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ガール

こんばんは、chibirukuです。今日もお疲れ様です。読んで頂き、ありがとうございます。


前回の朝井リョウさんに引き続き、偶然私と同じ地元出身の作家の本を手に取って、勝手にテンションが上がった。

奥田英朗さんの「ガール」である。こちらは原作を再構成して、2012年に香里奈さん主演で映画化もされている。奥田さんといえば、ベストセラーとなった「最悪」を始め、直木賞を受賞した「空中ブランコ」など有名な作品が多数ある。

その中から、今日ご紹介するのは中年女子のリアルな日常と本音を痛快に描いた「ガール」。働く女性達に向けて、ポンっと背中を押してくれるような、読了後爽やかで明日からも頑張ろう、と元気を貰えるストーリーだ。

実は、たぶんこの作品前にも一度読んだことがあるかもしれない…と途中から感じ始めた。なんとなーく話の進み方を覚えているのだ。細かなストーリーは覚えていないし、読みやすかったので、サクッともう一度読んだ。第一刷が2009年なので、多分以前に読んだのだろう。

私も30代になり、自分自身中年に向けて着実にコマを進めている実感がある。(笑)なので当時読んだ時よりも、今回は感情移入の度合いが違った気がする。人生の中で大きな決断/岐路を迎え、環境の変化や自分自身の心身の変化も含め、色んな壁にぶつかり、不平等な社会の仕組みにはまり、複雑な想いを抱くようになった。

人生における、重大なイベントがまとまって起こりがちな女性の20代後半〜30代。結婚しているが子どもがいない人、子持ちの専業主婦、独身のバリキャリ、妊娠/出産/子育てを通して一度仕事を離れる人、産休を終え職場復帰する人、離婚して子供を一人で養っている人、様々な変化を迎え、同年代でも、人生のバラバラなステージに立つことも少なくない。そういう各自の条件を強いられながらも、与えられた環境の中で逞しく生きる女性たち。

作中には5つの異なるタイプの女性達が描かれる。そのストーリーにあなたは自身を重ね合わせ、共感するはず。どんな状況にあっても、たとえ周囲からは幸せそうに見えていたとしても、やっぱり皆それぞれの葛藤や悩みがある。それでも、なんとか前を向いて進もうとする姿が勇気をくれる。

第三編目の主人公、32歳の大手広告代理店勤務10年目の由紀子が、同窓会の帰り道、専業主婦の友人とお互いの状況を話すシーンがある。この由紀子の言葉には、首がもげるくらい激しく頷いた。

「ねえ。うちらだってブルーだよ。いつまでこういう生活してていいのか分からないし、自由なんて不便なことばっかだし」勝手に言葉が口をついて出た。「だいいち、若さなんて永遠じゃないじゃない。焦ってるのはこっちだよ」「そうなの?」「そうよ。きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても」 …中略…  女は生きにくいと思った。どんな道を選んでも、ちがう道があったのではと思えてくる。 ーガールより



そう、女は生きにくいのだ。社会に深く根差す男女不平等も、妊娠や出産などの大きな心身の変化を迫られることも、複合的にいろんな理由が絡み合って大変なのだ。しかし、そんな中でも日常を、今日を自分たちなりに、一生懸命積み重ねていこうとする女性たちの姿に力をもらえるはずだ。


みなさま、今日も本当にお疲れ様です。

さあ、明日も自分らしく、無理せずいきましょう。

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