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■ドボクスキーの旅 in 香川■⑤屋島を歩く

10月の香川県の訪問。サンライズ瀬戸に乗り、女木島に渡り、瀬戸大橋を行き、丸亀城の崩落個所を見るという、とても濃密な日程を過ごしています。
(前回の記事はこちら)

今回の出張のミッションである、本来のお仕事は実は別にあって、それは淡々と終わらせています(こう見えても(笑))。そのお仕事が終わってから、帰りの飛行機までに少し時間があるということで、また、香川県内を少し歩く時間ができましたので、その模様をお伝えしたいと思います。その場所は、

屋島

です。屋島を歩いてきましたので、その模様をお伝えしたいと思います。

■屋島とは?

屋島は、高松市中心部から少し東に行ったところにある、小高い山です。明治時代末期の地図を見ると、高松市内の平地から少し離れて、急に山があり、その頂上が平らな形をしている、という感じがよくわかります。江戸時代までは、本当に島だったそうで、塩田を干拓することにより、陸続きになった、といいつつ、川のような水路でまだ島のように分断されていることが、この地図でもわかります。

高松市の東にある、屋島。かつては島だったそうです。

そして、1969年の地図を見てみましょう。

1969年の地図。屋島の頂上に、「屋島寺」。
そこにつながる、「屋島ドライブウェイ」と、「屋島登山鉄道」。

屋島の頂上には、四国八十八か所めぐりの第84番札所である、屋島寺があり、古くから参拝客で賑わっていました。高松市内を一望できるスポットで、頂上が平らで広いということもあり、ドライブウェイやケーブルカーが通じ、香川県の観光名所として栄えていました。

■屋島を歩く

まずは、屋島ドライブウェイの終点、頂上の駐車場からスタートします。

見つけたのは、屋島ドライブウェイの開発者、
真鍋康男さんの顕彰碑。

真鍋康男さんは、香川日産自動車を創設した人で、屋島の観光客の混雑緩和のために、ドライブウェイ建設に尽力し、1961年に完成させたのだとか。孫の真鍋康正さんは、最近まで、高松琴平電鉄(ことでん)の社長を務めていて、一度経営破綻した会社を再生させた人として知られています。

駐車場から歩いてほどなく到着する、屋島寺。
四国八十八か所めぐりの寺なので、
お遍路さんのような方もいらっしゃいました。
屋島寺の参道。後で歩いて降りていくこととします。
少し歩くと到着するのは、こちらの絶景が望める展望台。
急な坂の上に、平らな山頂がある、独特な地形です。
頂上から見た、高松市内中心部。
平らな市内が一望できます。
こちらは、昨日訪れた女木島。
景色が素晴らしいですね。

屋島山頂には、いろんな施設があります。実は老舗施設として、水族館もあるのですが、時間の都合そちらには行けませんでした。

こちらは、高松市が最近作った展望施設、「やしまーる」。
建物の中から眺めても、とても面白い感じのする、
なかなか芸術的な展望施設でした。

広い山頂部には、様々な施設があります。時には廃墟も。こちらは、宿泊施設の廃墟のようです。

宿泊施設(?)の廃墟。ここまで近くで眺められる廃墟も、
結構珍しいかもしれません。

■屋島から歩いて下山

この屋島、標高は約280mですが、そこから下山してみたいと思います。本来ならば、歩いて登山するのが楽しそうな場所ですが、この日は仕事を終えてから来ているので、下山だけでも楽しみたいと思います。

この門から、登山道が下っていきます。
昔のお遍路さんが通った道です。
崖のような急斜面を降りていく登山道。
舗装されているので、かなり良好に整備されています。
とはいえ、こんなヘアピンカーブが続いたりします。
山麓まで下りてきました。
この道、登山道ですが、「県道」なのですね。
それだけ屋島が重要なポジションだということでしょう。
県道沿いにある、高松市立屋島小学校。
二宮金次郎像がある、昔ながらの学校です。
小学校のそばに、農業用のため池がありました。
【仲池・道池改修工事記念碑】が建っています。
香川県は、ため池が沢山ある県としても知られています。
ため池越しに見る、屋島の山上。
こうしてみると、頂上が平らなことがよくわかります。
屋島登山道に建つ、史跡及び天然記念物の石碑。
ここが元々の屋島の表玄関であったことを物語ります。

