荒木経惟はセクハラなんてしてねぇよ


#アラーキー  で色んなnoteの記事を読んでみたけどどれも全然面白くなくて萎える。

「アラーキーの世界観満載で素晴らしい作品でした」
「私はアラーキーの写真の良さがわかりませんでした」

世界観という言葉で誤魔化して逃げてるだけのつまらん感想文。良さがわからないという小学生以下の感想文。

世界観という言葉も「考えさせられました」同様、考えてない人が使いがちなワード。

アラーキーは

「写真を創造なんて言ってる奴はダメだ。写真は引き出さないと。」

と言ってるので、彼は世界観を作ってるわけではないですし、彼が被写体から何を引っ張り出してきやがったのか考えるのが感想だと思います、個人的に。

「他人の感想を否定するのは良くないと思います。」

こんな声がめちゃ聞こえてくるのですが、自分の気持ちはもう否定しかしたくないんです、すみません。

こういう感想文を自称プロの写真家が書いてるということに私はイラっとくるんですよ。

プロの写真家なんだったら、せめて面白い解説してよって思っちゃうんですどうしても。

悪口は面白くて長くなりがちなのでこの辺にしておきます。


チロは「猫」ではなく「女」

世界一有名な猫になったチロに関するアラーキー のインタビューを引用しまくります。

彼女はね、俺の日本語がわかるから。「元気ねぇなぁ」って言うと、ムキになってばーっと走っていく。
大人になると、人間の女性だったら、何でもそれなりにわきまえるものなんだよ。けど、チロは、いつまでたっても大人にならない。うまいタイミングで甘えたり、俺を信用しきったフリをしてみたり、ときどき油断したり、でもクールに距離を置くこともある。性悪なところも、意地悪なところもある。いつまでたっても、すごく女なんだよ。
「VOCE」インタビュー https://news.kodansha.co.jp/8871

アラーキー...。たまんねぇ。

これだけでもうアラーキーがどんな人間かが分かります。

まず興味深いのは「彼女は俺の日本語がわかる」という言い方。チロを単なる動物の猫、ペット扱いしていたら多分というか、間違いなく、「彼女は俺の言葉がわかる」と言うはずなんですよ。

ね?わかるでしょ?肉を食わないクソ美人なら。笑

動物を日頃からバカにしかしてない奴と、動物を人間同等に見ている人とではやはり使う言葉が違ってくるってことです。

口では「動物に優しく」と言ってたとしてもやっぱり使う言葉で全てバレちゃうという怖さですよね。

人間に対して、「彼女は私の日本語がわかる/通じる」と言うことはあっても「彼女は私の言葉がわかる」とは言わないでしょう。

そういう細かいところに気づいた時こそ喜びがあるし、感動があります。

「うまいタイミングで甘えたり、俺を信用しきったフリをしてみたり、ときどき油断したり、でもクールに距離を置くこともある。性悪なところも、意地悪なところもある。」

そんなチロを女と言って、それを心地よい存在、愛おしい存在として語ってるところから

アラーキーは女に振り回されて翻弄されて手のひらの上で転がされる男なんですよね。

ここ重要すぎる。

惚れた女に好き放題されて振り回されて翻弄される自分を楽しめる男かどうか?

女に振り回される自分を自分で笑える男か?

これはかなり重要です。

今の時代は「男らしさ」「男はこうあるべき」みたいなのがうざいらしいですね。

でもやっぱり私の中の男はこれなんですよまさに。

性悪で意地悪なところも愛おしいと思ってくれる男とか最強にいいに決まってるじゃあないか!!

アラーキーは本当にチロに優しかったんだろうなぁと思います。


アラーキーは正真正銘の正直者

アタシは、チロちゃんを愛玩動物として撮っていないからね。こっちもネコになりきって、情人とか痴人として撮ってる。よくある可愛いだけのネコの写真っていうのは、ネコを「物」として撮っていて、そこにある「事」を忘れているんだね。「物」を写すことが写真じゃないんだよ。「物事」が写ってないと、写真はダメなんだ。俺なんか、レンズを通すと、物事だけじゃなくて、もののけまで見えちゃうんだからね(笑)。
https://news.kodansha.co.jp/8871

ここでアラーキーはチロちゃんを愛玩動物として撮影してないという告白があるのですが、それはもう先程証明されてるんですよね。辻褄が合ってるんですよ。可愛いだけのネコの写真のディスもちゃんと語られていて本当に最高です。今ってガチで可愛いだけの猫の写真しかないですよね。わかりみが激しいとはこのこと。しかもここで「物事」という頭の悪い人を置き去りにするような単語も出てくるところとか好きです。

バカは「アラーキーの言う物事ってなんだろう?」
とはならないんですよ。なんとなくふわっとわかった気になって流しちゃう奴。だから置き去りにされるんですよね。置いてけぼり。わかった気になってる奴ほど危険なものはないと思います。

わかるの語源は分かるなので「わからないなら分けろ」なのですが、わざわざアラーキーは分けて語ってくれてます。

「物」と「事」に。

物は写せてるからいいとして事はなんでしょう?本来であれば自分で定義しないといけないけども、それができないならせめて最低でも国語辞典で調べろ。

こと
【事】
1.
われわれの生活の中に現れたり、われわれがしたりする事柄。
2.
言ったり考えたりする内容の、存在・形成を問題にする場合に使う語。
オックスフォードの辞書

アラーキーが言ってるのは1の意味でしょう。

可愛いだけの猫の写真は生活の中にあらわれたり、われわれがしたりする事柄が中に入ってない。

ということでしょう。

それはなぜか?あんたが動物をバカにしてるからでしょ?

