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相原恭子『京都花街 舞妓と芸妓のうちあけ話』

元芸妓、花街に縁の深いお店の主人、お茶屋の女将、現役の舞妓たちの話を集め、さらに幕末の志士と芸妓たち、歌舞伎と花街、モルガンお雪などのテーマで京都の花街を切り取る。 花街の全体像がこの本を通してなんとなくわかるし、花街にいた人の半生はものすごく興味深い。戦前は小学校もそこそこに、四年生くらいから女紅場に通って見習いに入るとか、祇園で生まれた男子は十三、四になると奉公か養子に出されて、花街で生きる姉妹たちとは全く違う人生を生きることになったとか…。

著者は特別花街と縁がある人ではなかったみたいだが、好奇心旺盛で素直な人で、女性たちに受け入れられたのかなとなんとなく思った。花街本としては、西尾久美子『京都花街の経営学』を読んだことがあり、この二冊の温度差がおもしろい。『京都花街の〜』の著者は京都の人で、距離感を守っているが、『京都花街〜』はそれを飛び越えている書き振りな気がする。

外国のお客さんが気にしているのは、実は結局のところ、舞やもてなし以外のことはしていたのか?てことで、その辺はどんな本でもぼかされており(昔のことでも)、説明に困る。旦那さんの話も出てくるが、そもそも旦那とは何か?今もあるのか?というのはわからない。歌舞伎役者と、馴染みの芸妓さんの話をするとまあなんとなく納得してくれるのだが、それが正解かも自信がない。私は京都育ちでもなんでもなく、あくまで街を普通よりはよく知るアウトサイダーでしかないので、自分の意見と、調べて得た知識をシェアするくらいしかできないんだよなあ。

2019/06/10

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