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死ぬまでに観たい2010年代映画100 10章: 2019年

《死ぬまでに観たい2010年代映画》第十章です。

2019年総括(筆者:社会人3年目)ドキュメンタリー映画当たり年

世間ではアニメーション映画が話題になりました。日本では『天気の子』を含めた、ポスト『君の名は。』映画が次々と批評面で爆死していく中、『プロメア』、『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』がカルト映画化していった。前者は興行収入で言えば前者は11億円。後者は上映劇場が少ないにもかかわらず8億円を突破した。また年の瀬にひっそり公開された『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は2016年版と比べハッキリとなったすずさんの心情の輪郭に多くの映画ファン&大衆が驚かされました。

国際的にみてみると、今年はアカデミー賞長編アニメーション賞におけるヨーロッパ映画枠が大渋滞している。『カブールのツバメ』、『失くした体』、『マローナの素晴らしき旅』、さらにはルイス・ブニュエルが『糧なき土地』を撮るまでを描いたマニアックすぎるテーマの『Buñuel en el laberinto de las tortugas』などが次々と公開され話題となった年でした。

ただ、実はあたりの数で言えば異例と言っていいほどドキュメンタリーが豊作であったことは声を大にして言いたい。

アカデミー賞に向け前哨戦を勝ち上がっている作品には北マケドニアの隠された生活を描いた『Honeyland』に始まり、アメリカに進出する中国企業と現地労働者の軋轢を描いた『アメリカン・ファクトリー』、ブラジルの汚職を鋭く描いた『ブラジル-消えゆく民主主義-』などが所狭しと鎬を削っている。

また技術面で言えば、アポロ月面着陸50周年を記念してアーカイブ映像をデジタル修復した『アポロ11』や素材状況が悪く企画が頓挫したアレサ・フランクリンのコンサート映画を技術でカバーし復活させた『Amaging Grace』、難民となった家族がスマホ片手に国境を渡る姿を収めた『ミッドナイト・トラベラー』などがある。

そして、山形国際ドキュメンタリー映画祭では王兵の渾身8時間ドキュメンタリー『死霊魂』やフレデリック・ワイズマンの『インディアナ州モンロヴィア』、スーダンの映画事情を描いた『木々について語ること』、引越し業者のブラック企業体制を告発した『アリ地獄天国』などといった意欲作が次々と公開されました。

日本では『主戦場』、『ナイトクルージング』、『i-新聞記者ドキュメント-』や『東京干潟』などといった作品が話題となりました。

ドキュメンタリー映画は通常、映画ファンの間でも話題にならなかったりするのですが、日本において今年は『フリーソロ』、『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』はオフ会でも度々話題になるほどの盛り上がりを魅せました。

Twitterでよく自分の好きな映画10作品を挙げる企画が開催されるのですが、ドキュメンタリーだけは露骨に個性が現れる。あまり普段掘られることない且つ作品数が多い金脈となっているので、私も2020年代はドキュメンタリー映画に力入れていこうと思いました。

というわけで、最後の10選をみていきましょう。尚、既にいろんなところで散々書いてきた『パラサイト 半地下の家族』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『TOURISM』などといった作品は敢えて外しています。他にもある2010年代重要な作品に光を当ててみました。

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