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◇歩いてみたいウォーキングコース◇【新宿】再開発・廃線・古いもの・・・ちょっとディープな新宿まちあるき

 新宿と言えば、甲州街道と青梅街道の分岐点にあった内藤新宿と言う宿場町がルーツですが、鉄道開通後は駅を中心に街が拡大し、今では我が国最大の乗降客を誇るターミナルとなっている場所です。この街の発展は、戦前から戦後、そして現在に至るまで、少しずつ進化を遂げてきた歴史があります。今回の街歩きでは、現在本格化し始めた新宿を大改造する再開発のことや、その中に残る古いものを見て、廃線跡や様々な名残を探していきたいと思います。

〇〇2023年5月追記〇〇
実は、このルートを少しアレンジしたルートで、「まいまい東京」さんのガイドツアーにデビューすることになりました。改めてこの街を歩いていますが、わずか半年近くでこれだけ大きく変わるのかと思うくらい、街の雰囲気が変わり始めています。再開発が始まった新宿の町にぜひ注目です。

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■コースルート

【集合】 新宿駅西口地下広場 → ①新宿西口(歩道橋上から)
  → ②角筈ガード(旧青梅街道) → ③新宿駅東口広場(地下道)
  → ④歌舞伎町バス停(旧:角筈バス停) → ⑤新宿区役所
  → ⑥ゴールデン街(都電廃線跡) → ⑦花園神社
  → ⑧新宿追分(京王廃線跡) → ⑨新宿高校(玉川上水遺構)
  → ⑩新宿駅新南口(貨物駅跡) → ⑪厩道踏切
  → ⑫代々木駅前(国旗掲揚台) → ⑬小田急南新宿駅
  → ⑭千駄ヶ谷橋跡(玉川上水) → ⑮葵橋跡(石碑)
  → ⑯新宿駅南口(歩道橋)【解散】
  距離:約4.0km

■コース地図

国土地理院の地形図から、コースルートを作ってみました。新宿をぐるりと回るルートです。主には東側と南側が中心のコースになります。

では、ルートの案内と見どころを、お伝えすることにしましょう。

■集合:新宿駅西口地下広場

集合は、新宿西口地下広場です。ル・コルビュジエの弟子である、坂倉準三さんが設計した、駅前広場のデザインの傑作と言われる駅前広場。地下歩道から垣間見る新宿の空が、曲線を描いたスロープ越しに見えるのが何とも美しいです。Docomomoの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選ばれる施設です。現在再開発工事がスタート。この風景、これからどんどん様変わりしていきそうです。

地下から見上げる新宿の空とスロープの曲線美が素敵。

■①新宿西口(歩道橋上から)

まずは、新宿西口の駅前広場全景を、歩道橋上から俯瞰します。2022年10月に小田急百貨店が閉鎖され、解体工事が開始され、再開発工事が本格的にスタート。これから高層ビルを含む建物への建替えが進みます。

もうすぐ足場が設置され、建物の解体が本格化していくと思われ、今後高層ビルが建っていくことになる予定です。

これから再開発で変貌を遂げそうな新宿西口を眺めます。

■②角筈ガード

続いて訪れるのは、「角筈ガード」。戦後の闇市の雰囲気を残す「思い出横丁のすぐ横に、JRの小さな跨道橋があります。このガード、実は「旧青梅街道」であり、「角筈」という古い地名の付いた趣のあるスポットです。

角筈ガードに向かう道には、「旧青梅街道」との標示が。
角筈ガード。青梅街道をイメージした宿場名の書かれた壁が続きます。

■③新宿駅東口(アルタ前)

アルタ前といえば・・昭和~平成の時代ではおなじみの番組の舞台でした。

「アルタ前」と言えば、かつてはギネスブックに掲載されたお昼の定番番組が毎日繰り広げられていて、東京の待ち合わせスポットとしては全国的に有名(でも、今の子は「アルタ」を知らない人が増えているのか?)です。意外と面白いのが、地下の駐車場やその界隈なのです。

地下駐車場の換気塔。ひっそり建っていますが、なかなか面白い形です。
その地下がこちら。是非この「地上出口」を歩いてください。
何とも言えないハラハラ感がして、行きつく先は・・お楽しみに(笑)

■④歌舞伎町バス停

歌舞伎町の靖国通り。賑やかな通りですが、ここは浅田次郎さんの短編小説「角筈にて」の舞台となった、昔の「角筈バス停」があったところです。

夜の靖国通りの歌舞伎町バス停。かつては、「角筈バス停」でした。

■⑤新宿区役所

新宿区役所は、1966年に建てられた建築物。歌舞伎町の雑居ビルが建ち並ぶ場所にある、とても文化的な建築物です。壁に飾ってあるモニュメントが興味深いので是非立ち寄りたいところです。

基礎地盤の礫層を切り出して説明してくれるモニュメント。
いやー、土木技術者としてはとても嬉しい内容です。

■⑥新宿ゴールデン街の裏側(都電廃線跡)

ゴールデン街という、ディープな飲み屋の裏側の遊歩道は、
都電の廃線跡です。
ゴールデン街には、ディープな飲み屋が並びます。

その昔は、角筈電停を出た都電13系統が、この場所を通過して飯田橋方面に向かっていたそうです。

昭和41年頃の新宿。都電の廃線跡が伸びています。
当時は「角筈」「三光町」のような地名が残っていました。

■⑦花園神社

多くの参拝客で賑わう花園神社。その中には富士塚やレアな石碑がたくさん並んでいます。石碑を眺めていると、この場所の歴史がよくわかります。新宿の歴史の生き証人ともいえる場所です。

