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春の歌

まだまだ寒さの真っ只中だがそれでも今日は立春
「暦の上」とは言え、やはりホッとする。

そしてこの時期になると決まって浮かんでくるのが
高校で習った短歌二首。
もう何十年と経つのに何故か今も頭にこびりついて離れない。

袖ひちて結びし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ
                       ( 古今和歌集 紀貫之 )

「夏に袖を濡らしてすくった水が冬に凍り、それを今日の立春の風が溶かしているだろう」と季節の移り変わりを詠んでいる。

いわばしる垂水の上のさわらびの萌え出ずる春になりにけるかも
                        (万葉集 志貴皇子)
「岩の上を激しく流れる滝のほとりで蕨が芽を出す春になったことだなぁ」
と、こちらも春の訪れを喜ぶ気持ちが詠われている。

千年以上昔の人々も私達と同じように立春の訪れを喜び
春を心待ちにしていたと思うと急に親しみを感じてしまう。

もっとも我が家では立春より「恵方巻」を心待ちにしていた人もいるが。。

                      イラスト (筆ペン. 顔彩)

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