クリエイター直井薫子の知覚探求ノート

CHICACU Design Office & Bookstore 代表 アー…

クリエイター直井薫子の知覚探求ノート

CHICACU Design Office & Bookstore 代表 アーティスト/デザイナー ー 東京での一人暮らしにサヨナラし、コミュニティマネージャーとして郊外でシェアハウスのような隣人関係をつくるまでの記録と、その間にコミュニティについて学んだことをまとめます。

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校舎の窓は割らない方法で 戦う本屋

12:00に本屋の前にOPENの看板を出し 赤紫蘇を干す 梅雨は明けてしまった 人生で初めて梅干しを漬けて 人生で初めての東京オリンピックは見なかった 梅雨は明けてしまった 真っ赤な梅干し、うまくいくのか 積み重ね積み重ねた、たくさんの時間を 少しのカビも見落としたくない そうしているうちに、梅雨は明けてしまった 真心ブラザーズの「素晴らしきこの世界」を流して 風の先の終わりを見ていたら 梅雨は明けてしまった 迷っている暇はなくなった 土用の丑の日はまだこないから 出

    • 借金200万円の20代女子が、毎日150円の寄付をしながら貧困を抜け出した方法

      タイトルにあるように、私は22歳で大学を卒業し働き始めた日から今日まで10年間、ときに消費者金融に借金をしながら、発展途上国への寄付を毎日150円ずつ積み重ねている。 「借金背負って、寄付?返済が先じゃないの?」 「利息つくのに、ばかなの?」 この記事は格差社会を変えていく、一つの生き方論だ。 お金に詳しい方の多くから呆れ声が聞こえてきそうだが、この記事では、この行動に至った理由を紐解きながら、資本主義が生み出した格差社会を変えていく、一つの生き方を提示したい。 最近話題

      • はじめてCHICACU直井薫子のnoteを読む人へ【編集方針まとめ】

        ようこそ、いらっしゃいました。 人前では大雑把なくせに、裏では小さいことをいちいち気にしてしまうCHICACU(チカク)の直井薫子といいます。 いることも、いらんことも、ほぼすべてこのnoteへ息を吐くように残していきますので、どうぞ見てってください。 目次 わたしについて 知覚が違えば、世界も違って見えるわけ 無料で読める直井薫子のおすすめ記事 直井が運営するCHICACU Bookstoreのおすすめ本 多世代をつむぐ雑誌「放課後のクラスメイト」連載コラム わたしにつ

        • デリバリーのドライバーがマンション内の家庭菜園の野菜をとりました。あなたはどうしますか?

          議論は、デリバリー有名企業のドライバーが野菜を盗んだところからはじまる。コロナ禍で契約ドライバーのマナー違反が問題視されている、とあるデリバリーの有名企業。 見慣れた四角いバッグを背負ってやってきたその人は私の住むマンションの住民への配達が終わると、マンションのオートロック内部で住民同士がシェアしていた家庭菜園の野菜をまるごと全部とっていった。 ↑実際に持っていかれた野菜。30分前にこどもたちが泥を落としたものでした。 偶然見かけたので、追いかけていって問いただせば、

        校舎の窓は割らない方法で 戦う本屋

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        • 思考ツール100選マガジン ー仕事の道具は自分でつくれ!ー
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        • 過去の美学を学ぼう!ー未来のビジョンを描くためにー
          0本
          ¥500

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          4.仮説が未来をつくる 5/5話

          ついに最後です。先ほどの「自らの問題意識を他者と共有する技術」について、わたしが歴史を学ぶ際、そして、仮説を立てる際、それを他者に伝える際に必ず言語化する6つのポイントをまとめました。 それがこちらです。  ・なぜ  ・誰が  ・誰に  ・何を  ・どうしてほしいのか  ・その結果世界がどうなるか(幸せになるか) これらを言語化し、相手と共有すること。 なーんだ、そんなことか、と思う人もいるでしょう。 しかし、この6つが曖昧な状況がいかに多いことか。 自分が理解ができない

