Chiaki Yoshihiro

私が見て、聞いて、感じて、考えた、小さな世界の記録。 内向的な根明だと思います。 …

Chiaki Yoshihiro

私が見て、聞いて、感じて、考えた、小さな世界の記録。 内向的な根明だと思います。 喫茶ラムピリカという喫茶店の店長をしています。

最近の記事

9周年です。

「1月中は休む」と決めていたものの、こんなに完璧に休むことになるとは思わなかった。 休んだ理由は、風邪。長引いている。 旅行でも行こうかと思っていたのに。 山登りでも行こうかと思っていたのに。 「風邪のおかげで」 全くどこにも行かなかった。 代わりに、「得たもの」は大きかった。 大きな大きな、余白の時間。 静かで愛おしい、日常の時間。 自分の現在地を確認して、自分の今の願い、これからの願いを確認するには、もってこいの時間になった。 今週初め、やっと風邪が治ってきた

    • 声と、身体と、生きていること

      空が澄んできて、外気が鼻先を冷たくする。 冬が深まってきたと感じる。 「ねむい」と言う回数が増えた。 予定がなければ、永遠に布団の中にこもっていられそうだ。 衣擦れの音と、体温の反射による蓄熱。 心を自分の内側に向けるには、とてもいい季節だ。 なんとなく、冬に充分こもっておくからこそ、夏の躍動がより弾けるような気がしている。 自分の本来の歩き方。 自分の本来の声。 そういうものに、集中して耳を傾ける時間が、ここ数年、しっかりと取れていて、ありがたいことだと感じる。 歩

      • いい塩梅

        アイヌ語の「ラムピリカ」には、「美しい心」のほかに、「いい塩梅」「自然美」などといった意味もあるらしい。 「美しい心」の意味も素敵だけど、「いい塩梅」「自然美」もすごくいいなと思って、それで喫茶店の名前を「喫茶ラムピリカ」に決めた。 年が明けたらすぐに、開業9年目になる。 「気づいたら、大変に『いい塩梅』の喫茶店になっていたな」と。 先ほど、12月のスケジュールを組み立てながら、思った。 自分にとっての、『とてもとても、いい塩梅』。 週2回の、喫茶開店。 それに合

        • 満月ダイアローグを終えて(1)

          10月の満月の夜。 舞踊家の友人が踊り、私が音楽を奏で。 お客さんたちはその表現を受けて、自分の中から生まれ出てきたものを、絵や言葉で表す・・・ そんな集いを、喫茶店で開いた。 未知の領域。 恐る恐る飛び込んでみた。 失敗してもいいからと。 精一杯やったつもりだ。 毎日のギター練習で、左手の指先は皮が分厚くなって、タッチパネルがうまく反応しなくなった。 人差し指の第二関節の横も、硬過ぎて、感触がない。 発声の反復練習で、身体の真ん中を通る音は、これまで体験したこ

        9周年です。

          満月ダイアローグがうまれたわけ

          自分の真ん中を、表現を、自分そのものを、人前に出すのは怖い。 ほんとうに怖くて、自分で自分に「どうかしてる」と思うことがある。 身体の勉強で1年半前から師事している先生が、「【声】には、その人の全てが顕われる」と、つい先日話してくれた。  声と音で表現をするーー自分の真ん中、一番繊細で柔くて傷つきやすい部分。すべてが顕われる部分を、人前に晒すなんて、どうかしてる。 でもそんなふうに思ったあとで、いつも思い出す。「大丈夫。真ん中の真ん中、ほんとうに一番大事な場所は、決し

          満月ダイアローグがうまれたわけ

          満月ダイアローグについて

          音楽でも、舞踊でも、演劇でも。 「Live」 が好きだ。 だけど、いま自分が主催するなら。 ただの「 Live 」をやる気にはならない。 素晴らしい Live が、世界中にすでに山ほどあることが、わかっているから。 では、いまあえて、自分がなにか主催するとしたら。 【 演者 → 観客 】 この、表現の一方通行の定型を、壊してみたいと思う。 そして両者の間にあった垣根を、完全に溶かしてみたい。 【 演者 → 観客 → 演者 → 観客 → 演者 → ♾️

          満月ダイアローグについて

          臨時休業日記

          本当にやりたいこと。 惰性で続けていること。 見極めようとしたところで、多分、人間の考えること、感じることは毎瞬間変わり得るもので。 もしかしたら、あまり意味はないのかも。 ただ、大きな指針・・・向かっているところ。 そして、自分が今立っているところ。 このくらいは、いつも確認しておきたい。わかっておきたい。 そんな願いがある。 だから毎朝、神棚の前で手を合わせる。 神様のために祈るのではなく、自分のために祈る。 私の願いは、いつの時代もほんとうは、とてもシンプルな

          臨時休業日記

          オープン・ダイアローグで初めて泣いた話

          7月のオープン・ダイアローグ。1回目。 先日、満員御礼にて終了した。 まきさん( https://www.instagram.com/taiwano_maki/ )と、と由美子さんによる、とても丁寧なナビゲートのおかげで 緩みすぎてしまったのか、会の途中、思わぬところで古い感情が溢れ出して止まらなくて、泣いてしまった。 もう6〜7回目くらいの参加。 オープン・ダイアローグで泣いたのは初めてのことだった。 泣いている自分に、自分が一番びっくりした。 これまでの会でも、

          オープン・ダイアローグで初めて泣いた話

          なぜ喫茶店で、『オープン・ダイアローグ』を開催するのか?

