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俺とTHE NOVEMBERS

鬱ロックを漁っている時期に「白痴」という曲と出会った。
バックホーンの1st、初期のアートスクールと言った部分で大分毒されていた俺は、このうねるような、出だしからわかる不穏な空気感と、サビでメロディを捨てたようなシャウトは堪らなく印象に残り、これはたまらん!と、すぐ好きになった。

そんなきっかけを元にアルバムを聴いてみる。
こういったダークな音色を奏でるだけでなく、キラキラした楽曲もあった。

シャウトする系のバンド!という印象で聴くと、どちらかと言えばそういう楽曲よりも、ちょっと綺麗な楽曲が多いような印象を抱いた。

その為か「picinic」や「paraphilia」を聴いたタイミングではそこまでハマっていなかった。

単に言ってしまえば1stミニのバンド名を冠したアルバムが一番聞き心地的には良くて「she lab luck」「こわれる」や「白痴」あたりが好きだった。
衝動に焦がれた高校生の少年だった俺とはまだまだピントがはっきり合っていなかったように思う。

どっかでTHE NOVEMBERSは「ART-SCHOOLのフォロワーバンド」だから聴け!
みたいなこと言っていたヤツがいたけど、まあ影響は受けているにしてもあまり楽曲からそれを感じたことはなかったし…。
(※多分これは1期のART-SCHOOLが好きすぎた所為。2期を聴くとフォロワー感は確かにある。)

暫くすると「Misstopia」がリリースされる。
それまでリリースされた作品との違いはそこまで大きくないと思っているのだけど、聞き心地は断然こっちの方が良くなった。
大きくは歌なんだろうけど、サウンドのバランスもかなり聴きやすいのだと思う。
とにかく取っ掛かりさえできれば自然と他の楽曲も好きになれるように、彼らの音楽により入り込むきっかけになったのはこのアルバムだった。

最初は「Figure 0」や「dysphoria」と言ったダークな楽曲にハマっていたが、次第に「パラダイス」や「ウユニの恋人」と言った、キラキラとした轟音に惹かれていく。
これから先のことにはなるが、こういったダークな側面は持ちつつもサウンドはどちらかと言えば綺麗な轟音に俺は次第に強く影響を受ける。

また、このアルバムの前後でヨコ君にオススメしていたことで、同じくらいヨコ君がハマる。
彼も後々そういった影響を受けていたが、兎角サウンド面以外でも受けた影響の一つがファッションだった。
黒スキニーを好んで履くようになったり、ゆるやかなドレープ感のあるシャツや、シックにキマったシャツやら…。前髪は目を覆うような長さを維持したり、金髪になったり。
いつくらいの作品か忘れたが特に、小花柄のシャツを着ていたことから俺は真似し始めた。東京で生活を始めた時くらいだろうか。
この時期は若干高円寺っぽい影響もあって柄物やエスニック系もよく着ていた気がする。その前かもしれないけど。

「影響受け過ぎじゃね?」と言われそうだが、正直10年代以前のロック系ミュージシャンはまだまだ全然おしゃれじゃなかった。というよりファッション面なんて関わりもなかったのではないかというくらい。
こういう部分で言えばアーティストとファッションに結び付くのは早かったほうだと思う。

ただそれだけ先鋭的でもあったこと、4枚目くらいで今となってはかなり今っぽいことだけど自主レーベル化などしていき、更に彼らの音楽はどんどん進化(深化)していた。

雑に表現すると、サウンドのアプローチは変化をしているけど、どちらかと言えば芯の部分は変わらず、追求の末の変化みたいな。

「GIFT」「Fouth Wall」が出た頃、このふり幅は元々あったものだし、そこからの進化だった「Zeitgeist」もカラー自体はそこまで変化はしていないと思うのだけど…。

ただ個人的には「Misstopia」の頃にあった、わかりやすさや、ポップ性からは離れていったような感じがあった。
それが良いことか悪いことかは判断しづらいが、俺は日本のポップスで育ってきたし、何より歌モノばかり聴いていたので次の「Rhapsody in Beauty」で少し離れてしまった。

そんなこんなだが、割とライブも観にいった。
というより、ヨコ君が俺以上のハマり具合を見せた(第2弾)ことがきっかけである。
初めて見たのはART-SCHOOLとの2マン。観た時の感想を簡単にするならART-SCHOOLより格好良かった。
(※この頃のART-SCHOOLはいわゆる…声問題がありました。)

後、新木場でノベンバを観る。スピーカーがバカみたいにあるのでちょっと笑った。
基本的にこの頃の印象は楽器をエフェクトで重ねていろいろな音に変化させたり、轟音でシューゲイザー特有の没入感を演出したりしていたりでカッコいいよりまさに美しいといった音像だった。

いつのライブかは忘れたけれどライブで演ったパラダイスを聴いた時、あの音をベースが演奏して出していることにかなり驚いたのは覚えている。

兎角、彼らの影響を強く受けたことで、エフェクトに対する学びも増えたことや、ファッション的な影響もあって友人作りには一役かったこともあって大事な音楽のひとつである。

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