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夢よもう一度

このところ大阪.関西万博に巨額な費用が掛かりすぎると問題になっている。
昨年12月の発表では万博会場建設費が2350億円、運営費が1160億円と
どんどん膨らんで当初の試算の倍近くになってしまったようだ。
中でも会場をぐるりと取り囲むリングと呼ばれる大屋根は350億円の
建設費が見込まれ「税金の無駄使い」と批判の的になっている。

だがそれ以前に私は万博の話しが持ち上がった時
「え?なぜ今また万博を?」と怪訝に思った。
それは元都知事の石原さんが二度目の東京オリンピック誘致に
手を挙げた時と全く同じ疑問である。

先ずはオリンピックについて言えば
確かに東京オリンピック1964は日本の発展に多大な効果をもたらせて
その開催意義は極めて大きなものであった。
特に公共交通機関の発達は目覚ましく、東海道新幹線や東京モノレール
地下鉄網などオリンピックを目指して一機に開通された。
また初めて海外への衛星中継が行われ、日本は先進国への仲間入りを果たしたと言われている。

しかし今の日本に東京オリンピック2020は本当に
必要なものだっただろうか。
当時都知事だった石原さんは「日本を覆う閉塞感を打破する起爆剤に」と
2005年都議会で五輪誘致を表明した。
それは過去の大きな成功体験から「夢よもう一度」とオリンピックに
すがったのかもしれない。
そのプロジェクトを引き継いだ政治家たちはコロナ禍の中
反対意見を押し切って強行したが結果は皆の知るところである。

次に万博についてであるが
人類の進歩と調和をうたったEXPO70は東京オリンピックから6年後の
高度成長期の真っ只中、5兆円近い経済効果を生み関西から日本に
さらなる経済発展をもたらした。

そこでまたもや「夢よもう一度」である。
2016年に維新の会の橋本大阪市長と松井大阪府知事が万博の開催を
国に働きかけたのがきっかけであった。
東京オリンピック2020が決まると次は大阪の番と言わんばかりに
松井さんは「東京五輪も二度目、大阪万博も二度目といきたい」と
語ったそうである。
石原さんと違って当時をさほど記憶されているとも思えないが。。

万博により各国からの来場者で関西地域は活気づき、2兆円の経済効果も
期待されると試算している。
因みにEXPO2025のテーマは「人類の健康・長寿への挑戦」とか。
ところが現実は費用ばかりが膨らみ、海外パピリオン建設の大幅な遅れや
辞退する国も出始め、さらには中止論まで聞こえてくるではないか。

果たして東京オリンピック2020の二の舞にはならないのだろうか。
加えて言えば「札幌オリンピック2030」を断念したのは賢明な判断だと
思うのだが。。

                   イラスト (カラー筆ペン)


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