マジシンプルすぎて草。

アラーキーは「被写体をバカにすんな。それは写真でバレるぞ?」と言ってるとも捉えられますね。むしろ、「バカにしかしてない被写体を撮るな」と言うこともできるかも?

言い過ぎかな?笑


“「美」と「醜」が行ったり来たりがいい。「醜」がなかったら人形と同じさ” byアラーキー 

だいたい、チロと女に共通するがいちばんいいところはさ、「ときどき」「美しく」「見える」ことなんですよ。実は、チロはそんなに美人なネコじゃないんだけど、人間の女だってネコだって、ブスの連続じゃつまらない。でも、ずっとキレイでもつまらない。だいたい、「醜」を消したら、女は人形になっちゃうだろ。整形した顔がつまんなくなるのは、「醜」がなくなるからだよね。「醜」の顔って、ふと油断したり、無防備になったりとか、そういう瞬間に訪れたりするけど、その醜の快感を持っていないと、女はダメだよね。「美」と「醜」が行ったり来たりしてさ、それがつまり、生きているってことなんだから。

色んな愛猫家が猫について語ってるのを聴いたりみたりしてきたけど、アラーキーよりも面白い話をしてる人、猫に寄り添った話をしてる人を私は知りません。多分愛猫家は猫を愛玩動物としてしかみてないからだと思います。

人間も猫もブスの連続じゃつまらない

かと言って

綺麗の連続でもつまらない

本当にその通りすぎますって。

「ブスブスブス美ブスブスブス」の美をいかにおさめるか?

「美美美美美美ブス美美美美美」のブスをいかにおさめるか?

変顔を撮れって言ってるわけじゃないです。

「醜」の顔って、ふと油断したり、無防備になったりとか、そういう瞬間に訪れたりするけど、その醜の快感を持っていないと、女はダメだよね。

「その醜の快感」わかりみが激しいです。

3年ぐらい前はめちゃキメて整った状態というか、奇跡の状態で維持された顔しかセレクトしなかったけど、今はめちゃブスな顔とか、なんだこの表情?みたいな顔とかもセレクトするようになりましたし、めっちゃ楽しそうに笑ってる顔って結局ブスだなとか色んな醜の快感を感じるようになりました。


緊縛は醜と美が詰まりすぎてる

なんでアラーキーが緊縛の写真をたくさん撮ってるか?

という問いについてずっと考えていたけど今のところ私にとって最善の答えは以下の通りです。

アラーキーは美と醜が行き来するようなもの、こと、ひとを愛していて、それを写真に撮らないと気が済まない人間なんだと思います。

正直緊縛ってめっちゃ美人いないんですよね。

これは男性は言いにくいと思いますし、緊縛をしてる男性はもっと言いにくいと思うので私が言います。

凄い美人じゃない人が緊縛で「美人」になる瞬間は何度も見てるし、「ブスブスブス美ブスブスブス」に通ずるところがあるし、アラーキーの言う、「美」と「醜」が行ったり来たりがいいが詰まりすぎてるのが緊縛なのではないでしょうか。

整形でめちゃ整えた美人が縛られたとして、確かにそれは人形が縛られてるだけの「物」でしかない写真になると思いますし、そこには「事」はない可能性が高いと思います。

死ぬほど痛い時の顔、好きな男にめちゃくちゃにされて照れてる時の顔、強がってる顔、無防備な顔、油断した顔、全てがどうでもよくなる顔、可愛い顔、綺麗な顔、ボーッとした顔、鼻水が出てる顔、涙ぐんでる顔、号泣してる顔

色んな美と醜が行き来します、緊縛は。
こんなに色んな女の顔が行ったり来たりするものって緊縛以外にありますかね。

ないと思います。

だからアラーキーは緊縛の写真を撮るのだと思います。


よく撮影会で言われるのが「翠ちゃんは45分間の間に色んな顔してくれるから撮ってて楽しい」とか、「確かに綺麗なモデルさんを撮るのも好きなんだけど、どんなポーズを取っても顔だけはいつも自分が可愛く撮れる顔の角度で固定されちゃう子が多くて、どうしてもどの写真も同じになっちゃう」とかそんなことを言われます。

