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イモづる読書【その106】 ・・・観てから読むか、読みながら観るか・・読んでから観た『テルマ&ルイーズ』

先回の記事から2、3日あと、偶然に「テルマ&ルイーズ」を観ました。ひかりTVのザ・シネマで、放映の30分くらい前に気付きました。少々予定を変更してみることに・・・

この映画は初見ですが、プロットがはっきりと頭に入っているという珍しい映画です。

「テルマ&ルイーズ」は、記憶では『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・ フィールドの脚本術 』(略称、シド・ フィールドの脚本術1)で知り、いずれ観なければと思っていた映画です。

この「シド・ フィールドの脚本術1」で、ネタバレどころでなく詳細に分析がされプロットがわかり、続編の『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2』でも繰り返し解説があり、ずいぶん年数を経て日本語版が上梓された『最高の映画を書くためにあなたが解決しなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術3』でも取り上げられています。

脚本術3は、シド・フィールド先生の遺言みたいなありがたい書籍です。
それには、是非観て欲しい 映画として、『パルプフィクション』『ショーシャンクの空に』『テルマ&ルイーズ』 『羊たちの沈黙』『クリムゾンタイド』とあります。

にもかかわらず、作品は観なかった【うん、ほんまやで】

スクリーン(映画館)で観たい・・・どれもこれもおもうけど、観れない・・・ツタヤへいけば観れるのだが・・・理由はわからないが、たぶん・・・・・
さきほど触れたように、シド・フィールド先生からプロットを教えてもらったためのような気がしています。

今でも強く印象に残っているのは、プロットポイント1・・・トルガーまさに「引き金」のシーンとプロットポイント2の風景・・・観ていないのに場面が浮かんでくる・・・

観て気づいて良かった点

タイトルバック
『テルマ&ルイーズ』はロードムービーというジャンルの映画で舞台がどんどん変化していきます。このような映画のエスタブリッシュショットってどこにするか・・・なるほど・・・プロットが頭に入っているので、ここでしょうと納得。

人物紹介の流れ 
ルイーズ→テルマ→ダリル→テルマ(荷物をまとめる)→ルイーズ→(ジミー写真を伏せる)→ルイーズ

拳銃の出し方
荷造りのシーンと車の中テルマは運転中のルイズに銃を渡すヤリトリ。

テルマがコンビニ強盗をするシーン
「シーンは遅く入って」の実例、フラッシュバックから現在に戻るシーン。

プロットポイント 2
広大で、静かな風景の中に車を停めて水を飲むシーン。
想像以上の完全な静けさのシーン。

トラウマ
ルイーズの衝撃的な行動の理由(トラウマ)。回想シーンや長いセリフでの提示があると思っていましたが、短い(それも直接的でない)セリフ、テルマの質問に否定する形でホノメカす・・・ギリギリ伝わるスゴい手法と感動【シランケド】

JD
ブラッド・ピット? 思わずビックリした。どう観てもブラッド・ピットだ。

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また、脚本術2から脚本術3の間に読んだ『「感情」から書く脚本術』『工学的ストーリー創作入門』、『作家の旅』、マッキー先生の『ストーリー』にも登場します。


『「感情」から書く脚本術』
では、キャラクターの描写に注目していましたし、
セリフが多く引用され、「スイッチを入れる台詞」とか「ウィット」とかに分けて、取り上げ解説があります。
特に「沈黙」という項には、

ある特定の感情を伝えたいときには、 わざわざ鼻につく台詞に乗せるよりも、 黙っていた方がよほど効果的・・・感極まって二の句が継げない場合でも、 計算づくで質問を無視するような場合でも、沈 黙で読者の感 情を揺さぶることができる。

「感情」から書く脚本術

ルイーズ 「うまくいかないよ」
テルマ 「なんで?」
ルイーズ「物証がないから。 あいつがやったって証明できないでしょ。 あなたに触った証拠すらないから」
2 人 とも黙 って一瞬考える。
テルマ 「はあ、 法律 ってややこしいよね」
間があって
テルマ  「何でそんなこと知 ってるの?」
ルイーズ、 答 えない

