見出し画像

「想像力よ、想像力」(本のはなし2)

なかなか、人の立場に立つって難しい。

わかっているつもりでも、経験していないから感じることができない思いや見えない景色がある。


上司(保育園勤務なので園長先生)に、自分がその出来事を経験していないからわからないんだ、と嘆いたことがあった。すると、「経験してないからわからないんだったら、看護師さんはどうするの?病気の人のことがわからないからってみんなの病気にはなれないでしょ。想像力よ、想像力」と言われた。

そりゃそうだと、はっとした。必要なのは、想像力。


この本は児童養護施設のお話。施設の中の生活や子どもたち・職員の思い、施設を出てからのことを知ることができる。児童養護施設の女の子が、みんなに施設のことを知ってもらいたいと、作者に手紙を書いて出来上がった物語だそう。

人には人の数だけ事情があって、環境がある。(中略)世界が違うのではなく、同じ世界に住まう人にもいろんな事情があることを知らなかった。

知らないことを知るために、読んだり聞いたりして知識を増やしていくことが大切。そして、その人だったら、と想像力を働かせることも。


お話に出てくる施設長の福原さんのこの言葉も印象に残った。

「人生は一人に一つずつだけど、本を読んだら自分以外の人の人生が疑似体験できるでしょう。物語の本でもドキュメンタリーでも。そうやって、他人の人生を読んで経験することが、自分の人生の訓練になってることがあるんじゃないかって、先生は思うのよ。踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか……」




この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?