伊茶 靖生

『感じて! 何も考えないで!』 僕が書くエッセイは、貴方の人生に何一つプラスになる事は…

伊茶 靖生

『感じて! 何も考えないで!』 僕が書くエッセイは、貴方の人生に何一つプラスになる事はありません。 ですが暇つぶしにはなるかもしれません! 新聞の4コマ漫画を読むような気楽な気持ちで読んで頂ければ幸いです。 クレヨンで描く、奥さんのイラストも、いい味だしてると思います。

最近の記事

【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ⑧

8話 『笑顔がみたいから』 「何を飲みますか!」 蕎麦屋から50メートルくらい離れた所に公園があり、そこまで二人で歩いて行って彼をベンチに座らせた。  公園の自販機にコインを投入し、聞いたのだが、俯いたまま答えないので、500ミリリットルの水と自分用の缶コーヒーを買い、はいどうぞと差し出すと、口では礼を言わずに会釈だけをして受け取り、蓋を開けて一気に半分近くまで飲み干した。  きちんと整髪料をつけていた髪の毛がびしょびしょに濡れて乱れている。 スーツも背中の半分と胸元まで、

    • 【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ⑦

      7話 『土下座の新人研修』  気象庁がやる梅雨明け宣言というのは毎年、『3日前から雨降ってないから、その日から梅雨明けって事で』的な態度が多かったのだが、今年は今日から梅雨明けですと、きちんと宣言をしてくれた。  お昼をだいぶ過ぎた2時近くに、暑くて食欲がなかったので、ざる蕎麦ぐらいしか食べる気にならず、取引先の近所の蕎麦屋に入った。 「そんなに気を使わなくていいですよ」 昼飯代を出すよと僕が言ったら、田中さんにそう言われてしまった。  そうは言うが、どうしても社長の娘さ

      • 【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ⑥

        6話 『印籠は先にだせ』  ワイパーが水滴を拭き取った後に、シミがよく目立つようになっていた。    フロントガラスに油膜がついているらしい。 運転席の窓ガラスが曇ってきたのでタオルで拭き取った。 面倒くさい季節がきたな。  6月6日の参観日、雨がザーザー降ってきて……。 娘が朝に歌っていた『かわいいコックさん』の歌を思い出した。 「今日から梅雨いりだそうです」 首にコルセットを巻いままの田中さんが言った。  本部長との相撲の取り組みによりムチウチになってしまい、首コ

        • 【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ⑤

          5話 『今夜のオカズは……』 サイドミラー越しからでも、まだ皆が手を振っているのが見える。 顔色までは分からないが、きっと笑顔なんだろうな。  うちの会社の条件を全てのんでくれただけに留まず、別れ際まで握手攻めだった。 まぁ、田中さんの手だけだけど。  「ケダモノ」と叫んでいた女性がバンに乗り込む前に六花亭のバターサンドを箱ごとくれた。 田中さんはひとつ取り出して袋を破り、口の中へ運んだ。 「係長の分はここに置いておきますね」 とモゴモゴと聞き取りづらい声で言いながら、

        【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ⑧

          【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ④

          4話 『ミケランジェロのモチーフ』  ファミレスのビッグボーイの看板をみかけると、いつもこの取引先の本部長の事を思い出してしまう。 好奇心旺盛な少年のような目つきと、テカテカした肌ツヤ、そして何よりクルンと遊んでいる前髪。 「よく来たな! 永谷千川君、ぐわははは」 にっこりと笑いながら会議室に入ってきた。 ステーキやハンバーガーなどを高々と掲げながら入ってきてくれたら完璧なのに、いつも手ぶら。 今日の出で立ちは、太い縦縞の線が入ったダブルのスーツをダブダブに着ていた。

