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感謝と自戒を込めて、今日の記事を。

先日、夫の実家でわたしの誕生日会をやってくれた。

わたしの誕生日は6月なのだが、
その時は父の闘病、そして7月に父が旅立ち、
なにかと心落ち着かずの日々で
今年はわたしの誕生日会はやらなくていいよ、
そう伝えていたのだけれど、
義母と義妹が祝ってくれた。

………………

わたしと夫は15歳の年の差がある。
現在わたしは37歳、夫が52歳だ。

『義妹』と書いたけれど、
実際にはわたしと10歳くらいの年の差がある妹なわけで、
わたしにとっては頼りになるお姉さん、といった感じだ。


夫の家族の好きな所BEST3には入ること。
それは、
誕生日や記念日には必ずプレゼントと一緒に手紙をくれるところ。

物だけではない、温かい文字が毎回嬉しい。

今回、遅れたわたしの37歳を祝ってくれた時もそうだった。
義妹が書いてくれた手紙。
ディズニーのかわいい便せん。
そこにはこう書かれていた。

いとちゃんへ。
悲しみはなかなか癒えないけれど
みんなで元気に力を合わせて生きていくところを
お父さんに見守っていてもらおうね。

この文字を読んでわたしはある過去を思い出した。

…………

数年前。
まだ、息子が伝い歩きをしていたか、それともヨチヨチ歩いていたか。
そんな頃だった。

わたしは長年積み重なっていた両親への恨みや憎しみが溜まり、
毎日が苦しくてたまらなくなっていた。

助けを求めて行ったカウンセリングでは
苦しみの原因が両親との関わりの中で出来たということを知り、
『アダルトチルドレン』やら『虐待』やら
専門用語におどらされ、
毎日が、毎分が、とても苦しかった。

そんな頃、夫の実家に帰省した時に、わたしは自分の中の苦しみに耐えられず、義妹に相談をした。

「生きることが苦しい。
毎日が苦しい。
わたしは、両親から愛情をもらえずに生きてきた」

そんな内容を言いながら、
とにかく、どんなに親が酷かったか、どんなにわたしが苦しかったか、
それが、今のわたしにどれだけ大きな影響を及ぼしているか、
この苦しさは、親からの連鎖だと、
わたしはアダルトチルドレンだと、
そんなふうに訴えた。

義妹はわたしの話を聞いてこう言った。

「まだ、いとちゃんは若いから。
もう少し歳を重ねたら、きっと分かることがあるよ」と

わたしは激高しそうな気持ちを必死に抑えた。

何にも分かってないくせに!
愛情深く育てられたあなたに何が分かるの!
これは、年齢とか年の功とか、そんなの関係ない!
愛着問題で、世代間連鎖で
わたしはちゃんと育ててもらえなかったアダルトチルドレンなの!!

そんな気持ちでいっぱいだった。

わたしは悪くない。
悪いのは、あの親なの。
お願い、分かって。

そう思っていた。

分かってくれない義妹が憎たらしかったし、
少しばかり得た専門知識で相手を責めたくなった。
『まだ若いから分からないこともある』なんて
一般的なセリフに、とても傷ついた。


それから数年後の今年、7月25日。
父が死んだ。

先日祝ってくれたわたしの誕生日での
義妹からの言葉。

悲しみはなかなか癒えないけれど
みんなで元気に力を合わせて生きていくところを
お父さんに見守っていてもらおうね。

彼女のこの言葉は、わたしの胸を痛めた。

分かってもらえなかった過去も、
意見を潰されたあの日も、
叩かれたあの時も、
それが『虐待』だったとしても、でも。

年齢を重ねて
父の死を看取って、今はこう思う。

あの時のわたしは
親を責めることで自分を守って生きていた。
親を恨むことでしか生きるエネルギーを得ることが出来なかった。
とても幼い生き方だった。


そして今。
親のせいにするのではなく、自分の幸せのために生きていくことを知った。
親には親の悲しみや葛藤があって、
それを知ったうえで
ただただ、命を繋いでくれたことに感謝をすることが出来た。
年齢を重ねるごとに、両親の偉大さを知った。


「もう少し歳を重ねたら分かるよ」

あの時、義妹は、どんな気持ちでわたしにそう言ってくれたのだろうか。

ただ、自分の意見だけが正しいと
周りを見下し、切り捨てていたわたしに
どんな気持ちで言ったくれたのだろうか。

それは
若くして義父を亡くし、
決して幸せなことばかりではなく、理不尽だと感じるような生活を学生の頃から過ごしていた義妹の
とても、とても重く、そして心底出た言葉だったのだと思う。


『悲しみはなかなか癒えないけれど
みんなで元気に力を合わせて生きていくところを
お父さんに見守っていてもらおうね』

この言葉を捧げてくれた彼女の優しさを忘れずに。
そして同時に、
義妹の言葉を投げ捨ててきた自分の傲慢さを忘れずに。


ただただ、感謝と自戒を込めて。
今日の文章とする。


わたしの誕生日に書いたnoteはこの記事。



サポートありがとうございます。東京でライティング講座に参加したいです。きっと才能あふれた都会のオシャレさんがたくさんいて気後れしてしまいそうですが、おばさん頑張ります。