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【選挙ウォッチャー】 八王子市長選2020・分析レポート。

1月19日告示、26日投開票の八王子市長選は、なかなか面白い選挙でした。八王子市は、加計学園が運営する岡山理科大学の獣医学部や「幸福の科学大学」の設立に尽力し、ベネッセ様のためにセンター試験を廃止し、大学入試の民営化を目指しているとされる萩生田光一さんのお膝元であり、現職の石森孝志さんのことを自民・公明に加え、国民民主党までもが推薦をしています。高木順一さんは元八王子市議で議長も務めたことのある自民党系のベテランで、今回は保守分裂選挙になりました。そこに立憲・共産の野党系候補である美人弁護士の白神優理子さんが立候補し、さらに昨年末に設立されたYouTuber・えらいてんちょうさんが党首を務める「しょぼい政党」が初陣を飾ることになりました。かつては東京都西部の巨大都市だった八王子市が、都心へのアクセスの良さから立川市に食われつつある現実。どう立て直すのか、そのプランと手腕に注目です。

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石森 孝志  62 現 萩生田の息
高木 順一  65 新 元自民党市議
白神 優理子 36 新 野党共闘
小柳 次郎  54 新 しょぼい政党

4人が立候補する大乱戦となっておりますが、「しょぼい政党」の小柳次郎さんには地盤がなく、政党のネーミングも含めて泡沫候補に近いです。保守分裂となった今回、現職の石森孝志さんの票を高木順一さんがどこまで食うのか。保守が割れている隙に白神優理子さんがどこまで健闘できるのか。八王子市はかつて社民党の佐藤梓さんがトップ当選を果たしている独特な街です。しっかり政策を持った美人が票を取っている実績がありますので、白神優理子さんの票がどこまで伸びるのかに注目です。


■ 萩生田光一さんの票を固めるための選挙

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今回の八王子市長選、僕のTwitterのライムラインには白神優理子さんを応援する声がたびたび届いていましたが、選挙初日の第一声の時点で、白神優理子さんの選挙情勢がだいぶ厳しいものになると悟りました。というのも、石森孝志さんを推す自民党陣営は、もはや石森孝志さんのために選挙をやっているわけではありませんでした。石森孝志さんは寝ていても市長選に当選するので、その先の衆院選を見据え、東京24区から立候補する萩生田光一さんの選挙のために動いていると言っても過言ではありません。白神優理子さんを支持する人たちは「初日から菅官房長官が来るなんて、それだけ白神優理子さんに危機感を持っている証拠だ」と息巻いていましたが、僕の目からはそう見えませんでした。

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なにしろ、八王子の自民党議員団、公明党議員団、さらには国民民主党の議員団までもがゾロゾロと並び、地元の八王子市議たちはこぞって現職の石森孝志さんのことを推しているのです。この布陣を見れば、立憲民主党の応援こそあれど、実質的に日本共産党の候補者である白神優理子さんが逆転をするというのは非常に難しいです。しかも、八王子市には創価大学があって、信濃町に匹敵する「公明党の街」という側面を持っています。その証拠に八王子市議会には公明党の議員が10人もいるのです。八王子市では公明党の組織票が大きな武器となります。

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選挙情勢から見れば、わざわざ菅義偉官房長官を呼んでくるほど厳しいわけではありません。しかし、どうしてわざわざ菅義偉官房長官を呼んできたのかと言えば、それは演説で本人が話していましたが、萩生田光一さんが呼んだからです。民主党が政権を取った浪人時代は加計学園の教授として食わせてもらい、現在は「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ」を認可するために奮闘している萩生田光一文部科学大臣が、東京24区で圧勝するために力を入れている選挙。それゆえに、この市長選を「衆院選の前哨戦」と位置付ける人もいるのですが、今のところ、圧倒的な保守地盤と言われる八王子市では萩生田光一さんが無双状態となっているため、野党側から立候補を表明している人がいない状態です。無双状態なのだから、わざわざ力を入れる必要がないのではないかと思うかもしれませんが、萩生田光一さんには常にさまざまな疑惑がつきまとう真っ黒な政治家の一人です。演説をした日は、まさにセンター試験の当日だったのですが、そのセンター試験を潰すことにしたのは、他でもなく萩生田光一文部科学大臣です。

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どの口で言っているんだと思いましたが、この日、萩生田光一大臣は「今日はセンター試験なので、何のトラブルも起こらないか、文部科学大臣として気が気ではない」とホザいていました。受験生たちが頑張っているその時間帯に、自分の地盤で行われる市長選の応援に駆け付け、受験生や受験生のお子さんやお孫さんを持つ有権者を労うわけでもない。それどころか「昨日は大きなトラブルもなかった」と実績のように語るだけでした。こいつだけはマジモンのクソなので、こんな奴を選出している八王子市民にも恥じらいが欲しいところですが、八王子市民の大半は文部科学大臣までやって立派そうな人だからというイメージだけで萩生田光一さんに投票してしまうのです。

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今、安倍政権はまさに「桜を見る会」の問題が追及されている真っ最中であり、当初は1000人だと言われていた総理大臣の招待枠が、まさかの9000人だった疑惑が浮上しており、IRカジノ問題では「容疑者とはまったく関わりがない」と言っていた国会議員たちに関わりがあったことを窺わせる資料が出てきていて、河井案里さんの公職選挙法違反疑惑ではもっと巨額のお金が流れていた可能性があって、どれもこれも真っ黒な中で、その疑惑の震源地である安倍政権の中枢にいるのが、菅義偉官房長官や萩生田光一文部科学大臣です。そんな人たちが恥じらいもなく厚顔無恥を全開にしながら市長選にやってきて、ドヤで語っているのに、生卵の一つも浴びせられるなら分かるのですが、ここで浴びせられたものは「歓声」です。誰も国会議員の不正に対して追及しようという人がいないので、無関心の臭いオジサンたちが集まって、「街を発展させてくれ!」だそうです。八王子市が衰退していることにも気づかず、彼らが発展させてくれているんだと思っているオジサンたちは、脳味噌がアハアハにされちゃっているんだと思います。

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もしも八王子市長選で白神優理子さんが勝つようなことがあれば、こんなに面白いことはないのですが、白神優理子さんはかなり難しそうです。ここで健闘するようなことがあれば、萩生田光一さんの対抗馬として衆院選にスライドする計画もあるのだと思いますが、この計画は白紙になるのではないかと推測します。白神優理子さんが素晴らしい候補であることは伝わりましたが、白神優理子さんの選挙戦略では石森孝志さんはおろか、萩生田光一さんに迫ることもできないからです。なぜ日本共産党の候補たちが正しいことを言っているのに勝てないのかと言ったら、それは日本共産党の選挙戦略がスベっているからです。自民党が支持されているのではなく、自民党の選挙戦略が人々の票を集めているに過ぎないのです。みんながそのことに気づき始めれば、特定の企業のために働くだけのクソは排除できるようになります。ちゃんと国民や市民のために働いてくれる人を選びましょう。


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