■屋島ケーブルの跡地へ

屋島の山麓に降りてきました。登山道は、いまの琴電屋島駅の少し西側に降りてきます。古くから、この場所が屋島登山の玄関口でしたが、1929年に屋島登山鉄道のケーブルカーが開業すると、登山の表玄関の座は、こちらに明け渡すことになります。実はその後、先述したドライブウェイが戦後に開通したので、今も含めて、主役の座はドライブウェイが占めている状況です。ケーブルカーは、2004年に、運営する親会社である、高松琴平電鉄(琴電)が経営破綻したことに起因して、廃止されてしまいました。その山麓駅の跡地を訪れてみたいと思います。

琴電屋島駅からまっすぐ伸びる、コンクリート舗装の道。
この道がつながる方向には・・
少しカーブを描きながら続く、コンクリート舗装の古そうな道が。
その道は、山の麓の小さな建物まで伸びています。
ケーブルカーの駅前っぽい感じもしますが、
正面の建物は、新しい公民館のようです。
こちらの案内図には、「ケーブルカー(休止中)」の文字が。

そして、この新しい公民館に隠れるようにして佇むのが、こちらです。

ケーブルカーの駅の跡が。
しっかりケーブルの車両も健在です!
立入禁止措置等はされていないので、中に入ってみましょう。
ケーブルカーの駅、という感じの廃墟です。
この車両、かつては山頂駅にあったそうですが、
危険なので、ここまでおろされたそうです。
軌道跡は、まだレールも残っているようです。
この車両、扉が開いています。入れるのかな?
恐る恐る、ちょっと覗いてみましょう。
中には、ケーブルの現役時代の模様を説明するボードが。
どうやら、今も地域の方が管理してくださっているようです。
今も営業していそうなくらい、きれいな車内。
山頂から降ろされた車両と、山麓にあった車両が
2両まとめて、ここにあります。
屋島登山口駅の駅名標。山上駅まで、800mだったそうです。

いやー、これは素晴らしい廃墟を見せていただきました。住宅地の中にあり、今でも地域の方が少し面倒を見てくださっている、明るい廃墟。とても素晴らしい場所でした。

■琴電屋島駅から電車に乗る

さて、探索を終えて、この駅に降りてきました。

琴電屋島駅。昔からある、素敵なレトロ駅舎です。
駅舎から見た、ケーブルに伸びる道と、屋島。
とても絵になる光景です。
近代化産業遺産に認定された駅舎。昭和4年にできた建物です。
今もなお現役なのが、とても素晴らしいです。
ホームも、昔ながらの石積みのホームを少し嵩上げしているのが素敵。
ホームから眺めた駅舎。上家も含めて、やはりとても素晴らしいです。

■高松築港へ戻る

ことでん志度線に乗り、高松築港を目指します。この電車、今は全列車高松の中心市街地、瓦町駅までしか行きません。

高松築港へは、瓦町駅で乗り換えです。
かつては線路が繋がっていましたが、
急カーブになるためなどの理由で、今はつながっていません。
少し長い動く歩道を通り、乗換が必要です。
瓦町駅に来ました。帰宅時間帯で賑わっていました。
高松築港駅に戻りました。とても素敵なプチ鉄旅でした。
空港バスで、高松空港へ。
とても充実した滞在でした。

■終わりに

香川での仕事での滞在の最後に、屋島に寄り道をしてきました。山の上にある、古くからの観光地に向かう、お遍路さんの登山道と、かつての表玄関だったケーブルカーの残骸を見てきました。ちょっと寂れた部分もありつつ、それをも何だか優しく包み込んでいるような不思議な場所。そんな魅力を感じた滞在でした。

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