◇夏という感覚

今朝。玄関の扉を開けた瞬間、ああ夏だ、と思いました。
そこかしこで響くセミの声、じっとりとした暑さ、青がのぞく空。7月は雨の日も多く、灰色の印象が強かったから、やっと夏だと感じました。
ランドセルの代わりにプール用具を持った小学生を見かけて、ああ夏休みなんだなとも。

夏は息苦しく感じます。
呼吸を押し留めるような熱気。じわじわと肺へ入り込んで、身体の内側から熱していく。熟れていく感覚。次第に、この血肉が崩れていきそうになる。そしてわたしから水分が搾り出されていく。肌の上を滑り降りていく。じりじり焦がされていく皮膚。熱は頭にのぼり、脳を溶かしていくようで。
立ち上る匂いに、わたしはなぜか死を感じてしまう。

ぷはっ、

熱気の間を縫い、息を吐き出す。ああ、まだ生きている。

暑さは苦手です。けれどそういう瞬間は、案外好きかもしれません。