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他人にペンチで爪を剥がされた経験が…

ある人、手を挙げてぇ!!


はい、はい、はぁ~い……………って…あれっ……俺だけ…ですか……あっそう…あっ、はい…。

それじゃ話します。

20年位前、友人が遊びに来て忘れ物をし、届ける為に慌てて階段を駆け下りたらつまづいてしまった。

そしたら足の親指の爪から血が噴き出てきた。
原因は、安全靴をサンダルみたいにつっかけてたから。。。
(全然、安全じゃないじゃん安全靴!)

次の日、医者に見せたら、一言。
「あぁ、これは爪を剥がさないとダメだね」

えっ……………。

温厚そうなお爺さん医師に爪を剥がすと言われ、物凄く重くて低い「えっ」を呟いた。

机の引き出しを引いて、医療用のペンチを3つ取り出した。
「ホントにやるんですか!」
冗談であってくれと思い聞いたのだが、お医者さんはワニのくちばしみたいなギザギザがついた、1番強そうなペンチを選んでいる。
「あっ…ちょっと…待って下さい……なんとか引っぺがさないで済む方法…」
まだ僕がしゃべっている途中なのに「無理ですね」と言われてしまった。
確か土曜日だったので、他の患者さんがたくさん待っていたので、サッサと治療したかったらしい。

93 爪を剥がす20220420_07353745

血が噴き出ている爪をガッキとペンチで挟む、お医者さん。
「ちょっと、待っててください」
その医者の肩を掴む、僕。

「犯人は僕です、………だから、だから、止めて下さい」

突然の僕の自供もをニヤッとだけ笑って返す、お医者さん。

「さぁ…いくよぉ……1、2の3でやるからねぇ……」
冷たいペンチが親指の皮膚を押し込む。
ペンチのギザギサの感触が爪を食む。

「あの………味方のアジトも言いますから、だから……止めてください」

そう言いながら僕は、ヤクザとかの人は偉いなぁと思った。
拷問を浴びても口を割らないなんて………。

さぁ、拷問を始めましょう!
の雰囲気だけで耐えられないよ、ホントに。

医者の白衣をぎゅっと握る、僕。それだと作業……じゃないや、治療がしずらいのか、
「あのねぇ、君…………そりゃ爪を剥がされるのは嫌だろうけど、剥がす方だって嫌なんだよ、こっちだって!」
そう言って、僕がぎゅううとネジリ握っている白衣の手をほどかれた。

「さぁいくよぉぉ、12の3だからねぇ!」
お医者さんはペンチをぎゅっと握って爪にセットする。

僕は顔の形が変わるくらいに目をぎゅっと瞑った。

「いぃーちぃぃ」

僕は息をすぅっと吸った。
来るべき『3』の衝撃の為に。
全力で息を止めれば、少しは痛みが和らぐかも、と思った。

「にいぃぃぃ」

お医者さんは爪をスパーンと剥がした。
僕は驚きの「えっ」を呟いた。

「の」

とい言いながらフォロースルー(まぁ、爪を剥がした余韻とでも説明すればいいのかな…)をし、

「さん」

と言って決めポーズをとっていた。

「すんません、『3』で剥がすモノだとばっかりに……そのための心の準備を僕は……」

親指のつま先から血をダラダラとこぼしながら僕は聞いた。

肉がヌードになっている僕の親指。
そんなだったんだね。爪の内側って、、

消毒とガーゼを看護婦さんに貼って貰っている間の激痛が、どんだけ普段、爪に守られていたのかを知った。

お医者さんは「これ、どうする? 記念に持って帰る?」と、ペンチの先の爪を僕の顔先に突き出した。

捨てちゃってください、と僕は言うと、ゴミ箱にひょいと捨て、カランと音がなった。
もしかしたら、『合コンとかにもってってたら』モテるかも! と思った。
「みて、みてぇ! 僕の爪ぇ!」
多分、気持ち悪いって言われるだけなんだろうな。
僕はビッコを引きながら病室を出た。

1か月ぐらいたったら、爪が生えてきました。
有難う、爪。今度は大切に使うよ。と思った。

けど、10年後、また剥がさなければならなくなった。
(理由は、生え変わった爪は、また剝がれやすくなるらしい)

その時の別の医者も『2』のタイミングで剥がしてきた。

周期的に2022年は爪を剥がす年。

でも僕は知っている、『2』のタイミングだって事を!







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