まちづくりシンポジウム

京都市「地域まちづくりシンポジウム」〜交流から生まれる持続可能性〜

京都市が主催する地域まちづくりシンポジウムを聞きに行ってきました。

地域まちづくりってなんだか幅広なテーマで、具体的な目的意識を持って参加したというよりは、パネリスト勢が豪華なので行っておこう!というミーハー参加ですw

⑴ はじめに(趣旨説明)
  髙田 光雄 氏 京都美術工芸大学教授,京都大学名誉教授,検討会議座長⑵ テーマ別パネルディスカッション
 ア テーマ1「新たなまちづくりの担い手~京都の強み‘地域力’にプラスの風を吹き込む~」
 ・パネリスト
  北林 功  氏 COS KYOTO株式会社代表取締役
  榊󠄀田 隆之 氏 京都信用金庫理事長,仁和寺門前まちづくり協議会理事長
  谷口 知弘 氏 福知山公立大学教授
  藤崎 壮滋 氏 ぴあぴあコミュニティサポート合同会社代表社員
 ・モデレーター
  大島 祥子 氏 一級建築士事務所スーク創生事務所代表,検討会議委員
 イ テーマ2「活力を生み出すまちづくり~事業者とのコラボによって持続可能なまちを創る~」
 ・パネリスト
  菅谷 幸弘 氏 六原自治連合会事務局長,六原まちづくり委員会委員長
  西嶋 淳  氏 大阪商業大学大学院教授,検討会議委員
  塗矢 眞介 氏 株式会社クラウドリアルティ取締役・最高執行責任者
  吉田 光一 氏 株式会社フラットエージェンシー取締役会長
 ・モデレーター
  嘉名 光市 氏 大阪市立大学大学院教授,検討会議委員

豪華パネリストなだけあって、学びたくさん、お腹いっぱいになって帰ってきましたので、まとめておきます。

一言でいえば、多様な人の交流が、持続可能な仕組みを生むということかなと思います。

まず、事例3つ

全てのパネリストの皆さんのお話も勉強になりましたが、私にとって今回の学びの中で参考になると感じた事例を3つご紹介します。

①DESIGN WEEK KYOTO

パネリスト北林さんが仕掛ける、京都のものづくりの工房を1週間、見学できるという企画。
普段見られない工房で、技術に触れて、新しいアイディアやコラボレーションが生まれることを期待して、毎年2月に開催されています。
(今年ももうすぐ開幕!今年は私もちょっとお手伝いしてます!PR!PR!)

パネリスト榊田さんが理事長を務められている京都信用金庫さんが熱烈サポートされている事業でもあります。
その熱烈ぶりが感じられるディスカッションでした!

②京町家ローン

京都信用金庫さんの取組の一つで、既存不適格建築物である京町家にローンをつけるという、異例の金融商品です。

京町家を、そして町並みを、残していくためには、ローンを組めるようにする必要がありますが、金融機関側としては、融資は確実に回収できなければならない。
その解決策として、京都市 景観・まちづくりセンターの発行する京町家カルテを担保としています。
金融機関単体ではできないことを、連携した仕組みづくりで可能にされました。

③六原学区にできたクラウドファンディングによるゲストハウス

パネリスト塗矢さんの会社クラウドリアルティさんが、クラウドファンディングで資金調達して六原学区にゲストハウスを開業。
六原まちづくり委員会の菅原さんもパネリストとしてご登壇され、事業者と地域住民の両サイドからお話が聞けました。(まじで豪華だ)

地域としては、当初は民泊を排除したかったそうですが、排除しきれないと悟り、方向転換。
どのように付き合っていくか、また地域のために活用できないかという発想に変わっていった頃、クラウドリアルティさんのゲストハウス開業の話が舞い込みました。

地域の民泊への不安は、顔が見えないことによるところが大きいとわかり、丁寧なコミュニケーションでカバーしながら、協定を結ぶことで共存を図りました。
今後は着地型観光など、地域にも還元できる仕組みを構築していこうとされています。