          【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ④

          【創作大賞 お仕事小説部門】コンプラ破壊女王 ③

          3話 『もらいゲロを耐えよう』  ゴールデンウィークの最終日に、家族3人で市営の動物園に来ていた。 岩場の上でさっきから、ウエッウエッとえづいていたライオンがドシャーッともどしていた。  芝生の床一面に豪快にぶちまかれたゲロを見て、その付近に寝転がっていたメスライオンや子供達が、舌打ちをしながらスクッと立ち、場所を移している。  涙目になって「ごめーん」と謝っているオスライオンを見て、身重の妻と3歳の娘は腹を抱えて笑っていた。 わかるよ、君の気持ちが――。 ベンチでぐっ

          【創作大賞 お仕事小説部門】コンプラ破壊女王 ③

          【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ②

          2話 『窓から飛び込めっ!』  駐車場からバックで出ようとした時に、いつもの癖でつい助手席の頭の所に手を添えようとしてしまい、慌てて手を引っ込めた。 そこには田中さんが座っている。  足元のパンフレットやサンプルと箱ティッシュを気にしながら、チョコンと座っていた。 普段は助手席に山積みにしていた荷物を、商用車のバンの後部座席に置いたり足元に置いたりと分散させた。 今日から女子が乗るんだったら、ちゃんと片付けたのにな。 ティッシュを一週間に一箱を使うくらい重度の花粉症で

          【創作大賞 お仕事小説部門】  コンプラ破壊女王 ②

          【創作大賞 お仕事小説小説部門】  コンプラ破壊女王 ①

          あらすじ 1話 『国を亡ぼすほどの顔?』  バカな部下が次々と総務部へと向かっていく。 クジャクが羽を広げるような求愛行動をとりに行く。  どこぞの珍しいお菓子とか、有名なパティシエのスイーツを持ってくる献上タイプは、どうやら好まれているらしい。 けど、ホールケーキは評判悪いとのこと。 ご贈答にインパクトをつけたかったのだろうが、切り分けるのが面倒くさいそうだ。 手軽にサクッと食べられるのを持ってきてほしいそうです。  喫煙所で総務部の女の子達が教えてくれました。 「

          【創作大賞 お仕事小説小説部門】  コンプラ破壊女王 ①

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ⑦

          7話『アベベのせい』 スタート地点の垂れ幕を潜る。 ここがゴールじゃなかったんだ。 地元の中学生のバスケ部の男の子達が、沿道で一列に並んでいた。 ハイタッチをしてくれと、全員が手を差し出している。 回っている扇風機をイタズラに止めるような感覚で、30本ぐらいの手をパパンと叩いていった。  この辺りか、楓さんに「裸足でここまで来たの?」って言われた場所。 ホント、面白いなぁ楓さん。 4時間もたっているし、今頃はもう家に着いたかな。  ふくらはぎと膝があまりに痛くて、なん

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ⑦

          【創作大賞 恋愛小説部門】素足でGo! ⑥

          6話『✩▽□×◇✩』  23キロ地点の給水所でバナナを配布していたので、無我夢中で飛びついた。 そしたらバナナの皮で足を滑らせてしまい、マリオカートのように回転しながらすっ転んでしまった。 小銭は持っていなかったので、バラ蒔かずに済んだ。 バナナの革に滑って転ぶとか、いつの時代の話だよ、と起き上がる時にボヤいた。 わんぱく小学生みたいな擦り傷を膝小僧に作った。 ボランティアでバナナを配布していたおばちゃんに、消毒してもらい、でっかい絆創膏を貼ってもらった。 毎年、このバナ

          【創作大賞 恋愛小説部門】素足でGo! ⑥

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ⑤

          5話『原始人ではない…』 9時と同時にスタート地点から花火が上がった。 それが僕の位置から、マッチ棒程度の大きさで見えた。 鼓笛隊の演奏と沿道の大声援が、微かに聞こえる。 「なんか、スタートしたっぽいね」 前にいるランナーが、お尻をボリボリと掻きむしりながら隣の人に言った。 同じ大会に出ているのに、スタート地点とここでは、熱量が違う。 何が42.195キロだよ。 アルファベット順にスタート地点が分かれており、最後尾のH組の金色のゼッケンを着けている僕は、スタート地点まで何

