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【選挙ウォッチャー】 新宿区長選2018・分析レポート。

毎週のように、いろいろな選挙を追いかけていますが、今回の「新宿区長選」は非常に面白い選挙です。現職の吉住健一さんは日本会議のオジサンです。そこまでゴリゴリではないものの、いわゆるネトウヨ的な思想の持ち主なので、デモをできる公園を限定し、新宿区内で自由にデモをすることはできなくなりました。吉住健一さんは「他の公園が利用できるんだから文句を言うな」という姿勢なのですが、こういうところに日本会議っぽさを感じます。新宿区民は奪われた自由を取り戻すことができるのでしょうか。全国的に権力者が市民を縛る方向に進んでいますが、これを変えるのが「選挙」です。世の中の多くの人が政治や選挙に無関心になってしまったため、日本の一党独裁政治はどんどんエスカレートしています。そういう意味でも注目の新宿区長選、どのような結末を迎えるのでしょうか。

吉住 健一 46 現 自民・公明・連合東京推薦
野沢 哲夫 52 新 立憲民主・共産・社民・自由・新社会・緑の党支持

吉住健一さんは自民・公明・連合東京に推薦されています。新宿は創価学会の総本山である「信濃町」のある街なので、創価学会や公明党の関係者がたくさん暮らしています。もちろん、公明党の皆さんは確実に選挙に行く人たちであり、新宿区で公明党の票を押さえているというのは非常に大きいです。一方、野沢哲夫さんは自由党なので、今をときめく玉城デニーさんに応援されていることをアピールしており、勢いに乗っている立憲民主党などにも応援されているため、なんとなく互角の戦いができそうではないかという構図にはなっています。しかし、実際に野沢哲夫さんに会ってみると、この戦いはかなり厳しいものになると感じずにはいられなかったのです。


■ 争点として語られた警視庁への情報提供問題

吉住健一さんには節々に「日本会議」っぽさを感じずにはいられないのですが、今回の争点として持ち上がったのは、振り込め詐欺を防止するために65歳以上の高齢者の個人情報を区民の反対を押し切って提供してしまったことです。振り込め詐欺に引っかからないようにすることは大切ですし、それで被害が未然に防げるというのであれば良いことかもしれません。しかし、これだけ個人情報が慎重に取り扱われる時代に、区民の意見を聞き入れずに情報提供してしまったというのは、今後、新宿区が何でも情報提供してしまい、不必要な監視のもとで暮らしを余儀なくされるのではないかという懸念を生みかねません。この問題の難しいところは、「振り込め詐欺に引っかからないため」という理由であることです。この問題に賛成している人たちの多くは、振り込め詐欺に引っかからないようにするためには個人情報を渡すのも仕方がないと理解しているのです。ところが、このような前例ができてしまうと、今度は「国家の思想に反対している人たちの個人情報を警察に渡す」とか「一定の収入がない人は犯罪を起こす可能性が高いので個人情報を警察に渡す」とか、そういうエスカレートしたことが起こる可能性があるわけです。そうならないために、どこでストッパーをかけるのか。そういった議論が成されない間に個人情報が渡されるということには注意をしたいところですが、あまりに人々が無関心すぎて、こういうことが普通に行われているというのが現状です。


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