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3月3日:外は寒くてもぽかぽかな日(古賀及子さん×牟田都子さん「日記とエッセイ、その周辺」@本屋B&B)

 割といい天気だった気がする。少し遅めに起きて、朗読は古賀及子さんの『気づいたこと、気づかないままのこと』から「生協のカタログだけがおもしろい」。

 初見朗読だからこそしみるものがあった。書かれた言葉を読み上げる時、おや、と思い、これは本意ではないのではないかと気づき、本当に、本当にいいの? と胸がざわざわした。多分一読してから朗読した時とは手触りが全然違ったと思う。



 ゲームや洗濯などやりつつ集荷待ち。13時〜15時の指定で14時に来訪。

 てっきり「下請けです」という体の、ワークウェアにキャップの人が来るのかと思っていたら、きっちり郵便局の制服を着た最寄りの本局の名札をつけたおじさんがいらした。

 お酒が好きそうな、少しまあるく少し薄めのどっしり系。引っ越しの時にお世話になった、丁寧なんだけどいい感じに親しみも持てるおしゃべりをしてくれたヤマトのおじさんを思い出す。

 しかしそこはかとない期待に反して、「スプレー缶や塗料は入っていませんか」「企業さん宛なので日付は空けておいていただいて結構です」と淡々とやりとりし、引き取っていかれた。企業間の温度差を見た。

 その後もてれてれとゲームで遊び、早めに出てシモキタで夕食をとるつもりが遊びすぎてバッファがなくなる。
 いつものことでそんな気はしていた、しかしお腹が空くぞ、と思いつつ、下北沢駅へ着いてみると微妙に開演50分前ぐらいだった。

 絶妙に微妙。

 ファストフードもなあ、と数日前の朝マックでお値段に驚愕した身としては逡巡するし、何より<BONUS TRUCK>方面にはない。しっかりしたところに初見で入るのは、お財布はさておくとしても提供時間的に博打である。箱そば? 天ぷらの気分じゃねえんだよなあ……。


 結局何も食べずに早めに<本屋B&B>に着き、開場を待つ。この季節特有の寒暖差、夜はしっかり寒くて、受付開始し入った店内の暖房に心も体も緩む。完全に風呂。

 ぽかぽかふわ〜、となっているうちに順番が来てしまい、名乗りの発声が怪しくなる。受付の方に「もう一度お名前いただけますか」と言わせてしまった。ごめん。

 ドリンクは凍えた体を温めるためにも時間帯的にもホットハーブティー一択だった。酸っぱいの? 草花っぽいの? とちょっとだけ覚悟して飲むと、草花系のとても美味しいやつで思わずもう一口飲んだ。

 カモミールが草のエグ味なく香りつつ、甘さも程よい。この系統で今まで飲んだ中で一番好きな味で、店内に入ってほぐれたところからさらにほぐれる。どこのメーカーのものか教えてほしい。


 時間になり開演。スタッフの方のどうぞ、の声に、元気よく一声を放ちながら入っていらっしゃる古賀さん。デイリーポータルZなどで拝読してはいたけれど、生の古賀さんは初めてだった。

 第一印象は「『ヨッ! お調子者!』というタスキをかけていそう」だ。朝朗読してきた「生協のカタログだけがおもしろい」との温度差がすごいけれど、いや、もともとこういう方なんだな、とすぐに察する。

 もちろん牟田さんもいらして、お二人ともにこにこと着席。その笑顔だけで、なんだかじんわり温められる。


 元気な古賀さんと落ち着いた牟田さんの絶妙な掛け合いでお話は進んだ。

 とりわけ、日記を公開することについての周辺については、なんとなく自分の中でもやもやして日記自体が続かなくなっていた原因含めて、「日記文学も文学」という腑に落ちで見事に掃き清められた。

 多分自分の日記と見せる日記の間の線引きがうまくできていなかったんだと思う。自分の日記は箇条書きでも、公開する「日記」ではそれなりに格好つけたっていい。今はそう思える。

 笑い声あり質問ありのイベントはあっという間に過ぎ去りサイン会へ。

 牟田さんからあった、「1箇所だけ存在する」という文章の裏取りのために長い長い3巻の中を探り続けたエピソードにめっちゃ頷きました、とお伝えすると、牟田さんはそこからにこやかに話を広げてくださった。すごい。

 古賀さんには、思い切って「朗読しているんです」と伝えたところ、「嬉しさしかないんだが!?」とネットの人構文で笑って元気に返してくださった。


 総じて『ツボマッサージ付き温泉ステイ2時間コース』だったイベントを後にし、ぽかぽかで昨日と変わらず赤紫に聳えているドコモタワーを視界に留めながら帰る。もうお腹は空いているんだか空いていないんだかわからなかった。


 就寝前、公開する日記で心に留めたいこと、書きたいことをメモした。

 書き留める先は、「自分の書いたものを朗読してもいいかな、と思ったので、まずは書いてみようと思います」と告げたら、「めっちゃいいと思いますよ!」とぽーんと背中を押してくださった古賀さんに敬意を表し、また今日の記念に、牟田さんとイベント中に紹介のあった小沼さんの本を買った時にB&Bでもらったレシートの裏だ。

 B&Bのレシートは、幅広で、大変書きやすかった。

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