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ⑤

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ④

          4話『アベベェー』 パソコンのモニターに、お腹がポッコリとした女性が横切る姿がうっすらと映った。 向かった先を見ると、11月の秋らしい栗色のワンピースを着ている女の人が、お尻を振りながら歩いている。 デンデン太鼓のように腕を横に振っている後ろ姿が可愛らしかった。 妊婦さんなのかな? と思っていたら、「総務部からのお届け物です」という声で、花江さんだと気付く事ができた。  妊娠8ヶ月→毎日ごはんが美味い→家でゲームしてた→暇→育児休暇関連の用紙を総務部まで届けに来た→営業部の

          【創作大賞 恋愛小説部門】  素足でGo! ④

          【創作大賞 恋愛小説部門】 素足でGo! ③

          3話『天竺って何県?』 それから一週間後、楓さんにコーヒーを飲みに行こうと誘われた。 会社の最寄り駅の駅ビルで待ち合わせをして、そこでアイスコーヒーを買って、川辺まで歩いた。  途中いろんな人が楓さんに見とれて、その後、僕を見ていた。 なんであんな奴がこんな美人を連れて歩いているんだという目をしている気がした。 川辺の手すりに手をかけたまま、楓さんはコーヒーをすすった。 「えっとね……、大輔さん」 笑顔でもなく、かといって怒っている訳でもない。 またズズッとコーヒーを飲んだ

          【創作大賞 恋愛小説部門】 素足でGo! ③

          【創作大賞 恋愛小説部門】 素足でGo! ②

          2話 『宇宙銃をオフィスに常備』 大きいマフラーを巻いている女の人と一緒のエレベーターに乗った。 白いブラウスの上に、薄い生地の紺色のカーディガンを羽織っている。 涼しそうな服装なのにもかかわらず、マフラーっておかしくないかな、と思った。 もう5月の中旬だというのに。 暑苦しいだろうよ、と横目でチラッと見ると、首にコルセットをつけているだけだった。 白と黒の線の入ったボーダー柄で、よく見ないと気づかない、おしゃれなコルセットだった。 頭が小さいからなのか、凄く目立つ。

          【創作大賞 恋愛小説部門】 素足でGo! ②

          【創作大賞2023 恋愛小説部門】素足でGo! ①

          あらすじ 1話『うっかり六兵衛、宇宙へ行く』 笑い転げていました。 「こっちが無理して来てやってんのに」 とかあれだけ怒鳴っていた取引先の偉い人が、今はニコニコとしている。 チリチリの髪の毛が肩までかかっているでっぷりとした体躯の人が、ずっと僕に野太い声で罵っていたのに、今は笑っている。 「この会社は、お客にお茶も出さないんですか」 とかキレッキレな嫌味を言っていた見た目が普通のおじさんも、本当にソファから落ちて床に転がっていた。 都心で大雪が降り、電車が止まって上司が来

          【創作大賞2023 恋愛小説部門】素足でGo! ①

          フローリング無理やりリフォ―ム~設置編~

          さぁ、フローリングを設置するぞぉ! その前に………ユーチューブだぁ。。 『フローリングDIY』を観て勉強。 とんでも無い事に手を出しているのに気づく。 でも今更に辞めらず、前に進むしかない。 丸のこでフローリングを切ることにする。 その前に、ユーチューブ。。。 とんでも無い事に手を出しているのに気づく。  まず、丸のこに刃をつけれない。 説明書を読んでもイマイチ。 ヤットコ着けれても刃がグラグラ。 試しに切って見たら、チョゲリーンみたいな変な音したし。 メーカーのサイトを見た

          フローリング無理やりリフォ―ム~設置編~