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今日の私よ

 カーテンを開け、南部鉄瓶で白湯をわかし、耐熱ガラスのコップで一口。手挽のコーヒーミルでガリガリと豆を砕く音と、ゆったりとしたジャズのセッションを楽しみつつ、自家製のふっくらやけたパンを切って、なんていうのは、私のただの妄想だ。南部鉄瓶なんて持っていないし、手挽きのコーヒーミルも、パンを焼く技術も、私は持っていない。
 現実の私は、何度も鳴るスヌーズの中で目を覚まところから始まる。最近はポケモンスリープをせっせとやっているので、ポケモンの寝顔の写真を取り、欲しいポケモンを捕まえ、きのみや食材を集め、カビゴンにご飯を食べさせる。ここまでに、何度も何度も寝落ちかけてしまう。そうしているうちに、私が起きたことに気づいた猫が近くにやってきて、ごろごろと言いながらお腹の上に乗ってくる。ポケモンスリープだって、いつまで続くか分からない。
 素敵な朝を過ごすことに、ずっと憧れていた。でも、どれだけ綿密にルーティンスケジュールを練ったとしても、朝起きるた瞬間、全て頭から抜け落ちてしまう。紙に書いて壁に貼るのもあまりかっこよくない。いつからか、ルーティンを作るということを、諦めてしまった。
 素敵な朝を迎えるというのはどういうことだろう。SNSに映えるような朝食を取ること?水筒を片手にウォーキングをすること?丁寧に手帳を書くこと?どれも、素敵な朝の過ごし方だと思う。要は、「私」が素敵だと感じられることが、何よりも大事なんだと思う。朝が素敵であるということ。それが、私の一日が素敵な一日になる、最初の一歩だから。
 だから私は、特別なルーティンは決めていない。今日が素敵な一日になること。そんな一日を作る、最初の一歩を踏み出すこと。そんなことを願って、ごろごろと甘えてくる猫を撫でながら、自分に問うんだ。

 今日の私よ、素敵な一日になりそうですか?

#朝のルーティーン


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