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ココロの動く物語と、ビジネスのほどよい関係。

 ビジネスに物語?そんな風に昔は思ったこともありましたが、何かを説明したり、誰かに何かをお願いしたいときに、例え話をしたり、実際に起こった出来事を用いて説得したりすることがあります。物事を順番通りに事細かに説明してもなかなか理解ができないのに、そんな話し方をされるだけで、自分自身がどんな行動をしなくてはならないかがしっかりイメージできる。物語にはそんな力があるのかもしれません。ただ、その力を使いこなせているかどうかと言われると、そうではないと感じる方も多いように思います。私自身もその一人ですが。

 川上徹也さんの本は以前もいくつか読ませていただいたことがあったり、コラムやゲストでのお話を目にしたりすることもあったりします。この本もページを開くと、不思議なくらいにスーッと読み切ってしまいました。川上さんの解説などを読んでいると、世の中には成功事例があふれているということに気づかされます。その事例と同じことをやったからと言って、同じ結果が出るというノウハウではなく、どのような部分に着目して、どのように組み立てていけば、結果が出やすくなるのかという方法を、シンプルにまとめられているのが、今回の本です。

 最初の方に書かれていたことですが、『理性的消費』と、『感情的消費』という言葉。ビジネスにおいても、理性と思いきや、感情で意思決定をすることも多いことに気づかされました。上司に言われてまとめた資料も、金額やスペックの比較だけでなく、その商品やサービスの活用によって、何がどのように変わっていくのかというストーリーがあることで、多少コストが高かったとしても、コストが高いものが選ばれることすらあります。BtoBであったとしても、良質なストーリーが影響を与える例と言えるのかもしれません。

 『人の心を動かすためには、まずは自分自身の心が動くかどうか』。シンプルではありますが、すべてのはじまりは、ここなのではないでしょうか。そのために、徹底的に周りのことにも気を配り、心を動かしたい人のことを考え抜くことができるかどうかで、方向性は大きく変わるのだと思います。そのためには、たくさんのものに触れて、自分自身の感性を磨き続けていくことが大事なんだろうなぁと思います。

 中々アイデアが浮かばないときや、方向性がまとまらないときに、この本が何か光を示してくれそうな、そんな素敵な本に出会えました。

『ストーリーブランディング100の法則』
川上 徹也 著 日本能率協会マネジメントセンター発行 を読んでの感想

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