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歯のない父にそっくりなわたしの話

「父には歯がない」
私が20代の頃、そう言うと
何?悪い薬でもやってたの?
と武勇伝かのごとく聞かれる
みんな悪い男が好きなのだろうか。

中学の頃
わたしには人を睨んでしまう癖があった
目が悪いわけでもなく、
癖というより
なにか人を疑ってるとこ、
様子を見るとこがあったようだ
それで先生に
なんで睨んでるんだ!と怒られたりした
友達もいるし、ひとりも平気だし、
誰かが嫌われてるとか
そんな話にはまったく興味が無かった
まず太ってたし、
美容にももちろん興味がなかった
食べること、寝ることが好きだった
勉強もできる方じゃない

高校時代のスタートは
前の席の女の子が振り返るなり
「ねえ、ヤンキーだったでしょ?」
と聞かれ、びっくりして
「いや…そんなことは…ないです」
変な間をあけて答えてしまったため
変な空気になったことを鮮明に覚えている

前の席の子の方が
眉毛極細、縮毛矯正で整えたヘアスタイル
加えて
そんなド直球に言える度胸に
そっちが中学時代もイケイケだったでしょと
今なら言える。

ひとりが元々平気だったけど
休み時間見渡すと
同じくひとりの子がいた

その子は小さくて小リスのような可愛らしい子

お昼一緒に食べようよって
言ってくれた子のとこに行くと
小リスちゃんもいた

とりあえず
わたしは様子を見てた

その子も様子を見てた

昼が終われば、また適度にひとり
誘ってくれる人がいればついてった

そんな日を繰り返しつつ
小リスちゃんとわたしに共通点が見つかった

【良く寝る】

授業中も良く寝るふたりだった

ある日の授業中
いつも通り気づいたら寝てしまった
机に突っ伏したまま顔だけ上げて
周りを見回した。

小リスちゃんとわたしのふたりしかいない。


…次は移動して別の教室だ!

急いで立ち上がり
リスちゃんに声をかけた!

「次、音楽の教室!!」

顔を見合せて
急いで教科書持って、走り出した

途中、目が合って笑い合ってた
振り返れば
あの日が
高校生活が
楽しくなったはじまりだったかもしれない




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