を引きだすと、本当に銀行は潰れてしまいます。

そうすると次に困るのはC銀行にお金を貸していたA銀行やB銀行です。
C銀行に貸していたお金が帰ってこないだけでなく、C銀行が倒産してしまったことを不安に思った各銀行の預金者がA銀行やB銀行に押し寄せてきます。そしてC銀行と同じように大量の預金引き出しが発生するとA銀行やB銀行まで倒産してしまうのです。

ドミノ倒しのように次から次に銀行が倒産していく可能性をはらむことをステミックリスクといいます。
また、預金者が銀行が倒産するかもしれないという不安から預金を全て引き出す状況を取り付け騒ぎと言います。

あっちでもこっちでも銀行が倒産してしまったら大騒ぎです。
そのような事態に陥らないように、銀行の倒産に対しては事前的措置と事後的措置がとられます。

事前的措置とは自己資本比率規制(BIS規制)のことです。
国際的に活躍する大きな銀行は最低限の自己資本を保有しなければならないという制限であり、これにより投資による危険性をレバレッジ12.5倍以下に抑えられます。

レバレッジとは借金によってさらに大きな投資を行い大きな利益を得るといることで、借り入れをしているので失敗すると投資で出した損失以上の損失になるから気をつけないといけないということでした。
この文脈的には自己資本に対する借金の額を12.5倍いかに抑えられるということです。

事後的措置とは預金保険最後の貸し手機能のことです。
預金保険とは、各銀行の預金額に応じてお金を積み立てておき、一定限度額まで預金者のお金を保証する制度です。
最後の貸し手機能とは日本銀行が取り付け困難な状況にならないように、取り付け騒ぎが起きそうな銀行に対してお金を貸してくれる機能のことを言います。
ただし、これらの事後的措置があることから銀行は調子に乗ってよりハイリスクな投資に出資する危険性もあります。
これをモラルハザードと言います。

以上が銀行の脆弱性についてでした。
個人のお金の使い方もそうですが、銀行などの組織もお金を使うときは誠実な行動を心がけないと痛い目見るぞということなのかもしれませんね。
次回は日本銀行のお仕事についてです。最後までお付き合いいただきありがとうございました!