多分私は「ブスブスブスブス美ブスブスブスブス」だから面白いんじゃないかと思います。

色んなポーズを撮るものの、全部顔の角度が同じになるのはモデルのせいではないと思います。反射的に怖いんですよ、この顔以外の顔はブスだと思い込んでるわけですから。

それって今まで撮影してきたカメラマンのせいではないでしょうか。

彼女を撮影してきた今までのカメラマンが1人も彼女の美と醜が行き来する快感を味わえるような表情を引き出せなかったということではないでしょうか。

アラーキーが「今の写真はどれもつまらない」と言ったり、「デジカメは小さいのしか持ってない」と言ったりするのは単なる時代遅れの頑固ジジィだからというわけではないと思うんですよ。彼は至ってマトモなことを言ってると私は思います。


湿度の話

自称官能的な写真を撮るプロの写真家とかいますけど、「このフィルターを使えばしっとりした感じ、湿度が出て、官能的な写真になる」とか言っててマジで草しか生えません。

湿度の定義がアホすぎて笑える。

全然官能的に見えたことなんてないですし、ビジネス官能、女に金払ってわんちゃんヤりたいだけなのに巨匠ぶっててダサい人の写真にしか見えないです。

お前が汗かかずしてしっとりとか湿度とか言ってんじゃねーよ。

「撮るという行為は、本来なら、案外煩わしいことが多いワケ。デジタルって、余計な修業をしなくても、だいたいキレイに写るじゃんか。でも、フィルムカメラだと、面白いものを写したい気持ちがあると、そこにいろんな努力とか計算なんかが必要になってきて、心も身体も汗をかくわけ。心の湿度みたいなものが“写真のこと”に深く関わってくる。写真だけじゃなくてさ、人間、煩わしい作業とか修業をしないまま歳だけとっちゃうと、危ないんだよ。心の湿度って、人に対する思いやりにもカンケーするから。だからアタシは言いたいのさ。写真を撮るなら、真実よりも切実を写せ! 生きるなら、心にいっぱい汗をかけ、ってね(笑)」
https://www.asahi.com/and/article/20210728/407165351/

湿度って人間関係のことを言ってるのだと思います。

Lightroomのフィルターじゃねぇ。

あーでもねぇ、こーでもねぇといった具合で相手のことを考えすぎて心にいっぱい汗をかく。

そこに湿度が生まれるらしい。

とてもわかりみが激しいです。

昔の人は石の上にも三年と言ったけど昔の人が言い残してくれたシリーズって一つ残らず真理だし本質でしかないんですよね。

煩わしい作業や修行は人間にとって本当に大切なことなんだと彼が言うなら私は従いたいと思います。

早く挿入したかったとしても、煩わしい前戯をちゃんとやってみよう。そんな心意気が大事ですね。


アラーキーは本当にモテる人間なんだと思います。しかも性別を超えて。

だから女がおかしくなるのも無理はないです。

アラーキーにとっての陽子とチロにはなれないですからね、他の女は。

アラーキーは「嫉妬しない人間は知能指数が低い」と言ってましたが、「嫉妬しない人間は湿度もない」ですよね。

セクハラで訴えられたり色々暴露(?)されたとしても黙ってるアラーキーですが、これはだんまりしてるわけじゃなくて、今起こってしまってる「物事」に対してこねくり回したりせず、そっとしてるのだと思います。というか、女たちの内側で何が起きたのか彼はわかってるのではないかと思います。そういうところにアラーキーの美意識や美学を感じますし、「あっ、この人ガチ天才だわ」と思います。

でも、今、60過ぎて、これから「再び写真へ」って撮り始めている時点において、1点選べっていうと、上の写真になっちゃうんだよ。今は死の陰りとか、イヤだからさ。これは、いい写真なんですよ。彼女のエロが出てるしね。女性の写真で、エロが出てないのはダメだね。それに、彼女が天女っぽいだろ? 愛なんてのは、相手を「うたう」ことだから。そういう感覚が必要なんですよ。自分よりちょっと上かなと思うことが、愛してるということだって気もするんだな。この女には負けてるなっていう思いが走んなきゃさ、男はダメだよ。私は、相手の女性の、いちばん大切なところを愛撫するからね。愛撫っていうかさ、愛しい目でレンズを通して見てるんだよ。
https://news.kodansha.co.jp/8867

"自分よりちょっと上かなと思うことが、愛してるということだって気もするんだな。"

この言葉が聞けて本当に良かったと思う。

これぞ、真のフェミニスト!!!

って感じです。

今まで散々眠たくなるような愛の定義を聞いてきた私ですが、「自分よりもちょっと上かなと思うことが愛してる」と言われたら覚醒しますよね。笑

この女には負けてるなっていう思いが走んなきゃさ、男はダメだよ。

めちゃカッコいい。フェミニストすぎる。

多分アラーキーは惚れた女にいきなり「肉やめなよ」と言われたら言い訳せずにやめるタイプの男だと思います。

それが手に取るようにわかるから好き。

1人でも多くの人にアラーキーの写真集を購入して欲しいと思うし見てほしいと思います。

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