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◎渋谷で街歩き◎②:渋谷駅周辺のいま

7月初旬に、大学生の皆さんと渋谷を歩きました。渋谷といっても、駅周辺だけでなく、最初は代々木八幡駅周辺を散策し、渋谷区にある竪穴式住居や、童謡「春の小川」のモデルとなった付近を歩いてきました。同じ渋谷でも、とても牧歌的な場所があることを再認識しました。
(前回はこちら)

今回は、渋谷駅付近を歩いたので、その状況をご紹介したいと思います。

■渋谷駅周辺の歴史

街歩きに入る前に、渋谷駅付近を昔の地図を用いて辿ってみましょう。(ちょっと長い前置きです)

明治時代末期ごろの渋谷駅付近を今昔マップで見たところ。

明治時代の渋谷駅付近の様子です。この時は、明治神宮が建設中、今の代々木公園には代々木練兵場が、渋谷区役所のところに、監獄が、松濤地区は、鍋島農場がありました。渋谷駅は今よりも南側の、昔の埼京線ホームがあったあたりにありました。旧大山街道が横切っていて、西側の道玄坂、東側の宮益坂付近は賑わっていました。

昭和初期の渋谷駅付近。まだこの時は、「豊多摩郡渋谷町」なのですね。

昭和初期の地図を見ると、JR渋谷駅が現在の位置に移転し、昔の渋谷駅の跡地には貨物駅ができていることがわかります。田園都市線の前身、玉川電気鉄道(玉電)は、JR渋谷駅の線路下を横断し、渋谷川に沿って南下し、広尾近くの天現寺橋まで走っていました。東急東横線が開業し、東口に駅ができています。今は廃止された並木橋駅も描かれています。

1965年頃の渋谷駅付近。

1965年頃の渋谷です。国道246号と首都高速の高架道路が出現したのが大きな変化です。首都高は、今の南平台あたりで地平を走る箇所までの区間しか開業していません。東京五輪を契機に、代々木練兵場跡地は米軍ワシントンハイツとして使われていたのを、オリンピックの選手村として使い、代々木体育館などができたことで知られています。

2000年頃の渋谷駅周辺。

そして、再開発が始まる少し前の渋谷駅です。玉電が東急田園都市線になり、地下鉄半蔵門線と直通運転を開始しています。渋谷駅の南側の貨物駅が廃止され、その代わりに埼京線の渋谷駅が出来上がっています。

この地図の状況からさらに、地下鉄副都心線の開業、東急東横線の地下化、直通運転の開始が始まり、東横線の地上の渋谷駅部分が空地になったことをきっかけに、駅前の再開発を、その空地などを生かしながら有効活用し、新たな駅前の形を作るのが、今の再開発のプロジェクトなのです。

■渋谷川周辺を歩く

前置きはさておき、渋谷駅周辺を歩いた記録です。まずは渋谷川付近から。

西武百貨店と宮下公園を結ぶ架道橋。
宮下公園は、ビルの上に公園が整備されるスタイルで再開発されました。
ドラえもんのオブジェがなぜかあります(笑)。
宮下公園から見た、渋谷駅周辺。意外と眺望の利くビュースポットと言えます。
渋谷駅の北側は暗渠となった渋谷川が、南側には出現します。
渋谷川を潤いの水辺空間にしょうとする取組が進んでいます。
渋谷ストリームの横の渋谷川。水が流れているのは、下水処理場からの放流水です。
渋谷ストリームの上から見た、渋谷川の上空に架けられた広場。
イベントをやっていて賑わっています。

渋谷川は、JR線のすぐ東側を平行して南北に流れています。渋谷駅よりも北側は暗渠化され、駅前広場の中は、実はスクランブルスクエアの高層ビル内に暗渠が通過するという形になっています。駅の南側は、渋谷ストリームの開発と共に、水辺空間を賑わい拠点とするような取り組みが進んでいますが、昔の東横線の高架線の横であり、川はビルの背中向きになっているので、景観形成と言う意味ではまだまだこれからというところでしょう。

同行した大学生も、自身の課題レポートで、都市河川の水辺空間の改善提案をしなければいけないそうで、ここで行われている景観形成の取り組みを見ながら、その工夫点や課題点を確認していました。

■渋谷駅周辺の今を歩く

渋谷駅西口の駅前広場。バスターミナルが縮小、移転しています。

渋谷駅西口です。バスターミナルがあった駅前広場が一時的に縮小し、バスターミナルが移転しています。仮囲いが出来た範囲には、これから再開発ビルが建ちます。

移転した駅前バスターミナルの状況。結構複雑な感じになっています。
渋谷駅西口にあった東急百貨店の南館と西館はともに閉鎖され、解体中です。
後ろに渋谷スクランブルスクエアの東棟が見えています。
今あるビルの解体が進み、これから新たなビルが建つ計画です。

古いビルの解体が進み、新たなビルの建設が進んでいきます。と書くと、とても単純な感じがするのですが、解体中のビルの中にも、渋谷駅の旅客通路があったり、そもそも渋谷駅の構内にもビルが建つ予定で、線路の切換が終わらないとビルの工事が進まないため、見た目には遅々として工事が進まないように見えます。通路や線路などを少しずつ地道に切換ながら、徐々に工事を進めている状況です。

銀座線渋谷駅から伸びる車庫への線路。解体中の百貨店内を突っ切っています。

東京メトロ銀座線の駅は、すでに新しいホームが開業していますが、駅の西側にある、車庫に向かう線路はまだ古い状態のまま残っています。解体中の東急百貨店西館の中を突っ切っている形なので、建物の解体工事も簡単には進みません。

JR中央改札から西口側に向かう通路。
昔の銀座線ホームや、古い跨線橋を流用した仮通路です。

旅客通路も、昔の銀座線ホームがあった部分や、古い跨線橋があった部分などをつないで仮通路としています。一時的にこうした通路を通す間に、別の新しい通路を作っては切り替えて新しい施設を作り続ける地道な作業が続いています。

渋谷駅桜丘口再開発のビルが、完成に近づいた形を見せてきています。
一時的に空地のようになっていた地区に、あっという間に
高層ビルが出来上がりつつあります。
今の新南改札のある場所をめがけて、新たな連絡橋ができ始めています。
猿楽橋を下から眺めたところ。古い橋なので、リベットが多用されています。
断面力が大きいところは板厚を大きくするなど、工夫されているように見えます。

大学生と歩きながら、古い橋の補強方法などを見て、どこが大きな断面力かを推測しながら見ていました。構造力学の勉強をする際にも、こうした実際の橋の構造を推測しながら眺めていると、とても勉強になると再認識しました。

■終わりに

渋谷駅前を歩きました。私は少し前まで渋谷が職場だったので、渋谷のことはよく知っているつもりだったのですが、少し渋谷から離れているだけで、次々に通路などが変わっていくため、正直なところ道に迷いそうになるくらい、日々の変化が激しいと感じました。まだまだこれから、山手線外回りの線路の切換工事という大工事や、ビルの建設に向けて、支障する通路や銀座線の軌道などの切換を地道に行う必要のある工事。これからも状況を見守りながら、新しい街の完成形が見えてくることを楽しみにしたいと思います。


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