多くの参拝客で賑わう境内。
芸能浅間神社と呼ばれる。小さな富士塚。
石碑もたくさんありますが、奉納している芸能人もなかなか多彩です。

■⑧新宿追分

この地が青梅街道と甲州街道の追分でした。
伊勢丹前は今でも賑わうスポットです。
ここが新宿追分であることを示した地図が
歩道に描かれています。
なぜかこの地には、京王電鉄のビルが並びます。
実は京王の元々のターミナルは、新宿追分でした。
大正時代の地図。京王線が甲州街道沿いに新宿追分まで伸びています。

戦前は新宿追分まで路線を伸ばし、都電と接続していた京王線。路面電車のような鉄道でした。その名残があるからか、軌間は今も都電と同じ1371mmです。新宿西口発着となったのは、実は太平洋戦争末期で京王線の変電所が空襲を受け、急勾配の省線新宿駅を越えることができなくなり、急遽新宿西口に駅を移設したことが由来だとか。

■⑨新宿高校(玉川上水遺構)

新宿高校は、国道20号線沿いにありますが、個々には昔玉川上水が流れていました。一般公開されていませんが、樋管の跡が保存されているのを垣間見ることができます。

新宿高校の校門脇にある、玉川上水の樋管跡。
橋の「あさひばし」の親柱らしきものも見えます。
明治時代の内藤新宿周辺。街道沿いに玉川上水が流れています。

■⑩新宿駅新南口

新宿駅新南口は、今はタカシマヤタイムズスクエアがありますが、かつては国鉄の新宿貨物駅がありました。跡地には新宿駅の埼京線ホームなどもでき、当時の面影は全くありませんが、ちょっとさりげない場所に昔の面影を見つけることができます。

今昔マップで、1970年代と現在を比較。
タイムズスクエア向かいの電柱にひっそりと残る、
「貨物」のプレート。貨物駅の名残がさりげなく残ります。

■⑪JR厩道踏切

少し南に歩くと、代々木駅前に到着します。

都心に残された、JR埼京線の踏切。その名前は・・・
厩道(うまやみち)踏切。昔埼京線の線路は貨物線で、
中央線の線路が上を越えるために下を走っていたのですね。
渋谷区HPにある、町名の新旧対照地図。
明治通り周辺に「厩通」という地名があったようです。

■⑫JR代々木駅前

厩道踏切を渡ると、JR代々木駅前に到着します。そこで目につくものといえば・・、

「明治神宮北参道口」という石碑が。その隣は・・、
代々木一丁目町会 国旗掲揚塔 昭和39年10月吉日

ということで、代々木駅は、明治神宮の北の玄関口であり、昭和39年の東京オリンピックの会場の玄関口となった場所、なのでした。

■⑬小田急線南新宿駅

代々木駅から少し歩くと、ちょっとしたディープな路地に。ここを少し歩くと、やがて小田急線と交差する場所に差し掛かります。そこにひっそりとあるのが、「小田急南新宿駅」です。

小田急南新宿駅のホームを見たところ。

ここは実は、「渋谷区代々木」の中なのですが、なぜか「南新宿」を名乗っています。駅名からすると開業当時は「千駄ヶ谷新田」を名乗っていましたが、その後「小田急本社前」となり、戦時中に東急と合併した時に「南新宿」駅となったとか。

こんな古めかしいガードもあります。
新宿とは思えない不思議な景色が広がります。
旧・小田急本社はモダンレトロな建物です。

■⑭千駄ヶ谷橋跡地

南新宿駅から、甲州街道に向かう道は、都心の路地裏のような雰囲気が色濃く漂い、とても新宿っぽくない街だと思います。(渋谷区なので、厳密には新宿ではなく代々木なのですがね・・)そんな道を甲州街道に行く少し手前に、こんなスポットを見つけることができます。

ひっそりと存在する、昔の「千駄ヶ谷橋」の橋名板

元々玉川上水に架かっていた、千駄ヶ谷橋の痕跡がひっそりと残ります。玉川上水は暗渠化されました。実はそれに平行していた京王線の線路も地下化され、玉川上水と同時に地下に収納されています。地上は道路や公園になっています。

■⑮葵橋の記念碑

新宿駅に戻ってきましたが、甲州街道脇のビルの壁面にひっそりと記念碑があります。

「葵橋の記」というタイトルの、記念碑です。なぜかビルの壁面に
さりげなく存在しています。

■⑯新宿駅南口

今回の探索のラストは、新宿駅南口です。ミロードからサザンテラスに向かう歩道橋が、とても大好きな場所です。夜の風景もまた素敵です。

夜の新宿南口、絵になります。
バスタ新宿が見えるのも、またいい景色ですね。
正面に新宿パークタワーの見える、西側の風景も大好きです。

ここまで歩いて約4.0km。なかなか盛りだくさんのウォーキングコースとなります。

■終わりに

新宿駅周辺を歩くウォーキングコース、いかがでしょうか?再開発の始まる西口エリアや、ちょっとディープな東口エリア、都電や貨物線の廃線跡や玉川上水、花園神社などもあり、さらに代々木エリアでは不思議な南新宿駅近くなど、見どころ満載の歩くルートです。これまでと違った新宿エリアが見えてくるかもしれません。

<もっと深く新宿を知りたい方・・>その他、新宿関係の記事を掲載していますのでご参考まで。


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