論文要約『カントにおける「実在性」と「客観的実在性」ー実在性としての力』
書誌情報
掲載誌:「哲学」1996 年 1996 巻 47 号 p. 217-226
タイトル:カントにおける「実在性」と「客観的実在性」
副題:実在性としての力
著者:犬竹 正幸
リンク: https://www.jstage.jst.go.jp/article/philosophy1952/1996/47/1996_47_217/_article/-char/ja/
要旨
カントにおける「実在性」と「客観的実在性」概念についての区別を論じた。また、『自然科学の形而上学的原理』を考察することで、「力」の概念が実在性を論じるにあたって重要であることを例示した。
本論文の意図
カントの実在性(「実在性」と「客観的実在性」)概念について検討することでカントの超越論的観念論を解釈する一つの視角を呈示すること。
カントにおける「力」概念の検討を通じてより詳細に「実在性」概念を考察する。
対象テキスト:『自然科学の形而上学的原理』
ニュートン力学との対比
カントの動力学論
実在性と客観的実在性
実在性(Realität)
知性の外に現実存在するもの
「現実存在」とは何か?
『純粋理性批判』におけるカテゴリー表に記載がある。
第4区分「様態」
「現実存在」と「非存在」
判断表では、「AがBであることが現実的である」に対応している。
概念から区別された物の規定として、物自体に属する
客観的実在性
「表象」の特性
客観の現実存在の仕方は、我々の悟性によって構成される(構想力)
現実存在の関係性
家、屋根、窓の関係性
意味的関係性ではなく因果的関係性(力)
客観的実在性の核心
論点:実在性と「力」
現実存在の不可欠の条件としての実在性
カントは常に「力」を考えている。
「知覚の予料」
『純粋理性批判』では扱われていないので『自然科学の形而上学的原理』を考察する
『自然科学の形而上学的原理』の検討結果
力概念は現実存在の運動の仕方を構成する条件として、「実在性」に値する
しかし、物の現実存在についての経験一般に力概念がどのように関与するかについては論じていない。
今後の検討課題とする。
感想・コメント
当初の問題意識がカントの「力概念」の解釈に集約されることがわかった。
カントの力学論が特殊。より詳しく知るには『自然科学の形而上学的原理』を読むことが必要になりそう。
力概念が「今後の検討課題」とされたので、消化不良でした。
他の著書、論文もあるのでそちらもあたりたい。
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