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ウイスキーは製造工程が、とっても長いお酒!

■お酒の分類

ウイスキーを「製造工程の長いお酒」と書きましたが、具体的にどのお酒と比べて、長いのでしょうか? そのためには、お酒の分類を知る必要があります。

お酒全般を分類する場合、教科書的には「醸造酒」「蒸溜酒」「混成酒」の3分類に分けて考えることが基本です。ただ、フツーは、この時点で「は? 醸造って?? 蒸溜って???」ってなりますよね。
今回は、このお酒の分類について、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

■どんなお酒かを把握するための2つのチェックポイント

A)メインの原材料が「フルーツか?」「穀物か?」
B)アルコール度数が、20度よりも「高いか?」「低いか?」

すべてのお酒にキッチリと当てはまるわけではありませんが、この2点を把握できれば、色々なお酒への理解が格段に深まり、お酒選びが楽しくなりますよ!

■メインの原料がフルーツか、穀物か?

お酒は、果実や穀物といった農産物から作られることがほとんどです。(稀にハチミツなどからも作られることがあります。) 
そして、その農産物に甘み(糖分)があるかどうかで、お酒の作り方が大きく異なります。
(糖分がない穀物が原料の場合は、糖化という作業が必要になるので、工程がひとつ増えることになります。)

■アルコール度数が20度より高いか、低いか?

アルコール度数の高いお酒は、蒸溜という作業をすることで、アルコールや成分を濃縮しています。当然、蒸溜をするかしないかで、お酒の性質が大きく異なります。
その蒸溜がされているのかの判断基準が、アルコール20度です。蒸溜をしない限り、20度以上になることはほとんどありません。
(ビールのアイスボックのように、蒸溜でない方法でアルコール度数を高める方法もありますが、極めてレアです。)

・アルコール度数の低い「蒸溜してない」お酒 = 醸造酒
・アルコール度数の高い「蒸溜してある」お酒 = 蒸溜酒
※蒸溜酒は、一度、醸造酒を作ってから、それを蒸溜したものです。

■覚えるべきはこの3パターン(ブドウ・米・大麦 × 蒸溜の有無)

この3バターンを覚えれば、一般的なお酒は、どの原料から、どのようにつくられるか、大体は把握できます。あとのお酒は、この3パターンからの応用ということで理解可能です。

バターン① ブドウ原料《原料区分:フルーツ》

ワイン(Alc.約12%=醸造酒)
ブランデー(Alc.約40%=蒸溜酒)

パターン② 米原料《原料区分:穀物》

日本酒=米(Alc.約12%=醸造酒)
米焼酎=米(Alc.約25%=蒸溜酒)

パターン③ 大麦原料《原料区分:穀物》

ビール=大麦(Alc.約15%=醸造酒)
麦焼酎=大麦(Alc.約25%=蒸溜酒)
ウイスキー=大麦(Alc.約40%=蒸溜酒)
※ウイスキーは大麦以外の穀物を使うこともあります。

■ウイスキーって、製造工程数が多いお酒

上記の3パターンで、ウイスキーが最後に来ているのには、理由があって、とても製造工程数が多いお酒だからです。

ウイスキーは、
A)原料が穀物 = 「糖化」という作業が必要になる。
B)アルコール度数が高い = 「蒸溜」という作業が必要になる。
C)木材からの茶色の色素が溶け込んでいる = 「木樽熟成」という作業が必要になる。
 → A・B・Cの全てに当てはまるのは、代表的なお酒では「ウイスキー」くらいです。そのため、製造の作業工程が、他のお酒よりも多くなります。
 → そしてCの熟成の期間が長いのなんの!! 
  長ければ20年以上、はたまた50年以上熟成させたウイスキーなんてものもあります!

ざっくりとした概念ですが、「ビールを蒸溜したら麦焼酎になる。その麦焼酎を木樽熟成させたらウイスキーになる。」ということです。(正確には、色々な違いがありますが)

そのため、ウイスキーを理解すると、ビールや麦焼酎といった、他の色々なお酒の理解に繋がります。

そして、ウイスキーはそれだけ製造工程数が多いので、製造において色々なカスタマイズが可能で、それが一層、ウイスキーを魅力的なお酒にしているのです!

※ 「醸造酒」「蒸溜酒」「混成酒」の3分類のうちの「混成酒」ですが、醸造酒や蒸溜酒に加工を加えたもので、代表的なものではカクテルで使うリキュール(例:ルジェ・カシス)などがあります。

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