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【俳優】シャールト・コプリーの話をしよう

ボンチノタミ、ジョーカーです。

シャールト・コプリーという俳優さんをご存じでしょうか。

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』パンフレットより

映画『第9地区』や『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『ハードコア』などに出演されている俳優さんです。
最近だと現在公開中の映画『ビースト』に出演されています。
わたしはこの俳優さんがとても好きなので、その話をします。

※映画作品自体の批評や感想ではなく、あくまで"俳優"シャールト・コプリーの話しかしません。
※作品やキャラクターについては全て個人の感想ですのであしからず。

シャールト・コプリーとは?

Sharlto Copley
南アフリカ共和国出身の映画プロデューサー・映画監督・俳優。
1973年11月27日生まれ、現在48歳です。

主な出演作品

  • 『第9地区』(2009年)主演:ヴィカス・ファン・デ・メルヴェ 役

  • 『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(2010年)H・M・マードック 役

  • 『エリジウム』(2013年)M・クルーガー 役

  • 『オールド・ボーイ』(2013年)エイドリアン 役

  • 『マレフィセント』(2014年)ステファン王 役

  • 『チャッピー』(2015年)チャッピー(モーションキャプチャ・声)役

  • 『ハードコア』(2015年)ジミー 役

  • 『フリー・ファイヤー』(2015年)ヴァーノン 役

など。
映画好きな方ならこのラインナップと役柄でなんとなく察している方もいらっしゃるかと思いますが、スマートでイケメンな主演俳優、というよりは、味のある、癖が強い印象の俳優さんです。

端的に言うと「色気と狂気と無邪気と闇」を兼ね備えた、超魅力的な俳優さんなのです。(※個人の見解です)

今回は、わたしが独断と偏見で選んだ「このシャールト・コプリーを見て欲しい」作品を3本ご紹介します。
それ以外の作品についても後半でちょっと触れていきたいと思います。

『第9地区』(District 9)

シャールト・コプリーの代表作。監督はニール・ブロムカンプ。
ブロムカンプ監督とは一緒に映画製作会社を立ち上げており、彼の監督作品にも多く出演しています。
その代表作がこの『第9地区』です。

簡単に話のあらすじを書くと

  • 28年前に飛来した宇宙船に乗っていたエイリアン(蔑称:<エビ>)たちが難民として地球で暮らしている

  • エイリアン増加に伴い居住区を新しくすることになり、エイリアン対策課職員の主人公・ヴィカスは彼らの立ち退きの説得のため「第9地区」と呼ばれるエイリアン居住区へ向かう

  • そこで謎の液体を浴びたヴィカスの体に異変が起こり、彼の容姿は徐々に<エビ>の姿へと変わってしまい、人間側から生体実験の被検者として追われる身となる

というような感じです。
痛いシーンやちょっとグロテスクなシーンも多いSF作品で、正直、主人公のヴィカスがあまり好感を持てるキャラではない(最初のほうの言動とか割とクズです)ので、気持ちよくみられる作品かと言われるとそうでもないです。
でも、おすすめしたい。

おすすめしたいポイント

■全編アドリブ
この作品、恐ろしいことに台本がありません
正確に言えば、ないわけではないのですが、物語の大筋や展開だけが作られていて、シャールト・コプリー自身の台詞や演技はすべてアドリブです。
ドキュメンタリー風に作られているので、そのアドリブ演技も相まって鬼気迫る緊迫感や臨場感がすごい。
最初のころはクズだなあと思っていたヴィカスがだんだん可哀想になってきます。つらい。

■狂気
物語が進むにつれ、徐々にヴィカスの言動や表情が狂気に染まっていきます。
自分たちが蔑視していた<エビ>へと変貌していく中で、恐怖や戸惑い、怒りや悲しみなど、今まで日常では感じえなかった大きな感情が次々と彼に襲い掛かるのです。
その徐々におかしくなっていく様を演じるシャールト・コプリーの狂気色気がすごい。見ていてぞわっとするような表現力。
全編アドリブだからこそ、シャールト・コプリー自身が持つ魅力を最大限に引き出せたのかもしれません。

午後のロードショーとかでもたまにやってます。そう、午後ロード枠映画なんです。それ以上は言わない。見てみてね。

『特攻Aチーム THE MOVIE』(The A-Team)

