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お気に入りのアメリカの自然

 自然は土地の違いを露骨にあらわす。日本に来れば東京や京都、アメリカはニューヨークやロサンゼルス、フランスはパリ、もちろんそういう都市にも旅行の良さがあるだろう。
 でも日本に来るなら日本の山や田舎を見てほしい、アメリカに行くなら広大なアメリカだからこそあるたくさんの自然を見てほしい。私がそう思ったのは思春期にカナダに住んでいる間に訪れた国立公園での体験や日本での登山経験からだ。

 アメリカで私のお気に入りはやっぱりグランドサークルの観光である。グランドサークルはユタ州、コロラド州を中心とする国立公園の集まりで、アメリカの砂漠地帯の面白い自然がたくさん見られる。ハイキングコースやキャンプできるところもたくさんあってすばらしいアウトドアスポットだ。

アーチーズ国立公園ハイキングコース

 アーチーズ国立公園には3回訪れた。ユタ州のホームステイ先のホストファミリーと2回、家族で1回。ユタ州全体が元々砂漠地帯なので、住宅街の向こうに赤土の山があったりと驚きばかりだったが、アーチーズ国立公園はその赤土の山が風化して不思議な造形をつくっている。国立公園にはハイキングコースがたくさんあっていろんな場所を歩いてみたがとにかく広い、大きい、赤い。コースは道というより一枚の大きな岩を登るという感じ。歩く先を見ても大体ずっと同じ景色で心が折れそうになったけれど、それと同時に空の青と地面の赤のコントラストがすごく綺麗だった。日本は緑ばっかりだから、植物がほとんど生えていないのにも驚いた。
 このハイキングコースがすごく気に入って、結局3度も行く始末だ。今思えば見慣れた自然とのあまりにも違う様子に心が動き気に入ったのだろう。

モニュメントバレーに続くルート66

 モニュメントバレーはそれ自体も面白いけれど、モニュメントバレーに続く道が面白い。ルート66という有名な道路をずっと走っていくのだが、右も左も平坦な砂漠である。高山植物に似た小さな木や草が生えた砂漠をただひたすら通っていく。こんなに平坦で地平線まで見渡せてしまうような場所ってあるだろうか。しかも天気がいい。この辺りではある一定の期間以外雨が降らないから観光で来る時期はずっと空が青い。窓を開けて風に吹かれながらこの道を走るのがものすごく気持ちよかった。

アンテロープキャニオン

私の一番のお気に入りはアンテロープキャニオンだ。雨季にコロラド川が氾濫しその大量の水が岩をえぐってできた深い渓谷だ。雨季以外は水は流れておらず、渓谷の中を歩くことができるのだが、本当になんとも言えない美しさ。それでもって水がこんなに固い岩の形を変えることができるのかこんなにも深い渓谷ができるのかと、自然の脅威を感じた体験だった。
ピックアップトラックみたいなのの後ろに乗って道のない砂漠をずんどこずんどこ走って渓谷まで連れて行ってもらうのも面白かった。

渓谷の中から空を見上げる

いわずもがななグランドキャニオン。広大で吸い込まれるような感覚を覚えた。しかし近くにあるホースシューベンド(コロラド川が蹄鉄のように蛇行している場所)の方が広大さに驚き、落ちたらという恐怖を感じた。地層が綺麗に見られて本当に地球は何万年もの間変化しつつでも変わらず存在し続けていることがわかり、自分がとてもちっぽけに感じる。
記憶を辿り、写真を見返しながらやっぱりこれが同じ地球か?と不思議に思う。見たことのない地球の顔がまだまだたくさんあるんだと好奇心が刺激される。

ホースシューベンド

 アメリカはなんでも日本より大きいとよくいう。それは都市を見てもそうなのかもしれない。でも私はこの自然を見て地球の大きさや自然の凄さを実感したと思う。まだまだ行ったことのない面白い場所がたくさんある。ロッキー山脈の方には行ったことがないし、ちょっと不思議な自然があるというセドナにはカナダ在住中に行くことはできなかった。次にこのあたりに行ったらもっと自分の足で歩いて冒険したい。歩けど歩けど一回やそこらでは到底歩き切れない広さだから何度行っても飽きないのだろうなぁ。
日本にもたくさん面白いところがある。アルプスはもちろん、利尻や羅臼とか日本でありながら日本離れした自然も見にいきたい。
そういえばイエローストーン国立公園も面白かったのでそれはまた今度書きます。

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