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草野球(バツイチ子持ち なつみさんの恋愛)

私は相沢なつみ32歳、健太郎という小4の息子とふたり暮らし。
健太郎は、今週から夏休みになった。
彼は、早起きして友達と近くの公園で、キャッチボールをするといって、出かけていった。 

私は、佐藤さんという人と交際している。
私より6つ上の頼れる人。
仕事先で知り合った。
彼は、趣味で野球をやっている。
守備は、キャッチャー。
何度か健太郎をつれて、彼の試合を見に行ったこともある。
おかげで彼と健太郎は、お互いの名前を呼び合う仲までになった。
男の子だから、年上の同性の人と仲良くしているのは、大事な事だと思っている。

健太郎は、野球チームに所属することになった。
名前は、シャーク、ホークス。
入ったばかりだから、ほぼ球拾いばかり。
最近は練習がつまらないと、さぼりたいといってくる。
それでもお尻をたたいて、練習にいかせる。
少々私もこのやりとりには、頭を痛めている。
それからもうひとつ、どうもチームの中に、気が合わない男子がいるらしく、健太郎にチョッカイをだしてくるらしい。健太郎は、彼の事をよく思ってない。

その日の夕飯を食べていると、健太郎が"雄一って、やつがいるんだけど、こいつがさー、オレのじゃまばかりしてくるんだよ。"
"へー、そうなの。守備は?"
"ピッチャーだよ。ふざけてオレの足をワザと踏んずけたり、なんか喧嘩、ふっかけてくるんだよ"
"それはいやだわね。"
”ホント、ムカつくよ〜"
男同士って、よくわからない。私が女性だからかな?
佐藤さんに、ラインを送ってみた。
すると、来週試合があるから、みにこないか?というお誘いがきた。
私も夏休みをとったので、見に行く事にした。


"健太郎く~ん、ひさしぶり"

"あ〜佐藤のおじさん、こんにちは。"

彼は、まかせときなというような感じで、片目をつぶって私を見た。
(彼にまかせてみるか、、、)

"健太郎くん、野球チームにはいったんだね"

"そうだよ。ママからきいたの?"

"うん、練習、どお?楽しい?"

"球拾いがおもだから、まだつまんねぇ"

"そーいえば、野球チームにちょっと気になる友達がいるらしいね"

"あ〜うん。雄一って言ってさ、ピッチャーなんだけど、やたらオレにチョッカイ出してくんの。足、踏んずけたり"

"それさぁ、健太郎くんとなかよくなりたいんじゃ、ないのかな?"

"へー、なんでさー、そんなら、仲良くやろうよって言えばいーじゃん"

"口下手なんじゃ、ないかな。だけど健太郎くんが気になる。"

"いやぁ、オレはそーゆうの好きじゃないなぁ。今度、文句、言ってやる"

そんな話をしていたと、佐藤さんから聞いた。

2.〜3日たって、健太郎はおでこに擦り傷をつくって、帰ってきた。

"オレ、あいつとすこし喧嘩した。なんでオレにチョッカイだすんだよって。
そしたら、殴ってきやがって、喧嘩になったんだ。
だけど、喧嘩し終わって気持ちをぶつけたら、やっぱ、オレと仲良くしたかったみたい。"

"へ〜、そーなの"

"佐藤さんの言うとおりだったよ。
さすが、男の気持ちは男じゃないとわからないね"

"あー、そーですか"
私は、少しホッとした。佐藤さんに相談してみて、良かったとおもった。

"来週、佐藤さんの試合、見に行こうよ。お礼、言いたいしさ。" 

"了解。お弁当、作っていくか。"

"頼みまーす"
はにかんだ健太郎の笑顔は、とてもかわいかった。


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