花を見て思い出す事
音楽や香りで、過去の記憶を思い出すことがありますが、
特定の花を見ても、過去の場面を思い出す事があります。
私はシクラメンを見ると、ピアノの先生を思い出します🎹♬♫
小学生の頃、近所でピアノを習っていましたが、
冬になると突然、ピアノの先生が
ガレージに色とりどりのシクラメンを並べて、シクラメンを売り出すのです。
私はピアノの先生がなぜいきなり花を売り始めるのか、とても不思議でした。
しかも、シクラメンだけを売っているのです。
近所の奥さま達は、並べられたシクラメンを見てとても嬉しそうに
どれがいいかしらと、好きな色を選び、シクラメンを買っていくのです。
それからピアノの先生が冬にシクラメンをガレージに並べるのが恒例になりました。
私の疑問は二つになりました。
一つ目は、なぜピアノの先生なのに、冬になるといきなりシクラメンを売り出すのか。
二つ目は、奥さまたちは毎年シクラメンを買っているのに、去年買ったシクラメンは枯れてしまったのか。
なぜシクラメンを売るのか、
先生に直接聞けばよかったのですが、子供の頃の私はとても遠慮深い子供だったので、聞かなかったのです。
大人になった今でも、
ピアノの先生がなぜシクラメンを売りだすのか、謎のまま。
知り合いに花屋さんがいて、
シクラメンを置かせて(販売したい)と頼まれただけなのかもしれない。
けれど、ある年、いつものように
綺麗なシクラメンが並べられているのに、近所の奥さんたちの姿はなかった。
私は家に帰って、シクラメンは買わないのか聞いたら、
別にいいわ、と、もうシクラメンには興味がなくなっていた。
飽きたのだ。
確かにシクラメンは安くもないし、
買っても、翌年には枯れてしまうか、葉が出るだけで花が咲かない事に奥さまたちが気がついたのかもしれない。
子供の頃の私はピアノの先生の家のガレージに並べられている大ぶりのシクラメンの鉢を眺め、
私なら何色を買うかいつも考えていた。
やがてピアノの先生は旦那さんの転勤で海外に引っ越して行った。
生徒がいるのでしばらくは、
代わりにアルバイトの先生がきていたけれど、その先生も結婚するとかで、ピアノ教室は無くなった。
やがて先生の家は取り壊され、
全く別の建物が建った。
私はその建物の前を通る時、
私はあの場所でピアノを弾いていたんだ、と今でも思う。
でももうあの場所にはいけない。
全く違う建物になってしまったから。
人が集まる時に、テーブルに飾ると華やかになる。
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