          「なぜ、喫茶店で、『オープン・ダイアローグ』を開催するのか?」     この問いに対しては、「たまたまご縁があった」 という回答が最も適切だ。      わたし自身が、「オープン・ダイアローグ」のようなコンテンツを探していたわけでもなければ、必要しているわけでもなかった。     ただ、オープン・ダイアローグは、   「私が何もしなくても、不思議と  喫茶店に定期的にやってくる」   そんなコンテンツだった。         ✴︎ ✴︎ ✴︎     今月は、 オープン・ダ

          なぜ喫茶店で、『オープン・ダイアローグ』を開催するのか?

          日々

          日常の中で、扱う情報が増えてくると、いよいよ日記を開きたくなる。 あえて立ち止まって、言葉に表したくなる。 言葉を使って整理整頓して、すっきりと前に進みたいんだろう。 だから、文章を書くことで自分の中では満足感があったとしても、読む人にとって「いい文章」かどうかは、わからない。 ただ、心からの言葉を話しているから、誰かの心には届くのかもしれない。 早朝に起きて、ほぼ毎朝、犬の散歩に行く。 この季節、去年はロードバイクで、明け方の無人の街を走り回るのが好きだった。 だけど

          雨と喫茶店

          「今日は、誰も来ないでほしいな」 喫茶店を開いていて、そんなことを思ってしまう日がある。 そして今日が、その日。 朝7時開店。 1時間ほどが過ぎて、今。 私の願いは現状、叶い続けている。 昨晩からの、警報を伴うほどの大雨はピークを通り越した。 今は雨水が、屋根や窓をパタパタと打つ音が時々聴こえてくるくらいだ。 こんな日は、静かな静かな音楽を流しておきたい。 だけどアンビエントなんかは、狙いがはっきりしているからなのか、逆にうるさいと感じてしまってだめだ。 静かな日常

          肺の在処

          2ヶ月に一度くらい。 煙草を吸いたくなり、吸う。 1本だけ。もしくは、多くても2本。 そんなペースなので、一箱買うと、一年は持つ。 銘柄は「American Spirit」一択。 他のも色々試したけれど、不味くてダメだった。 我が家のベランダの目の前には、建物が何もなくて、空だけが大きく広がっている。 ベランダにある、エアコンの室外機の上に座って、煙草の先に火を点ける。 深く吸い込むと、穂先が赤く光る。 ゆっくり吐き出すと、目の前の大きな空。 ゆっくり流れる雲と、そこ

          現在地

          ロードバイクでの朝出勤が楽しい季節になった。 冬の間は、両足の裏にホッカイロを貼り付けても、「10時間持続」のホッカイロが30分走る頃には冷え切る。自転車乗りには辛い季節だった。 朝出勤が楽しくなったことに伴って、朝開店がしたくなる。 車のほとんどいない早朝の、広々とした道路をのびのび走りたいので、5:00出勤。8:00開店、などになってくる。 昨日喫茶店に来てくれたお客さんが 「個人のお店は、マーケティングとかいらないと思う。  これからも、自分の言いたいことを外に

          威嚇

          めったに使わない言葉だけど、 「威嚇」 書いてみると、なかなかにインパクトのある言葉だと思う。 字面の強さ。  昨日、都内に行く機会があった。 平和な湘南エリアに住んでいると滅多に出会うことのない、いわゆる「変質者」に、何年かぶりに遭遇した。 都会には本当に、いろんな人が、たくさんの人が、集まっている。 で、面白かったのが、自分の反応だ。 近づいてくるその人物が視界に入った途端、 「あ、この人は、やばい人だ」 と、意識で思うよりも先に。 身体が反応していた

          世界の逆転

          楽しいこと、好きなこと。身体動かしたり。 こういうのをやりまくっても、なんだかモヤモヤがおさまらない時が、稀にある。 そういう時は大体、「表現」が足りていないときだ。 必要なのは、「発散」ではなく、「表現」だ。 自分の真ん中の真ん中、限りなく真ん中からの音を 出してやること。 それがなんなのか、わからないままでいいから、まとまらなくてもいいから、出してやろうとし続けること。 その音は、最初は「真ん中」から遠くても 出し続けるうちに、徐々に「真ん中」に近づく。 出し

          世界の逆転

          喫茶、むくり

          「あ。春の生温い空気の気配。かすかに。」 昨晩、外に出たときそう感じた。 立春を過ぎると、冬は一気に減速をはじめる。  ✴︎✴︎✴︎ 優先順位をはっきりさせとかにゃ。 と思って書き出してみたら、あっさりと。 なんとまあシンプルなことか。 1 身体 2 表現(音楽、食、生活) これしかなかった。 もちろん、大切なものはこれ以外にもたくさんあるけど、この2つが大切にできているからこそ、大切にできるものばかり。 たとえば家族とか、友人とか、恋人とか、仕事とかね。 食

          喫茶、むくり