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ケンジントン・ガーデンで、パトカーに護送された件

ノルマンディーのカーンからロンドンへは、直行便があって、1時間で着く。時差があるので、離陸時刻と到着時刻は同じ。flybeという会社の、格安飛行機である。というか、それしかない。

カーンからパリへは電車で2時間、パリからロンドンへもユーロスターで2時間15分とかかかることを考えると、カーンとロンドン間の移動には、とても便利である。と言いたいのだが、1日に午後発1本しかないし、毎日出ているわけでもない。

この飛行機に乗るためにわざわざ金曜の夜もairbnbに延泊して、昼からロンドンに移動した。おじさんにタクシーの電話番号を聞くと、そんなら車で乗せてってやるよ、と言われ、送ってもらった。

ここの家は、アーカイブまで徒歩10分、空港まで車で10分で、便利な位置にある(この二つが両方とも田舎にある、という話なのだが)。使ったお皿が重ねてある洗面器が入ったバスタブは、バスタブではなくキッチンの一部として使われているのだ、と思うことにする(というか実際、そうなのである)。

ロンドンではしばらくホテル住まい。クイーンズウェイQueenswayというところに、まあまあリーズナブルなお値段の部屋を見つけた。

何しろ日本に住んでいれば発生しない何らかの家賃を、しばしば2箇所に払わなければいけない(ロンドンとパリ、パリとカーンなど)。なのでお高いホテルには、泊まらない。しかし場所には、結構こだわりがある。

ロンドンで先月まで住んでいたのは北西部(NW)の高級住宅地だったが、今回は南西部(SW)の、やはり高級住宅地にした。少し歩くと映画で有名な、ノッティングヒルNotting Hillに出る。

お昼抜きで夕方になってしまったので、25kgもあるスーツケースをようやくホテルの部屋に運びこんですぐ、駅前に戻ってレストラン探し。またチャイニーズにしてしまった。New Fortune Cookieというお店で、その名の通り、サービスでオレンジとフォーチュン・クッキー、つまりおみくじ入りクッキーが出た。

開けると、SPECULATE TO ACCUMULATEと書いてある。貯めるためにはちゃんと考えなさいよ、ということ。お金のことだけでなく、勉強とか、研究とか、仕事とか、何にでも当てはまりそうである。

時間がちょうどよかったので、直接サウス・ケンジントンSouth Kensingtonにあるシネ・ルミエールCine Lumièreという映画館に、行くことにした。

サウス・ケンジントンはその名の通り、東西に大きく広がるケンジントン・ガーデンKensington Garden(上と下の写真)の、南にある。クイーンズウェイは、その北だ。


だから、ホテルからサウス・ケンジントンに行くには、ほぼケンジントン・ガーデンを、突っ切ればよいわけである。ロンドンでもパリでも、用事でどこかへ行くだけなのに、大きな公園を突っ切る技が使えるのは、お散歩を兼ねられて、楽しい。

映画は8時半ごろ終わり、またgoogle mapのいう通りに歩いていく。開いていたところからケンジントン・ガーデンに入ると、暗くて鬱蒼としている上、誰も歩いていない。お散歩は楽しいなどと、のんきなことを言っているような感じでは、全くなくなっている。

おまけに雨も降ってきた。ナップサックにはいつも折りたたみ傘を入れているのだが、今日は重い荷物にうんざりして、わざわざ置いてきてしまったのだった。

こんなところに入り込んでしまって、出られるのだろうか。どこから抜け出してホテルに帰れるのだろうか、と不安になりはじめ、iphoneを見つめることしばし。

すると、呼び止める人の声がした。

なんとパトカーのおまわりさんだった。大丈夫?どこへ行くの?と聞いてくれたので、ホテルの名前をいうと、iphoneを見せろ、といって、二人で場所を確認している。そして、後ろに乗れ、という。

google mapの通りに歩いてきたんですけど、なんか暗くて怖くなってきて、と説明すると、うん、安全じゃないよ(It's not very safe.)と言われ、血の気が引いた。

夜の鬱蒼としたケンジントン・ガーデンをウロウロしているところを、パトカーで護送してもらったのだった。空港へも送ってもらえたし、結果オーライ。

ラッキーだった、ということにする。

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