おじさんが連なっている。

よく見ると、おじさんとおじさんの間にレモンが浮いている。

おじさんが前にスッと腕を上げると、手に取れるくらいの位置に。

レモンとおじさんは、程よい距離を保っている。

おじさんの連なりは、住宅街の中をゆっくりと進んでいる。

車が前を横切ろうとすれば立ち止まり、ベビーカーを押した女性が前から歩いてきたら、少しずれて、全員で道を譲った。

どういう具合でレモンが発生するのか、どういう経緯であの連なりは生まれるのか、気になって様子を見ていた。

すると、十字路の角から、おじさんが歩いてきた。レモンのことも、連なりのことも、何も知らない、純粋無垢なおじさん。

純粋無垢なおじさんが、連なりの横を通り過ぎようとした、そのすれ違い様に、それは起きた。

先頭のおじさんと、純粋無垢なおじさんの間に、

ポコン

と、レモンが生まれた。

純粋無垢だったおじさんは、そうして、レモンとの関係を含むおじさんとなり、連なりの最後尾についた。

新参者だ、仲良くできるだろうか。

甘酸っぱい、夏だった。