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ダンシャリするかイナかそれがモンダイだ

おはよう
わたしにはもう何年も捨てるか悩んでいるものがある。

それは、18歳くらいの時に買ったアコースティックギターだ。
明るい透明感のあるブルーのコンパクトなボディに、女性や手の小さい人用におさえる弦の隙間が狭く作られているものだ。

若くして上京して歌手の夢を目指したが、道半ばに断念した、その時ともに生きたギター、とかでは残念ながらない。

歌手にはなりたかったけど、ボイトレにも通ったこともあったけど、その時行っていた専門学校を辞めて方向転換するほどのめり込むことはなかった。熱い趣味のうちで終わってしまった。

音楽は好きで、ロックやヒップホップ、ポップスにクラシック、ジャズや吹奏楽、ピアノ、オペラでもなんでも聴く。

路上でギターをガンガンかき鳴らすミュージシャンにも憧れたけど、自分がそれをできる度胸は全然なく、前に出るのが苦手な性分にさっさと負けた。

唄うことは好きだったが、そういえばギターは一曲引き切ったことはないくらい弾けない。ギター初心者が弦が上手く抑えられなくて必ずつまづくと言われるコードのFでもちろんつまづいた。つまづいたまま、挫折して、たまに弾くけどやっぱり全然弾けなくて、代わりに買ったウクレレの方が性にあっていたようだ。

これは何曲も弾くことができる。たまに誰もいない部屋で思い切り歌ったりする。楽しい。

ウクレレは全長30センチくらいしかないぽてっとしたボディの軽くて明るい音色の弦楽器。主にハワイアンミュージックに使われている。ハワイアンミュージックはなんとも穏やかでのんびりしたムードの楽曲が多く、その楽曲によく合う音色だ。

そう、ウクレレがあるから、ギターはいらなくなった。ギターはついに今年一年押し入れの住人。ここ3年くらい、何度も売りに出そうとしたんだけど、そのたび何故か夫が止める。

わたしは潔く、潔すぎるほどに物を捨てる女だ。対して夫は物を捨てられない男。

だけど、わたしは、個々の性質を大切にするタイプの性格なので、夫の部屋に収まる(一部家庭の押し入れにはみ出しているけれどそれは目をつぶる)趣味の収集物には一切口は出さない。そういうのって、心の安寧につながっているから、むやみにけなしたり、そんなぶしつけで失礼なことはしない。ただ、部屋から溢れ出すと、それはその限りではないけれど。

そんな夫もわたしが捨てることにはほぼ口は出さないのに、ギターに限っては止めるから、なんだか押し入れに居座ったまま、今年こそ捨てるぞと思いながら捨てられない。

夫の言うには「若い時に買ったんでしょ?俺がひこうかな。子どもが弾くかもしれないよ?」とか、言いながら、ギターに触った夫を見たことはない。子どもも同じで、むしろウクレレの方に触る。

子供にとっては、まあ、弾こうと思った時にもうすでに手元にあったら、身につくのも早いだろうね。生活に馴染んでいたら、自然にギターが好きになるかもしれない。

夫も使うなら取っておいてもいいけど、その止める理由がいまいち納得できないまま、押し入れを占拠するギターを、わたしらしく断捨離できないまま、今に至る。

夫には何かひらめきがあるのだろうか、あの時とっておいてよかったね、と思うことが、これから起こるのだろうか。そう思うと捨てられないギター。もう値打ちもつかないギター。

腐れ縁。そういうこと?物にもあるのね、そんな縁が。

もう少し、待ってみようか。せめて子どもが厨二病を患うくらいまで。その頃だよね、きっとギターを欲するのは。






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