「感情」から書く脚本術

この会話はスゴい! 前述の「トラウマ」の伏線です。「ややこしい法律をなんで知っているの?」の問いかけに、無言で答える迫力・・・【沈黙は金なり】

マッキー先生の『ストーリー』では、長年の疑問がとけました。
「テルマ」と「ルイーズ」どっちが主人公だ?
ストーリー創作指南書を乱読していると、「主人公はひとり」とか「明確にする」とか・・・主人公(ヒーロー)をしっかり絞り込む解説がほとんどです。

「テルマ」と「ルイーズ」どっちか?
題名から推測すると、「テルマ」です。まだ、観ていない段階では、「テルマ」が主人公だと思っていました。
観てみると、ファーストシーンは「ルイーズ」です。
全体的にもストーリーをひっぱっていくのは「ルイーズ」です。
そうであれば、タイトルは「ルイーズ&テルマ」でしょう?

マッキー先生の『ストーリー』で、解決しました。

ふつう、主人公は単独の登場人物だ。しかし、ストーリーは『テルマ&ルイーズ』のようなふたり組、二名から三名の登場人物を複数主人公にする場合、満たすべき条件がふたつある。
第一に、全員が同じ欲求を共有していること。
第二に、その欲求を満たそうと動いているときに、全員が共通して苦しんだり利益を得たりすることだ。ひとりが成功すれば、全員が恩恵を受ける。ひとりが挫折すれば、全員が損害をこうむる。複数主人公のなかでは、動機や行動や結果が共通している。

マッキー『ストーリー』

『テルマ&ルイーズ』は複数主人公だった。
上記の二つの条件をピッタリ満たしていて、納得しました【うん、ほんまやで】

まとめ

思わぬ偶然から「読んでから観る」が実現しました。
『テルマ&ルイーズ』は観る前からプロットを把握していたというまれなケースであり、「読んでから観る」に有効でした。
『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・ フィールドの脚本術 』(略称、シド・ フィールドの脚本術1)を初めて読んだとき、
「第12章ストーリー ラインを構築する」の「5×3情報カードを活用しよう」をカードではなく、Post-itで試しました。

例えば、『テルマルイーズ』の第一幕を構成しようとすれば、カードはこうなる。カード1 ルイーズが働いている。
カード2 ルイーズが、テルマに電話する。
カード3 テルマとダリル。旅行については聞かない。
カード4 テルマとルイーズは荷作りする。
カード5 ルイーズがテルマを拾ぅ。
カード6 山に向かって車を走らせる。
カード7 テルマが途中休憩したがる。
カード8 何か食べて休憩するためにシルバーブレットで止まる。
カード9 ハーランがテルマを口説く。
カード10   酒を飲み、おしやべりする。
カード11   ハーランとテルマがダンスする。テルマ、気分が悪くなる。
カード12   ハーランがテルマを外に連れ出す。
カード13   ハーランがテルマをレイプしよぅとする。
カード14 ルイーズがハーランを殺す。
カードを使って、シンフル、簡単に脚本を組み立てられる

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・ フィールドの脚本術

第二幕、第三幕も作ってみました。もちろん映画自体観ていないので、この書籍からだけの情報で作ったので、アナだらけでいたが、勝手にエピソードを足したりして・・・ガゾリンがなくなる・・・お金がない・・・車の故障・・・食事は・・・警察は・・・などとエピソードをひとりブレンストーミングした思い出があります。
完成した映画は、スッキリしていました。特にルイーズのテキサスの回想シーンなんてなくて・・・自分で勝手に作った回想シーンをどこへハメ込むか、Post-itをいじっていた記憶が蘇りました・・・そのうちノリがはげてくっつかなくなったり【うん、ほんまやで】

良い体験をしました・・・・・・・・・

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