わたしがシャールト・コプリーを知った作品。
普通に映画作品としてもめちゃくちゃ好きなので、誰にでもおすすめしています。見て。

1980年代に放送された海外テレビドラマ『特攻野郎Aチーム』を基にした作品で、Aチームの4名にはシャールト・コプリー以外に、リーアム・ニーソンブラッドリー・クーパーのほか、格闘家のクイントン・"ランペイジ"・ジャクソンがキャスティングされています。
作品自体はチームミッション系のアクションものですので、さらっと観ることができて後味も気持ち悪くない、シャールト・コプリー出演作にしてはめちゃくちゃ普通に楽しめる作品です。だから何回でも見ちゃう。
もちろん、テレビドラマ版も好きです。ドワイト・シュルツのモンキー、好き。

おすすめしたいポイント

■奇人? 変人? だから何?
クレイジーモンキー、ハウリング・マッド(HM)など、その名に劣らぬ狂人ぷり。狂ったキャラにシャールト・コプリーがハマらないわけがないんですよね。ドラマ版よりクレイジーぷりが増していますが、飛行機を操縦させたらそらもう天才的です。
あと、ときどきまともな部分が垣間見えますが、やっぱりクレイジー(誉め言葉)なんですよね。正直、めちゃかわいい狂いっぷりが見られます。
はっきり言って他の作品のシャールト・コプリーでは得られない要素が、マードックにはめちゃくちゃある。

■吹き替えもおすすめ
シャールト・コプリーの吹き替えは川島得愛さんが多いのですが、この作品では多田野曜平さんが演じています。この多田野さんの声がマードックにハマっている(と個人的にはめちゃくちゃ思っている)のです。
普段は明るくクレイジーで、ときに無邪気に、ときにシリアスに、と、素敵な吹き替えでマードックの魅力を引き出してくれています。

ご本人にリプライいただいたことがあるんですが、やっぱり幻らしいです。好きなんだけどなあ~。
もちろん、川島さんのお声も好きです。個人的には『しろくまカフェ』のリンリンが大好きです。パンダホリック。

ちなみにこの映画のパンフレット等では「シャルト・コプリー」と表記されていたため、わたしも実は「シャルト」のほうが馴染んでいます。

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』パンフレットより

さすがにそろそろ「シャールト・コプリー」に慣れてきたけど。

『ハードコア』(Hardcore Henry)

イリヤ・ナイシュラー監督による世界初の全編一人称視点の映画作品。
主人公の視点は監督自身やスタントマンがGoProを使用して演じており、主演俳優のクレジットは存在しません。
シャールト・コプリーの役柄は謎の男ジミーという、主人公ヘンリーを手助けしてくれる役どころ。
このジミーがとんでもないんだ。ひとりで何役こなすんだっていう。この作品に出てくる主要登場人物がほとんどシャールト・コプリーなんですよ。すっごい。夢みたい。

ジミーの話をするにあたって、一部、ジミーの正体について作品のネタバレが含まれます。結末については言及していませんが、ご注意ください。

おすすめしたいポイント

■変幻自在のシャールト・コプリー
ジミーという人物は、そもそも主人公の敵にあたるエイカンという男のもとで働いていた技術者で、現在は全身麻痺のせいで車椅子の上から動くことができない、という人物です。
が。彼はその意識をいくつもの「ジミー」の体に移すことによって様々な容姿、様々な性格、様々な特技をもってヘンリーの前に現れ、彼を助けます。
何言ってるんだと思われるかもしれませんが、とにかくいろんな容姿でいろんな性格のいろんなシャールト・コプリーが一気に摂取できる麻薬のような映画ということです。
一人称視点なので、ジミーが自分に語りかけてくれている気分になれるというのもすごい。VR乙女ゲームか?
この幅広い演じ分けができるのがシャールト・コプリーの魅力。
この役を是非演じてほしい、と監督に直接口説かれたそうです。
ナイシュラー監督まじでありがとう。最高。

公開当時、県内の映画館で観られず、隣の県までハードコア遠征したのも懐かしい思い出です。
一人称視点なので、苦手な方は画面酔いするかもしれません。
ちなみにわたしは映画館の大画面では全然平気でしたが、家のテレビで鑑賞したときは若干酔いました。