          3.歴史を学び、仮説検証する技術を身につける 4/5話

          実践的な話の前に、少しだけデザインの歴史に触れていきます。 デザインの歴史は本質的な問いの歴史であり問題解決の歴史でもあります。 また、人々の欲求の標準がいかに変化してきたかを知ることで、次の世界の豊かさの基準が見えてきます。 現在のデザイン領域に多大な影響をもたらしている「モダンデザイン」というデザイン思想が生まれたのがイギリスの産業革命から1950年くらいまでと言われています。この時代は技術が先行し、社会を大きく変えた時代です。人々の意識はいかに生産性の高い機能を保有する

          3.歴史を学び、仮説検証する技術を身につける 4/5話

          0.デザインのまなざし -プレゼンに役立つ伝え方の本質を学ぼう- 1/5話

          こんにちは、CHICACU Design Office & Bookstoreの直井薫子です。 アート ディレクターやデザイナーと呼ばれる領域の仕事を生業にしながら、時々自宅兼事務所をまちに開いて本屋をしています。 今回は「デザインのまなざしープレゼンに役立つ伝え方の本質を学ぼうー」という演題でお話をします。 若い皆さんがこれから社会で活躍していく際に、折に触れて役立つだろうデザインの魅力についてお伝えしたいと思います。 今日の話を聞いた後で、 ・自分の意見を相手に伝えるに

          0.デザインのまなざし -プレゼンに役立つ伝え方の本質を学ぼう- 1/5話

          1.伝わるデザインには良い問いがある 2/5話

          よいデザインには良い問いが含まれているということです。 ここでいう良い問いとは何か?相手にとって「解決すべき本質的な問題」と言い換えてもいいと思います。先ほどのゲームには「ドラえもんを知らない人がいる」といった小さな問題が含まれています。例えではありますが、この問題は「ドラえもんのグッズの売上があがらない」「藤子F不二雄ミュージアムの来場者が増えない」など副次的な問題に関連していきます。 世の中は小さな問題が複雑に絡み合っています。「自分のブランドが広まらない」「原価が高い」

          1.伝わるデザインには良い問いがある 2/5話

          2.デザイン思考は自らの問いの抽象度を鍛えるところから 3/5話

          先ほどのような思考プロセスを「デザイン思考」と呼びます。 デザイン思考を身に付けるために、本質的な問題を先んじて気づくには、まず現状を疑う癖が必要です。そして、その抽象度をあげていきましょう。 馬車が走っていた時代には、人々はもっと早い馬がいたらいいのにと思っているでしょう、馬車に満足している人の方が多いかもしれない。車が走る現代では、もっと早く走る車があったら良いのにと思うでしょう。そして、同様に、今の車に満足している人も多いでしょう。 しかし、人々は「早い馬がほしいわけで

          2.デザイン思考は自らの問いの抽象度を鍛えるところから 3/5話

          書籍紹介「ISSUE DRIVEN」

          プロフェッショナルにとって、 バリューのある仕事とは何か? という問いから始まる本書。 ビジネスや研究において、 きっと誰もが一度は似たようなことを 考えたことがあるだろう。 バリューのある仕事をしたい、そのための考え方を身に付けたい、 そう願う若手には是非この本を薦めたい。 「問題を解く」より「問題を見極める」 「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」 「知れば知るほど知恵が湧く」より「知りすぎるとバカになる」 「1つひとつを速くやる」より「やることを削る」

          プロジェクトの記録集をつくりたいあなたへ

          さいたまトリエンナーレ2016本づくりプロジェクトについて 思考を巡らせている時間は楽しい。 心に次々と夢を与えてくれる。 正解のない旅。 終わりのない旅。 これから皆が乗り込む船の基盤をどうしようか。 船はどうやったら進んでいくのか。 それを考えるのが船長である私の仕事だ。 まずは、舟を編まねばならない。 ついにその初日を迎えた船長は たくさんのやさしい乗組員と出会った。 乗組員と共に夢を背負う覚悟を決めた船長は 胸がいっぱいになった。 皆が喜ぶ船、皆と進める船。