なぜ交流が必要なのか

こうした事例や、他のことも見ていて、以下のような要素が見えてきました。

連携が不可欠だから

地域だけ、事業者だけ、金融機関だけ、では解決できないことも、互いに連携したらうまくいくという事例が本当にたくさん出てきました。
上記事例以外にも、パネリスト同士でコラボされているお話がたくさんあって、この点の説得力がとても強いシンポジウムでした。

職能を越えた部分で連携することもあるから

連携するにしても、専門の職能以外の部分で課題の本質を見つけ、取り組んでいる方もいらっしゃいました。
京都信用金庫の榊田さんは、金融だけでは限界があり、地域課題へも取り組んでいくことの必要性を掲げ、お金を貸すだけではない様々な取組をされています。
(DESIGN WEEK KYOTOには「お墨付き」を融資している、と表現されたモデレーター大島さん、さすがのセンス)

福知山大学で教鞭を振るうパネリスト谷口先生は、学生が地域に関わる上での課題は、学生の暮らしレベルに本質があると考え、シェアハウスをつくられました。
不動産の面で協力されているのが、パネリスト吉田さんの株式会社フラットエージェンシーさんだそうです。

こういった、本来の職能を越えた部分での連携が生まれるには、ただの知り合いでは難しいでしょう。
生身の人間同士で関係性ができているからこそ、活きてくるのだと思います。

地域資源が何なのか気づくきっかけとなるから

大阪商業大学のパネリスト西嶋先生からは、公共経済学という学術面から、地域資源についてお話いただきました。
よそ者によって、地域資源が何なのか気づくきっかけになり、地域が主体的に関わっていく動機にもなると。

六原学区では、宿泊施設という外からの視点を活かして、クラウドリアルティさんとのコミュニケーションの中で、地域資源を活かすことを考えていらっしゃいます。
その根本にも、顔が見える関係の構築、そのためのコミュニケーション、交流が不可欠でした。

これから具体的にどうしていく?

こうしたお話を聞いた上で、自分の今後の身の振り方も含めて、具体的にどんな交流をしたら良さそうか考えてみると…

個人のキャラを押し出すことでしょうか(笑)
一つの肩書きだけで人と関わるのではなく、バックグラウンドを活かしたり、発想を柔軟に転換させたり、そういう掛け合わせが個性やキャラだと私は思っていまして、今回のシンポジウムではそんな個性を活かしていらっしゃる方々が多いなと感じました。
個性が活かせる場面も多いのでしょう。

そして、想いも大切だなと感じさせてくれたのが、パネリスト藤崎さんでした。
まちづくり会社を立ち上げて伏見界隈で活動されているそのモチベーションの源は、「このまちが好きだから」と。
これに勝るモチベーションはないでしょうね。そういう人たち同士で交流するからこそ、良い動きが生まれていくのだと思います。

あとは、やっぱりお金が必要な場面もあるので、地域に根ざした金融機関や不動産屋さんがいてくれて、ビジネスも含めて連携することの必要性も感じました。
個人的には、マネタイズの手法がもっと多様化していくことも必要だと思うので、クラウドリアルティさんの事業(クラウドファンディング活用)を知ることができたのは収穫でした。

一方で、お金ではない価値観、文化の視点も忘れてはいけなくて、最近の京都はそれが抜けた東京や海外の資本に蝕まれているとも感じます。
その評価軸をつくっていくことも大きな課題ですとお話がありました。
今回のパネリストのみなさん全員文化的な視点で取り組んでいらっしゃって、向いている方向は同じだと感じたので、それが目に見える形にまとまっていくと、新たな価値観の評価軸になっていくのかもしれません。

最後に

もう一度宣伝でーす!Design week Kyotoが再来週から開幕!
ぜひ足をお運びくださいー!


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