見出し画像

鳥は飛び立ち

単純な漢字には、思いもよらぬ深い意味があるのでは?

そんなことを思いつき、諸橋大漢和辞典の第一巻を、最初からめくってみることにしました。単純な字から始まるのが漢和辞典の常です。

最初の漢字はもちろん「一」。
これはこれで奥が深い。

のですが、「一」とつきあう気分ではなく、次の漢字に行こうと、ページをめくりはじめたら…
いったい何ページ続くの!
結局「一」の記述が終了したのは、72ページ目でした。

次が「丁」。
その後、みたこともない面白い字が続き、
その次は「二」だろうと思ったら、まさかの「七」。
(「二」は416ページ目にありました。)

こんな感じで、大漢和に対して心の中でツッコミを入れまくりながら、たどり着いたのが「不」。236ページ目。

「不」がつく熟語で、すぐに思いつくのが「不思議」。
同じく否定を表す「非」よりも広がりがあるような気がして、この漢字で立ち止まることにしました。

小篆の形に惹かれ、「解字」を参照してみました。
解字には、面白いことが書いてあることが多いのです。

天に向かって鳥が飛んでいく姿が「不」。
しかも下りてこないのだそうです。

なるほど。
あれこれ思いを巡らしたまま、戻ってこないのが「不思議」か。

ちなみに大漢和の不可思議の記述は以下。

考えても知ることができない。思い巡らすことがかなわない。
否定的にとらえることもできますが、未知の部分がたくさんあることに楽しみを見出すのも楽しい。そんなことを感じさせてくれる漢字でした。

おまけの話

例年以上に、夏の予定を詰め込んでしまいました。
その中で最も楽しみにしているのが、こちら。
友人の家人さんが開催する個展、本日が初日です。

絵のプロはまず上手くなければいけないという家人は、
使命感をもって上手くなろうとしています。

友人の言葉

この絵描きさんは、高みを目指して飛んでいる、鳥のような方なのだと思います。

この方と、この方が描いた絵に逢いに行く。
神奈川から京都まで出向く動機は十分です。

祇園囃子が流れる京都。皆さんもどうぞお立ち寄りください。

おまけの話2

「不」の字源を、おうみのひとさんが、別のレファレンスで調べられていました。正解は一つとは限らない。奥が深くて楽しい文字の世界です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?