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拝啓、後藤まりこ様

私の人生の中には常に音楽があった。

幼少期の頃、母の英才教育により子守唄の代わりに「ユニコーン」「たま」を聴きながら眠っていた私が「J-POP」などという生温い音楽にはまるはずもなかった。

しかし、周囲はJ-POPや洋楽の話題ばかり。

そんな、ちょっと周囲と距離を取っている自分がかっこいいと思っていた青春時代。

そういう、音楽遍歴は過去記事に書いたので、よければ参考までに。

青春時代の私は「サブカル糞野郎」だった。

いや、過去形ではなく今でもその感じは濃く残っている。

周囲に音楽が好きだった人が多く、私はその人たちのお勧めの音楽を片っ端から聴きながら過ごしてきた。

そんな私が、周囲の影響を全く受けずに聞き始めたのが「ミドリ」というバンドだった。

本当に、何気なく目にした、ひとつのPVが私の人生を大きく変えた。

初めて見た時、すごい衝撃が走った。

何だか「見てはいけないもの」を見ているような気持になり……しかし、目が離せない

何だこの圧倒的な存在感は!?

そこから、通学中は延々とミドリを聴き続ける日々を送っていた。

嬉しいことがあった時もミドリを聴き、

悲しいことがあった時もミドリを聴き、

私を支え鼓舞し続けてくれた。

そんな特別な存在であった。


ミドリが好きで好きで仕方がない一方で、ライブには行ったことがなかった。

タイミングが合わなかった……と言えばそうなのだが、今考えるとどうして無理してでも行っておかなかったのだろうかと激しく後悔をしている。


あれは私が大学の4回生だった頃。

2010年の5月に「shinsekai」というニューアルバムが発表された。

その時に「あぁ、まだまだミドリは続いていくのだな」と安心しきっていた。

私の学部は3回生の頃から実習が始まり、4回生は実習・卒論・就活・国家試験という地獄の日々が待ち受けていた。

忙しい毎日を送る中で、ミドリがそんな日々を支えてくれていた。

ニューアルバムのおかげもあって、12月まで走り続けることができた。


そして、運命の2010年12月26日。

家で国家試験の勉強に追われていたころ、Twitterで「後藤まりこがUstream配信をする」という情報を目撃した。

勉強もあるけれど……まぁ、たまには一休みしよう、と思いパソコンを開いていた。

そのUstream配信も途中までは勉強をしながらぼんやりと眺めていた。

そして、途中から何だか不穏な空気に変化してきた。

まぁ、でも、元々が情緒不安定な人だったので、そこまで気にすることもなかった。

しかし、段々と様子がおかしくなってきて最終的に「解散する」という言葉を残して半ば強制的に配信終了。

……呆然とするしかなかった。

直ぐにインターネットで色んな情報を拾い集めた。

その中で12月30日に解散ライブ「さよなら、後藤さん。」を決行することがわかった。

正直、ずーっと悩んだ。

今、ライブに行く余裕はない。

しかし、ここで行かなければ後悔する。

悩み続けた結果、解散ライブに行くことはなかった。

凄く凄く悔しかった。

どうして、どうしてこのタイミングなのだろうか、と。

今年も新しいアルバムを出して、これからもまだまだミドリとしての音楽が聴けると思っていたのに。

代わりにもならないが、貯めていたバイト代をミドリのグッズにぜんつっぱした。

今でも、その時に買ったTシャツは手放せずにいる。

そして、一度も、ミドリを生で感じることができなかったこを一生後悔して生きるのだと思う。



拝啓、後藤まりこ様。

私はこの先、あなた以上の表現者にはなかなか出会うことができないだろうと思います。それ程にあなたのパフォーマンスは迫力があり、自分の命を削ってぶつけてきているような鬼気迫るものでした。私もそんな表現者になりたい、とその度に思っていました。

今でもあなたは私の心の中に残り続けています。私はミドリの後藤まりこが大好きでした。不器用で、真っすぐすぎるほど真っすぐで、忖度なく驚喜的で、でも愛嬌もあり愛もある。ラブ&ピースというよりも、ラブ&デストロイというような感じの方でした。

ミドリに出会ったことを感謝し、一度も、ミドリを生で感じることができなかった事を一生後悔しながら生きていきます。もう、画面の向こうのあなたしか感じることはできません。でも、画面の向こうで吠えるあたなを久しぶりに見ると、何だかとても安心します。あなたの存在がロックそのもののように感じます。

あなたほど、自分や命を削って生きていくことはなかなかできないと思います。思いますが、私は私なりに命を燃やして生きていこうと、あなたを思い出しながら、この記事を書きながら思いました。

後藤まりこという個が、ミドリという集団が、私を狂わし、今も離してくれません。

そんな存在が私の中にあることを感謝しながら、あなた方から受け取った強さと弱さを胸に、これからも生きていきます。

最後までお付き合いただきまして誠にありがとうございます。 「サポート」も嬉しいですが「スキ」も嬉しいです。 思ったり感じたりしたことがあれば、是非「コメント」もしていってくださいね。 本当にありがとうございました。