臨月に入る直前に、出産前最後の海外旅行ということでイタリアのミラノとガルダ湖に行ってきました。
今回はミラノでメトロに乗りながら思ったことです。

以前にお腹が目立たない時の出張で、立ったまま揺れに耐えるのが辛いのに席を譲ってもらうのが難しかったパリの地下鉄での出来事について書きました。

一方で、臨月も近くなったのでお腹がかなり出てからの体験はまた違ったもので面白いと思いました。

特にイタリア🇮🇹では妊娠中の女性に気づくとレストランでもお店でも、店員さんが皆満面の笑顔になって「おめでとう❗️何ヶ月❓」と話しかけてくれて、色々と助けてくれたり、気を遣ってくれたりします。
家族が中心の文化なので子供が生まれることにまたとない重要性を見出しているのかな、と推測します。

一方でメトロでの出来事には考えさせられるところがありました。

ミラノでメトロに乗り込み、座るところが全て埋まっている状態だったので、主人は「席を譲ってと頼もうと思う」と言っていたのですが、
私はそんなお願いするのもはばかれるのでいいよと言って黙って立って揺れに耐えていたところ、

前に小さいお子様と座っていたお母様が「どうぞ」と席を譲ってくれました。

私に取っては小さいお子様と一緒に座られていたので、そちらの方が大変そうで、
ぜひ座っていていただきたいと思ったのですが、「良いからいいから」と言って譲ってくださいました。

他の座っていた人は、皆若めの1人で乗っていた人だったので、私はどちらかというとそちらの方々に譲ってもらいたいぐらいと思いましたが、
他の人は誰も私に気づかず(気づいたかもしれないが席を譲ることを思いつかず)、
たった1人気づいて気遣ってくださったのが小さい子連れのお母様でした。

同じ日にもう一度メトロに乗った時に席を譲ってくださったのも女性で、話してみると5歳と7歳のお子様がいらっしゃるお母様でした。
その時も、他の人は誰も気付いていないか、気づいていても席を譲ろうという意識はないようでした。

お腹の大きい妊婦に席を譲ってくれた人が、2人連続で出産を比較的最近(3-5年前)経験した女性だけだった。

私がこの小さい出来事から思ったのは、
『何でも、実際に経験をした人でないと、大変さがわからない、そのため、相手の大変さに共感したり、思いやって助けるために一歩踏み出した行動がしにくい』
のではないか❓ということです。

想像力が強い人は、経験をしたことがない苦しみや他人の大変さにも思いを馳せて何か助けるための行動を起こせるかもしれないのですが、
実際に同じ経験をしていると強い共感の心があるので「何とかしなきゃ」と思うというのは自然なことであると思います。

一方で、同じような大変なことや辛いことを経験していないと、他の人でそれと同じような大変なこと、辛いことを経験している人に共感しづらくて、
そのためその人たちを助けようという強いモチベーションが生まれないのかもしれない。

自分にも当てはまるし、
これはとても自然なことと思う一方で、
なんとなく悲しいような気もしました。

ということを主人に言ったら、

自分が経験していなくても、例えば家族が人生と生活の中心にあるようなアフリカの人たちはパリの地下鉄などでも積極的に子連れの女性や妊娠中の女性を助けようとしている印象があると言っていました。
(→妊婦や家族を積極的に助けるという文化で育った)

また、わたし達が乗ったメトロで座っている若い人たちは、全員じっと携帯を見て下を向いていて、顔を上げて私に気付いたのはその子連れの女性だけだったとも言って居ました(もしくは顔を上げて私を見ても携帯に夢中で意識がそこまで回らない)。
(→携帯社会になり、他人や外で起こっていることへ意識が向きにくくなった)

また私が漠然と思ったのは、
一般的に大変な経験や辛い経験をした人は、同じような状況にいる人に共感を示し、助けてあげようと思い行動を起こしやすいのかな❓ということでした。

そうであれば、どんな経験/体験も、(それが大変であればあるほど)、その人の人間性をもっと豊かなものにして、その人が他人を助けて社会に貢献する機会を増やしてくれることになるのかな、とも思いました。

小さい出来事でしたが、1人で色々と考えてしまった一日でした。