見出し画像

最初の言の葉

2006年当時、剛さん27歳にしてこのような詩が出てくるということに、彼が背負って来たものの重さを感じると同時に、同じような境遇の人に寄り添い、「共に生きよう」という温かい想いを受け取った。
僕はこの年、人を信じられなくなって自分の殻に閉じこもり、最も身近にいるはずの家族の言葉さえ遮っていた。生きている意味が見出せず、死んでしまいたいと毎日思っていた。
10月8日、なけなしの金をはたいて行った横浜みなとみらいで彼の口から出た言葉

「人生に無駄な時間なんてない」

僕はこの言葉で救われた。 「生きよう」と思うことができた。
今「生きていてよかった」と心から思う。
ありがとう、剛さん

上記は9月28日にYouTubeにアップされた THE FIRST TAKE 『これだけの日を跨いで来たのだから』に僕が書き込んだコメントである
(注:12月、IDを変更しTwitter、note、LINE、YouTubeの4つのSNSを【cheri_pb】で統一した)

堂本剛 の言葉に命を救われた経験
それは16年前の2006年10月8日に遡る

人を信じられなくなったというのは、大学卒業間近の就職活動中、ある企業の面接官から投げられた言葉による

「あなたみたいな人間は何処に行っても雇ってくれないでしょう」
「何とかしてあげたいけどしてやれないなあ」

僕は元来コミュ障で、物心ついたときには既に話すことが不得意であることを自覚していた
小学校では朝の出欠確認で「はい」と返事をするだけで、以後一切の口を利かない
いつも一人でいる「喋らない奴」という印象から、いじめや嫌がらせも何度も、男子からも女子からも受けた

そして5年生の夏休み、コミュ障どころではない、人を嫌いになるレベルにまで堕ちる大きな出来事があった
(これは一部始終を知っている家族以外、余程信頼できると判断した人にしか詳細は明かせない)
その後同級生がそのことに触れて声を掛けてきたり、当時の担任もそのことを思い出させて「卒業文集の原稿を書いてみれば」などと言ってくる

皆嫌いだった
「声を掛けるな」「近寄ってくるな」ということを心の中で訴えているだけだった

その後中学、高校、大学と、少しばかり人間不信が和らいでいた時期もあったのだが、それでも他者とは上辺だけの付き合いしかしてこなかった

こんな僕が社会人になり世の中の歯車の一部になるのは、どう考えても非常に困難なことだったと今となっては思う

しかし当時投げつけられたその一言は僕から希望を奪い全てを遮断させた
ずっと家の中に籠り毎日昼夜逆転の生活を送り続け、極度のストレスで髪も20代前半とは思えないレベルで後退した
「何でもいいから働け」と、両親からも疎まれる日々だった

自分は何故こうなってしまったのか
原因を探っても答えには辿り着けない
辿り着けないのに解明しようとしてまた苦しくなる
毎日空を眺めては「死にたい」とばかり考えていた

このとき僕を救ってくれた人は二人いた
一人は一切の文句を言わずに見守ってくれていた祖母だった
「あんたがつらいのはあたしは分かってる」
優しかった祖母の言葉は今でもはっきりと覚えている
その言葉で少し救われた気がした

そしてもう一人が堂本剛さんだった
先述の通り、2006年10月8日、ENDLICHERI☆ENDLICHERIの横浜みなとみらいでのライブのMCで、僕は確かに「人生に無駄な時間なんてない」という彼の言葉を聴いた

今の苦しみが無駄ではなかったと思える日がいつか来るのか?
半信半疑ではあったが、僕は彼の言葉を信じることにした

なぜなら、彼もまた人間不信を経験し、乗り越えて生きている人だったから

これより2年前の2004年9月5日、僕はさいたまスーパーアリーナで、当時の堂本剛2nd LIVE [Si:]~FIRST LINE~のMCで彼が話していたのを、直接聴いていた

「人は面と向かっているときは頭を撫でるけど、陰では思いっきりパンチしてボコボコにする」
「そんな場面を何度も見てきて人を信じられなくなった。でも音楽をやる中で出会った人たちのおかげで、もう一度信じてみようという気になった」
そんな話だったと思う

当時は単純な好奇心だったのだ
堂本剛は何をやってもかっこいいと思っていたし、KinKi Kids として人気の絶頂にある彼にそんな悩みがあったとは知らず、彼をもっと深く知りたいと思った

それがこんな形で、「人間不信」という同じ言葉で表される状況に自分も置かれ、そして「人生に無駄な時間なんてない」という言の葉によって救われることになるとは思いもしなかった

この言の葉をきっかけに、僕は堂本剛を命の恩人であると認識し、彼と共に生きていきたいと願うようになった

2007年、僕は自分の生き方を真剣に考え、一歩を踏み出した

しかしそれも長くは続かなかったという前置きをして、この記事を閉じたいと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?