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赤毛のアン

こんにちは、筑前煮です。

自己紹介や初めての投稿のところで、好きなことについて綴っていくと書いたので、まずは好きな本についてでも述べていこうかなと思います。

本が好きです!と胸を張れるくらいたくさんの本を読んでいるわけではないけど、好き!最高!と思っている本は僭越ながらいくつかあるので、まずはそのうちの一つである『赤毛のアン』について書いていこうと思います。

ネタバレ有。嫌な方はご注意ください。

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『赤毛のアン』を初めて読んだのは多分小学生の頃だったと思う。はっきりと記憶にあるわけではないんだけど、家を整理していたら小1の頃の自分が作ったアン・シャーリーを模した人形が出てきたので、多分、小1くらいの頃に子ども版の簡易なシリーズを読んだんだと思う。小学校の展覧会とかに出品した作品って実家を掘り起こすといっぱい出てくるよね。あれってどうするのが正解なんだ?

この時の自分が、この本を読んで何を思ったのかは覚えてないんだけど、展覧会用の作品のテーマにするくらいだから、おそらく何か刺さるものがあったのだろう。

そしてまあ月日が経ち、今年の三月とか四月頃に何となく本屋で村岡花子さん訳の、新潮文庫の『赤毛のアン』を手に取った。

電車での暇つぶしにでもと思って購入し、何となく読み進めていったところ、もう、何というか本当に良すぎて、うわ〜最高!と心の中でのたうち回った。

あらすじ

読んだことある方も多いかもしれないけど、一応本の紹介を。

赤毛のアンは、孤児の男の子を引き取ろうとしたマリラとマシュウの老兄妹の元に、女の子のアン・シャーリーが間違ってやってきたところから物語が始まる。

夢見がちでおしゃべりな少し変わった女の子アンの、いわゆる成長物語が、カナダの美しい自然が残るプリンス・エドワード島を舞台に生き生きと語られる。

シリーズは全9巻で(他にも短編集などがある)赤毛のアン』の続編として『アンの青春』、『アンの愛情』などが出版されている。


最高ポイント①アンの魅力

何かの作品を良いなと思う時って、人によって色々基準があると思う。話の展開が好き、作品そのものの雰囲気が好き、登場人物の性格が好き、登場人物同士の関係性が好き……人によって様々だろう。

私が『赤毛のアン』を好きな理由として、ダントツで、アンの人間的な魅力が挙げられる。

物怖じせず人懐っこく、おしゃべりで、夢見がち。おしゃべりの内容も、何というか人を不快にさせるようなものではなく、例えば「ねえ、あそこの小道って私が今まで出会ったものの中でも一番綺麗!ここに住んで、ここの場所を毎日通れるなんて夢みたいね!ねえ、マシュウ、あの道に私だけの特別な名前を付けてもいい?」みたいな感じの話し方をする。

いや、ちょっとこの例は私の語彙力と文章力がカスなせいで変にチープになってしまっているので、全然良さが伝わらないかもしれないが、なんというか、生きてるのって良いなと思わせてくれるのだ。

私自身が、基本的に暗くて、気を抜くと世の中の大抵のことを斜に構えて見てしまうような人間なので、日々の小さななんでもないことに驚いたり感激したり、喜びを見出したりできるアンが、ものすごく眩しくて、そしてとても尊いなと感じる。

ネットで色々な方の感想を読んだりしていると、「赤毛のアンは、大人のマシュウとマニラがアンに出会ってからアンに救われる話だ。」というような言葉をよく見かけるのだが、毎回めちゃくちゃ分かるな〜と思う。

想像力豊かで、澄んだ心と聡明さを併せ持ち、周りの事物への愛情で溢れている女の子は、存在するだけで人を救うのだ。
出会えて良かった、eが付く方のanneのアン・シャーリー。

あと、個人的に、気が強い女の子が好きなので、赤毛をからかってきたギルバートの頭をアンが間髪いれずに石板でぶったたくエピソードがかなり好きである。

いるよな、ギルバートみたいな男の子。
ギルバートはこの後ちゃんと素敵な人に成長するんだけど、この頃のギルバートは、器量が良くて頭も良い人間に見られがちな、自分が何しても異性がそうそう自分を嫌いにならないことを自覚しているような傲慢さが少しあるので。

魅力的な異性だからって、人を侮辱するような態度を簡単に取っていいわけじゃないんですよね、本当に。男女問わずね。

最高ポイント②地の文の自然描写の豊かさ

これもね、すごいんですよ。
多分私が『赤毛のアン』を書いたとしてもこんなに生き生きとした、胸が高鳴るような物語にはならなかったと思う。

原作者も訳した方も本当にすごい。

果樹園に実る桃や山林檎の瑞々しい質感、初夏の風の香り、木立ちから差し込む木漏れ日の柔らかな色合い。

カナダの美しい自然が、卓越した表現力で、五感に訴えかけてくるような生き生きとしたタッチで描写されている。

最高。

私の語彙力は最低なので、この部分については実際に本を読んで体験してみてほしい。

最高ポイント③題材の普遍性

アンは最高の女の子なんだけど、それと同時にとてもとても普通な女の子でもある。
赤毛で悩みまくって染髪料を買うも、パチモンだったせいで髪がとんでもない緑色になってしまったり、流行のそでが膨らんでいるタイプの服をマシュウからプレゼントされると大喜びしたり、エピソードの一つ一つが、そういう時期を過ごしたことがある人間なら、皆が共感できるような普遍性に富んでいるのだ。

こういう外見に関することだけではなく、勉強だったり、人間関係だったり、誰もが抱いているような悩みをアンも抱いて、そして、自分なりに答えを導き出して乗り越えていく。

マニラとの母子関係もかなり好きだ。マニラの性格的に、仲良しうふふ♡という感じではないが、マニラからの深い愛情が見え隠れする瞬間が、本当に堪らない。

人生に寄り添ってくれるような本が一冊くらいあった方が、人生楽しいに決まってるじゃないですか。今の私にとって、赤毛のアンはかなりそんな感じの本です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

好きな作品について語ることはやはり楽しいので、時間を忘れてスマホの小さい画面を必死に覗き込んで文字を打っていました。

つぎは『獣の奏者』について書く予定です。

それでは、また会いましょう!

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