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「あきない世傳 金と銀(十二) 出帆篇 」高田郁

 いよいよ浅草呉服太物仲間の申入れまで辿り着いた。しかし、このお話の読者は知っている。著者のことだからそう簡単におかみのお許しが出るとは思えないことを。そして、どんな艱難辛苦が降りかかろうとも、必ずや幸の知恵がそれを乗り越えていくことを。

 その知恵と、お話の中に散りばめられた伏線が、次々と新しい商売へと繋がるのを読むのもこのお話の楽しみ。

 今回、幸の周りの盟友菊栄や店の者等の活躍は順調だが、敵役の方はテレビドラマで言えばナレーションだけの登場。そのことは次回以降の暗雲とならぬか。却って気掛かりになる。

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