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雨降るる日(短歌二十題)

過去にカクヨムに投稿したものですが、試しにこちらにも出してみました。



待ち侘びた約束の日の青空をきちんと裏切る梅雨前線

紫陽花が降り注ぐよう咲き征けど小さなさみしさ零れゆく雨

五月雨やこのまま地球を透過して覆いつくせよその優しさで

花浴びる跳ねる踊るる雨降るる水溜まりには映るスキップ

紫陽花とひとつの傘が花ひらき貴方は雨が止んでほしいか

体育祭雨天中止の夢をみて照る照る坊主を逆立ちさせる

偏頭痛きれいに痛む場所があり頭蓋骨にもこだます鼓動

泣いていた哀も変わらぬ雨の中泳ぐ蛙に沁み入るこころ

微睡みの終わりを告げた稲妻に はっと見渡し「まもなく終点」

蓋してた昨日の記憶も後悔も空しく結露し流れゆくだけ

「死なせる気?」気圧配置の嫌がらせバファリン忘れて恋しい晴天

朝顔は雨に浸りて微笑みを忘れぬようにと咲き流る

神様の涙の如く枯れた雨 空には虹と晴れ上がる青

夕立や一つの恨みを挙げるなら線香花火が点かないことね

ガラス窓零れるしずくをなぞりつつ正解なんて軌跡は告げず

踏みつけた落ち葉の上にも降る雨は未来の大樹に吸い込まれゆく

落ちてゆく雨ってなみだと一体だから蜘蛛も知らないわたしの心象

雨なんて降っても降っても雲は膨らみ自然の条理に逆らおうとした

七色が潤んだ世界を初めるとき想い出すのね愛しいことを

降る雨は巡りて芝生と落ち合わせ海のつめたさ空へと還す

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