文学カルト

ひとつ。書くこと。
君は書くことにより高みへ上れる。一文字ごとに一枚昇るのだ。

ふたつ。見せれること。
明日の自分、もしくは昨日の知り合い、書くとは見せられるようにすることだ。抱えずに出すこと。

みっつ。信じること。
今日は書けなくても明日には書けるはず、そのことを信じ、無力な夜の慰めとすること。書けないのはそのときがまだ来ていないからだ。


文学カルトとは

文学カルトは宗教団体である。
宗教団体とは信じていれば生きやすくなるモノ・コト全般である。
ちなみに教祖は私、信者は僕だ。

教義は「信じること」だ。
明日の自分を信じる。
過去が存在していると信じる。
未来の不可知性を信じ、
現在のもがきを信じることだ。

信じるがゆえに書くのだ。
ひとつ、完成させるごとに死ぬ。
いち字、打ち込むごとに殺す。
その繰り返しにより黒いインクで血の道を築くことだけが、「よく」なる唯一の方法であると信じるのだ。


わたしは、物語を信じます。
今まで僕が生きてきた軌跡、感じてきたこと、通ってきた道、そのすべてが「物語」の中に存在することを信じます。
例えそれがどこにも残っていなくても、文字にも写真にもなくっても、それが「どこか」にあり、「いつか」それを読むことができると信じます。
過去のわたしはあの日吸った空気の中にあるのではありません。拡散された目に映らないくうにあるのではありません。
わたしの「物語」はどこかに参照できるかたちで残っているのであり、きっと「いつか」みらいのどこかでわたしがそれを「読む」ことができるのだと信じます。