          プロジェクトの記録集をつくりたいあなたへ

          「GLOBE」の挑戦ー新聞の可能性を探して

          朝日新聞の新たな試みとして月2回、月曜朝刊に挟まれるようになった「GLOBE」。世界のどこかで起きている出来事が自分たちの生活にどのように結びついているのか。通信技術の発達に伴い、私たちが知らなければならない日本と世界のこと、グローバル社会の明日のこと、徹底した調査を背景に生きた情報を届けるのがこの紙面の役割である。創設にあたり、意識したことやwebとの関連性、アンケートなど紙面外の活動を通して得た経験談をもとに、これからの「GLOBE」のあり方について考えた。 授業でいた

          「GLOBE」の挑戦ー新聞の可能性を探して

          ウィリアム・モリス ージェフリー・チョーサー作品集ー

          誰もが息を飲む圧倒的な装飾美、黒と白のコントラスト、美しい書体、緻密な挿絵。どれをとっても非の打ちようがない、この本の名は「ジェフリー・チョーサー作品集」という。モリスが創設したケルムスコット・プレスの最高傑作ともいえる作品であり、私が世界で一番美しいと思う本だ。 下記の2つの図版はウィリアム・モリスがこの作品集の為に制作した飾り文字「W(whilom)」のデザイン原画とその試し刷りである。細かいツタが無数に絡み合い、この時代特有の柔らかな丸みを帯びた書体が非常に美しい。さ

          ウィリアム・モリス ージェフリー・チョーサー作品集ー

          ローマン体のロマン ー「トラヤヌス帝の碑文」をめぐる旅ー

          ーすべてのローマン・アルファベットの永遠の源ー この世には、どの専門書にも「原点」と称される、実に美しい文字がある。 大学一年生のときに、初めて「トラヤヌス帝の碑文」を見たときのショックは言葉にできない程だ。食い入るように画面を見つめていたことだけが、はっきりと思い出される。教授はどんな話をしていたのだろうか。そもそも周りで音はしていたのだろうか。それほどに魅力的だった。一瞬にして、私はその文字の虜になってしまったのだ。 常日頃、タイポグラフィに関して、自ら神経を尖らせる

          ローマン体のロマン ー「トラヤヌス帝の碑文」をめぐる旅ー

          言葉を紡ぐ仕事をしている人に読んでいただきたいこと

          私は幼少の頃から本当に本が大好きです。 よく覚えていないですが、他人の言葉に感動して泣いたのはきっと本が初めてだったろうと思います。 その大切な大切な本が、「情報伝達」という自己の特質のために、今デジタルと紙との間で非常に難しい立ち位置にあります。 しかし、私の核を形作ってきたのは紙の本ですから、その未来は明るくあってほしいと無力ながら思うわけです。 本を取り巻く仕事の一つに、「文字」をつくる仕事があります。フォントと呼ばれるものです。 書体デザイナーである鳥海さんはよく

          言葉を紡ぐ仕事をしている人に読んでいただきたいこと

          自分は売れるか悩んでいるデザイナーの卵たちへ

          才能と努力は5段階世の中は全て才能だ。 才能5の人間が5の努力をすると5×5=25の最高得点が出る。 毎年たくさんのデザイナーの卵が美大を卒業していくが、その中で本質的にクリエイティブな環境に身を置き、脳みそで汗かいてデザインで食べていけるのはほんのひと握り。ほとんどは自らが意思決定権をもたない雇われの商業デザイナーになるか、そもそもデザインの道を諦める。 それでも、今この文章を読んでいるあなたが、これからデザインの才能で食べていこうと思っているのなら、私が教えられるのは努力

          自分は売れるか悩んでいるデザイナーの卵たちへ