いろいろなシャールト・コプリー

今回は3本の映画を紹介しましたが、シャールト・コプリーの魅力を感じられる作品はまだまだあります。

ニール・ブロムカンプ監督作品

ニール・ブロムカンプ監督作品でシャールト・コプリーが出演している『第9地区』『エリジウム』『チャッピー』の3作品。

クズで可哀想な全編アドリブ男ヴィカス、殺人・強姦などあらゆる罪を犯している残虐な傭兵クルーガー、そして純粋無垢なAIロボットチャッピー
全部バラバラの役どころなのに、どれも彼の魅力が溢れている。素敵。

チャッピーはモーションキャプチャと声のみの出演なのですが、それがまためちゃくちゃかわいいんだ。
動きが! 声が! かわいい。すごい。シャールト・コプリーって顔が見えなくても魅力満載なんだね!

ちなみに吹き替えは川島得愛さんなので、吹き替えで見るとチャッピーがベイマックスとダブります。(※個人の感想です)

この映画で、ついにブロムカンプ監督はシャールト・コプリーのゴーストを抽出することに成功したんだと思う。すごいよニール・ブロムカンプ。(※個人の感想です)

美人すぎる作画

オールド・ボーイ』は日本の漫画作品『ルーズ戦記 オールドボーイ』を原作とした韓国映画『オールド・ボーイ』のリメイクなんだそうです。
原作と韓国映画は読んでいないし観ていないのですが、この作品に登場するエイドリアンという男を演じるシャールト・コプリーは、めちゃくちゃ美しいです。
スラっとした立ち姿、残虐性と慈愛を含んだ瞳。映画自体は暴力表現満載で痛いんですけど、でも美人ヴィランな役どころなので、見てよかったなあ(痛いけど)という感じでした。

マレフィセント』のステファン王もさすがディズニー、ひげもじゃだけど、美しく残虐なシャールト・コプリーでした。
そもそもキャスティングを見たときに「シャールト・コプリーがただの王様なわけあるかい、絶対こいつが黒幕なんだろ!」と思っていたんですが、やっぱりひどい奴でした。そうだよね、だってその配役だもん。悪い奴だろうよ。納得。
ひげもじゃでもふもふのステファン王、めちゃくちゃ腹立つキャラだけど作画が良い。

監督の愛が重い

個人的に、ニール・ブロムカンプ監督イリヤ・ナイシュラー監督はシャールト・コプリーへの愛がすごいと思っています。

確実に良いシャールト・コプリーを吸える。信頼できる。

推しを見るために

わたしがシャールト・コプリーと出逢ったのは前述のとおり2010年の映画『特攻Aチーム THE MOVIE』のマードックがきっかけでした。

こんなに狂気と色気と無邪気さと闇を兼ね備えた俳優さんがいるのか! と恋に落ち、出演作品を追い始めたはいいものの、基本的にエログロや暴力描写、残虐表現などがそもそも苦手なわたしには刺激が強い作品が多く。
が、そういった作品の中で見せてくれる表情や演技が魅力的なのも確かなんですよね。だから観ました。観てよかった。推し最高。
あと、おかげでちょっとそういうものに耐性がついた気がする。

目力っていうか、瞳孔が開いてくるのとか好きなんですよね。こう、引き寄せられてしまうというか。シャールト・コプリーに限らず、日本の俳優さんなんかでもそういう演技を見せられると「好き!」ってなってしまいます。ぐっとくる。

今回紹介した以外にも出演作はいくつかありますが、全部追っても恐らく十数作品、現在日本で見られるものに絞ると、もっと少ないかもしれません。
レンタルや各サブスクで観られる作品もございますので、気になった方はぜひ、ご覧になってみてください。

シャールト・コプリーを、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


昔作ったコラ画像

見ればわかるよ、シャールト・コプリー。

と、散々言いつつ、ここ数年映画館に通っていないので実は今年公開の『ビースト』をまだ観ておりません。
(そもそも県内の映画館が少なく出演作の上映がなかったり上映期間が短かったりすることも多いので、劇場で見逃している作品も多い。『ハードコア』もタイミング逃して隣の県まで観に行ったし)
普通の役らしいので、普通の役をやっているシャールト・コプリーが見たい方は最新出演作品『ビースト』を観ると良いかもしれません。
普通の役って貴重だよ。

あと『第10地区』の話を昨年あたりにちらっと聞いたんですが、本当に続編やるんですか? ヴィカスにまた会えるんですか? でもたぶんエビだよね。モーションキャプチャと声だけですか? それでもいいよ。


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