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保護ネコならぬ保護ウエキ

このところ神宮外苑再開発のため樹木を大量に伐採する計画が問題になっている。
昔から樹には魂が宿ると言うが、100年以上生きてきた樹々を人間の都合でいとも簡単に斬り倒してしまうのだから反対するのも当然だろう。

神宮外苑ほど大規模ではないが、ここ数年の間にご近所の植え木も次々と
切り倒されている。
越してきたころは活気のあったわが町は今やすっかり高齢化して
二軒三軒と空き家になり、やがて取り壊されていく。
そしてその家の主が丹精こめて育てていた植木や花は跡形もなく
消えてしまった。
四季折々通りがかる度に私達を癒してくれた植物たちだったのに
可哀そうだと常々思っていた。

そんな時「植木の里親」活動をしている造園会社が東京八王子にあると知った。
住宅の取り壊しなどで処分される植木を引き取り「もらえる植物園」で
管理しながら一般公開している。
新しいもらい手が見つかれば引き取ってもらうそうだ。
「三者で命をつないでいく取り組み」だと言う。
植木は無料で利用者の負担は運搬や作業の費用のみである。

一例として、実家の取り壊しが決まった50代女性が、子供のころからの思い出が詰まったキンモクセイを伐採するには忍びなくて悩んでいたところ「植木の里親」活動に出会い、キンモクセイはキャンプ場に引き取られることになった。
そして秋には満開のキンモクセイと甘い香りがキャンプ場に漂ったそうである。

それにしても何と素晴らしいアイディアであろう。
こういう試みが全国に広がれば良いのにと心から思う話であった。

                   イラスト 秋 (マジックインキ)


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